『保有熱の調整方法 その1』
『低温焙煎での焙煎行程』の最大の特徴は、焙煎の初期段階でシッカリと『生豆の水抜き』をして、その『水抜き行程』の後に豆の芯からシッカリ煎りあげるというところにあります。
そのために『保有熱の調整』という行程が必要になってくるのですが、いわゆる『高温の焙煎』と『低温の焙煎』が180度違う焙煎になる一番の理由です。
窯に設置された温度計表示に従い、同じ火力で焙煎をしても『保有熱の調整』をしないままに連続して焙煎を続けると、焙煎釜は加熱して釜の温度上昇のスピードは次第に速くなってきます。
その結果、煎りあがったコーヒー豆は豆の表面だけが色づいて『いわゆる生焼け』状態の煎り豆が出来あがります。
煮ものに例えたら、生煮えの煮物と同じです。
コーヒー豆を一粒噛んでみても『ガシッ』と芯の残った煎り上がりになっています。
豆表面の色とは違い、豆内部の火の通りが悪い『生焼けの豆』になっているからです。
加熱した余分な熱量で、豆の表面がいち早く焼かれて『生豆内部の水分が外へ放出されないままに焙煎された』ことが原因です。
判りやすくご理解頂く為に「ステーキの焼き方」でご説明させて頂きます。
ステーキを焼く時は、最初に強火で肉の表面を軽く焼きます。
そして、そのあとに弱火にしてジックリと肉内部に火を通します。
そうすることで肉汁が内部に閉じ込められて「ジューシーで美味しいステーキ」が
焼きあがるからです。
コーヒーの焙煎に話を戻します。
最初に生豆の表面を焼くと、生豆の水分は逃げ道をふさがれて、生豆内部に残ることになります。
結果、芯から煎られていない『生焼けのコーヒー豆』になるという理屈です。
ステーキとコーヒーの焙煎とでは事情が違うのです。
『豆の水抜き』が、コーヒーの焙煎にとってどれだけ重要かと言うことが、少しご理解頂けましたでしょうか?
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