私は55歳です。若い頃からずっと両親の看病をし、今は介護をしています。
そして今は、「がん家族」の支援を行っています。
《仕事
》社団法人代表理事、講演、講師、元大学助教、ボランティア
、映画監督
《著書》がん患者の家族を救う55のQ &A
がん家族セラピスト 酒井たえこ
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先日、ちょっと出演させていただいた
『ABEMA的ニュースショー』(ABEMA NEWS)。
放送では出ていなかったところも含めて、
私がどんなことをお話ししたのか、今日はちょっと書いてみようと思います。
番組の中で、私が「がん家族支援の専門家」としてお話ししたのが、
「がんに効くよ」と何かを勧められた時のこと。
このことは後で詳しく書きますね。
それともう一つ。
私自身が番組を見ていて、ものすごく感じたことがあったんです。
番組は、歌手の山川豊さんが肺がんを患われて、その経過や、
またステージに立たれるまでの様子、
そしてそれをご家族が一緒に見守っている姿が描かれたものでした。
私ね、この番組を見て、
「ものすごく丁寧に作られてるなぁ」
と思ったんです。
もちろん最初の方は、副作用のつらい場面なんかも出てきます。
それを見て、
「ああ、これ、がん患者さんが見たら怖いかもしれへんな」
って、ちょっと思ったのも正直な感想です。
でも中盤には、ご家族もスタッフさんも、
山川さんがやりたいことを、普通に一緒になって支えている。
そんなふうに私は見えました。
そしてね、
私がものすごく感動した場面があったんです。
山川さんが久しぶりにステージに立たれる場面です。
副作用で手が痛くて、マイクを持つのも辛い。
でも、ファンの方がせっかく来てくださったんだから握手したい。
でも、手の皮膚が切れてしまったり、血が出たりしたらいけない。
山川さんは
「握手は無理かな」
っていう葛藤があったんです。
ところがね。
バーンってステージが始まった瞬間、
山川さん、変わられたんです。
表情が違うの。
歌ってらっしゃって、
ファンの方とも、いつものように握手されるんです。
そしてステージが終わったあと、
山川さんが、
「やっぱりステージがいい、最高!」ていうことをおっしゃったんです。
私ね、
ここ、ものすごく感動したんですよ。
私は、がん患者さんのご家族を支援する活動を17年続けています。
その中でずっと思っていることがあって。
「がんは生活のすべてではないんです。
もともとその人の生活があって、
そこに後から、がんがやってきた」
私はそう考えてるんです。
だから、
がんに全部奪われるもんか。
って思ってるんですよ、私。
だからね、
山川さんがステージに立って、
「やっぱりステージがいい」
っておっしゃったあの場面。
あの時の山川さんは、
「がん患者の山川豊さん」じゃなくて、
歌手、山川豊さんとして、そこに立っておられた。
私はそう感じたんです。
それが、もうものすごく良かった。
そして、ご家族もそうなんです。
ご家族が支えていたのは、
「がん患者の山川さん」というより、
歌手・山川豊さん。
山川さんがやりたいことを支えていたように、私は見えたんです。
確かその時ね、
息子さんが横で片付けか何かされながら、ニコッとしておられたんですよ。
それもね、
「ああ、ええなぁ」
って。
深く感動しました。
そして最後は、お孫ちゃんを抱いておられる場面だったと思います。
山川さんが、
こんなに良いことがいっぱいあったら、体も良くなりますよね、みたいなことをおっしゃって。
そこで番組が終わったんです。
最後は希望で終わった。
それが、ものすごく良かったです。
そして、ここからが私が出演させていただいたところです。
番組の中で、
山川さんのところには、ファンの方からありがたいことに千羽鶴だったり、本当にいろんな思いのこもったものが届くというお話がありました。
その中には、
「これ、体にいいよ」
「これを飲んだら、がんにいいらしいよ」
というようなものもある。
お友達から教えてもらったことなども、山川さんはやってみようと思われるそうなんです。
そこで私が、
がん家族支援の専門家として、コメントさせていただきました。
放送で使っていただいたのは、
がん患者さんやご家族は、
「藁にもすがる思い」なんです
というところでした。
これね、
ほんまにそうなんです。
「これを食べたらいいよ」
「これを飲んだらいいよ」
「ここへお参りしたらいいよ」
いろんなことを、周りの方も良かれと思って教えてくださいます。
そして、
がん患者さんもご家族も、
治るんだったら、そりゃやりたいですよね。
何でもやりたい。
藁にもすがりたい。
当たり前やと思うんです。
ただね。
放送ではそこまででしたけど、
取材では、その続きもお話しさせていただいたんです。
(番組で使用された、私が活動している写真のイラストです)
私ががん家族の相談者さんにもお話しするのは、
もし誰かから、
「これ、がんに効くよ」
って何かを勧められて、
患者さんもやりたいと思ったら、
まず主治医に聞いてみてください
ということです。
「これが、がんにいいって聞いたんです」
「自分もやってみたいんです」
「家族もやったらどうかと言ってます」
「これ、やっても大丈夫ですか?」
って。
まず聞いてみてください。
なぜ主治医に聞かなきゃいけないかというと、
今やっている治療に対して、その食べるものや飲むものの成分が、何か支障になる可能性もあるからです。
治ろうと思ってやってるのに、
それで治療に支障が出てしまったら、
本末転倒でしょ?
副作用を少しでも軽くしたいと思って始めたのに、
それで逆に何か悪い影響が出たら、
それは望んでいたことじゃないですよね。
だから、
まず主治医に聞いてほしいんです。
お医者さんの中には、
「その成分なら別に大丈夫ですよ」
って言ってくださる先生もいるでしょうし、
「それはたくさん飲まないでくださいね」
とか、
「これくらいまでにしてくださいね」
って教えてくださる場合もあります。
だからね、
私は、
「そんなもの全部ダメ」
って言いたいんじゃないんです。
藁にもすがる想いなのが痛いほどわかりますので、だからこそ
やりたいと思った時の順番を知っておいてほしい。
まず主治医に聞く。
私は「がん家族の相談者」さんにも、そんなふうにお話ししています。
そして番組ではね、
私が、どうしてがん家族支援を始めたのか。そのきっかけになった父のことも、ナレーションで紹介してくださいました。
インタビューの時に、「神社とか、お参りに行かれましたか?」って聞かれたんです。「行きました」って答えました。
ただね、
父には言ってないんです。
当時、父にはがんであることは伝えていましたけど、余命のことなどは伝えていませんでした。だから、私が、「お参りに行ってきたよ」なんて言ったら、
父が、
「自分はそんなにシビアな状態なんか?」って気づいてしまうんじゃないか。それが怖くて言いませんでした。
そんな話もさせていただきました。
そしてスタッフさんから、
「お父様と酒井さんが一緒に写っている写真を送ってください」って言っていただいたんです。
これがね……
ないんですよ(笑)。
うち、本当に写真が少ないんです。
平成の頃ですから、今みたいにスマホで何でも写真を撮る時代でもなかったですし、母も大きな病気を抱えていたので、
そもそもうちの家族には、写真を撮るという習慣がなかったんです。
だからね、
もう、だいぶ探しました(笑)。
探して、探して。
やっと出てきたのが、
私の結婚式の時に、父と二人で写っている写真。
それから、
父と母と私、3人で写っている写真。
確か3枚くらいお渡ししたと思うんですが、
なんとね、
3枚とも使ってくださったんです。
父、テレビデビューしました(笑)。
これもね、
スタッフさんが気遣ってくださったんやろうなぁと思ったりして。
嬉しかったです。
そして、ここからちょっとだけスピリチュアルな話になります。
私、普段そんなにスピリチュアルなことを信じるタイプでもないんですけどね。
番組の中で、
山川豊さんの娘さんが結婚される場面があったんです。
山川さんと息子さんも一緒に参列されていて、
ものすごく良い場面だったんですよ。
でね。
私、そのこと全然知らなかったんです。
山川さんに娘さんがいらっしゃることも、申し訳ないんですが存じ上げていませんでしたし、
スタッフさんから、
「娘さんの結婚式の場面がありますよ」
なんて聞いていたわけでもないんです。
なのに、
私が父との写真としてお渡しした写真も、
私の結婚式の日の写真だったんです。
偶然なんですよ。
番組を見ながら、
「あら……」
って。
「なんか、すごいご縁やなぁ」
って思いました。
ちょっとびっくりしました。
とにもかくにも、今回の山川豊さんのドキュメンタリー映像は本当に素晴らしかったです。
そして実際に出来上がった番組を見て、
私は改めて、
がんは、その人の生活のすべてではない
と思いました。
がん患者さんである前に、
その人には、その人の人生がある。
山川さんなら、
歌手・山川豊さんとしての人生がある。
だから、
患者さんやご家族を支えるって、
病気だけを支えることじゃないんですよね。
その人が大切にしているものとか、
その人がやりたいこととか、
その人の生活も一緒に見ていく。
私はやっぱり、
そういう「がん家族支援」をしていきたいなぁと思いました。
ありがとうございました。
(つづく)
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