私が28、9歳のころに、父が癌だと告知されました。

がん家族セラピスト 酒井たえこ

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昔の話なので、今の治療とは違いがあることをご了承くださいませ。





父が食道がんのために、
手術で胃を2/3切除
食道に癌が巻き付いてしまい

飲むゼリーのような物しか口に出来なくなっていた頃に、
父の前でご飯を食べるのが
気が引けていた話しです。




私の父は、元々口数が少なく
我慢強い人でした。
お酒に酔っ払うと、
たまに高知弁で
「ほうじゃほうじゃ」と笑うくらいです。



がんになってからも、
愚痴や不安をあまり
言うことはありませんでした。



しかし
癌のせいでご飯が食べれなくなった時は
私にこう言うんです。

「食べてみたいなぁ。。。あかんねやろな。」




そんな日が続いたある日、私の彼氏を(今は夫)自宅に招いて、両親に合わせることになりました。

私はどうやったら場が和むかしらと考えていたのですが、みんなで食事をするイメージしか出てきません。
それはダメだろうなと
思ってみたり


色々悩んでいるうちに
正解がわからなくなって
もう父に今の気持ちや考えを言うしかない!
と、父に言ってみました。 



「彼氏がうちに来るのに、何も用意できないよ。どうしたらいい?暗くなるのは嫌やし。」


父は
「彼氏が好きなのを出しだったらいいよ。」



そう言ってくれたので
すき焼きにしようとなり、

私は父に
「お肉代ちょうだい!とびきり良いお肉を買ってくるから」と、
10000円を貰い、すき焼きの材料を買いに行く道すがら
彼氏に電話で、
父とのやりとりを説明し


私の想いを伝えました。



父のお金で、とびきり良いお肉を買ってくるから、

みんなで美味しい
美味しいって食べてあげたい。
父のおかげで、
みんな楽しい思いをさせてもらっていると伝えたい。



自信を失って、死が迫っていることしか考えられなくなっていた父に、お父さんはこの家におってねと伝えたかった。



後日
彼氏が家に来て、すき焼きをしました。

「美味しいー!!
このお肉、めっちゃ美味しいー!
お父さん、ご馳走様ーー」と、
私たちは
大きな声で、美味しいを連呼していたら



父も
「美味しいか」とニコニコ笑いながら
「◯◯さん、たえこを良お(よお)したってな。」
と言いました。



彼氏(夫)は、涙目になりながら
「はい、はいわかりました。」
っていいながら、箸でお肉をつかみ鼻をすすって





その光景を見ながら私は
お肉と野菜をお鍋に入れて、



母も静かに、ニコニコしていました。









何が正解かわかりませんが、なんとなく、この時間
私たちは幸せでした。











父の癌の話しです



実家を売る話しです。明日続きを投稿します


最近の私の体調のこと