弓歩の要領は☆前足にしっかりと重心を沈める(踏実)、☆後ろ足は緩めて置いておく(分清虚実)、☆後ろ足の踵を浮かせない、です。後ろ足で踏ん張っていると切面が安定しないということは前回書きました。
  さらに、重心移動の要点は☆後ろ足で蹴らない、☆前足(これから重心を移していくほうの足)に垂直に重心を沈めていく、です。氷の上でも滑らないように練習しなさい、という教えがあるのですが、そのためにはこうした重心移動ができていないとなりません。
  これらのことから、虚歩から弓歩へ重心を移していく際も、歩型を安定させるためにも、前足を垂直に踏みつけることが重要となります。
  でも、ただ前足に乗ることだけ考えると骨盤は横にはみ出していきます。
  ⬆️こんな感じ。さらに完全に片足になるとこうなりますね。
   人体は側面を垂直面にピッタリ揃えてしまうと片足にはなれないのです。
  ほらね。
  それでも、双重でない、虚実のバランスのとれた弓歩を実現するためには前足にしっかりと重心を沈めていく感覚が大事なのです。切面の要求には、片足になれないポジションにありながら、しっかりと片足を踏みなさい、という矛盾が内蔵されているのです。
  ううむ。
 まだ続きがありますよ…。
 前回、行き足りないのは後ろ足で踏ん張っているから(双重)、と書きました。この件、もう少し掘ってみたいと思います。
  先ず、両足で踏ん張って、重心が真ん中になるように立ってみます。
  ここから、後ろ足を踏ん張ったまま前足に、“7割荷重感覚”のところまで重心を移していきます。
  天井からの視点で図解すると両足で踏ん張っているときの骨盤の位置はこんな感じ。
  で前足7割感はこんな感じ…
  行き足りていません。
 ただ、この作図には少し“ヤラセ”があって、両足の間隔を広くするとこんな感じになりますが、両足の間隔を狭くして作図すると、骨盤の縁は切面をはみ出してしまいます。
 でも、「だったら両足の間隔をピッタリのところへ置けばいいのね❗️」  ということにはなりません。切面は、足幅に関係なく揃えなくてはイケナイのです。

 歩型の練習をするとき切面(せつめん)を揃えることが重要なポイントになると思っています。歩型の切面を揃えるとは、実になる足(体重を主に支える方の足)の外側が壁にピッタリつくように、パンの耳をスパッと切り揃えたようにしなさい、と言うことです。
   つまり
  こういうことなのですが、やってみると意外と難しいのです。そして、なぜ難しいのか考えてみると、なかなかヤヤコシい。
 弓歩で考えていきましょう。
 まず次の写真。
   膝が内側に入っています。女性に多く見かけますが、膝を痛める原因になるので気をつけましょう。ただ、これは頑張って直そう❗️ というレベルの話で、ヤヤコシいのはこれからです。
  多くの人が陥りがちなのは次のタイプ。
  お尻が外側に出てるタイプです。これは前足に重心をのせすぎることで起こります。歩型の要求には「脚を緩めて重心を沈めなさい」というのもあって、これをやろうとすると、こういう形になりやすいですね。ちなみに完全に重心を片足に沈めて一本足になると次の写真のようになります。
  だったら後ろ足もしっかり使えばいいじゃん、となると今度はこうなる。
  前足7割、後ろ足3割でしっかり立ってみました。当然ですが、お尻が3割分、内側に引っ込んでしまいます。「双重の病」と言われる状態ですね。こうなるケースも多いです。
  次はどうでしょう。
   ぼちぼちかなあと思いますが、微妙にイマイチ感があります。これは正面から見て、足首、膝、股関節が垂直線上に揃った形。立つということを考えると、これでイイんじゃない、と思えるのですが、イマイチなのです。切面の要求は、足首、膝、大腿骨(股関節ではなく)が垂直に揃うこと。言い方をかえれば、爪先、膝、大腿骨が、真上から見て一直線上に揃う形です。
   こんな感じ。
  これがなかなかできないのですよ〰️。
 では、その困難はどこにあるのか。そもそも立っているときの足のバランスはどうなっているのでしょうか❓️

  この先は次回にしましょう。