左右の坐骨神経痛(臀部痛)と整体治療 | 【大阪】 整体師養成校 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院                      JHSC整体治療室 = 公式ブログ

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左右の坐骨神経痛(臀部痛)と整体治療

骨盤深部の神経叢の癒着を解放する内臓整体で治癒した症例の解説です。
患者Rさん=42才-女性-主婦の症例

 

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①    Rさんの病歴・・・
患者Rさんは、4年前に椎間板ヘルニアと診断される前からずっと左右の下肢に坐骨神経痛があるそうです。整形外科を始め鍼灸や漢方、整体、マッサージ、接骨院、カイロプラクテイック、オステオパシー…と、ありとあらゆる治療を試されましたが、多少変化がある時もあるそうですが、ほとんど改善せず現在まで疼痛としびれ感様の不快な違和感が続いているそうです。
Rさんは別件(子宮下垂、過敏性大腸による軟便、過活動膀胱による頻尿、外陰部のただれなど)で当院に来院されましたが、本件も並行して整体治療する事になりました。

 



②    Rさんの診察
・坐骨神経痛の部位は、左下肢では臀部と下腿の主に外側が強いそうですが、下腿の内側や大腿前側・外側など、色々な部位に生じるそうです。右下肢では右腸骨稜下部が強いそうです。こちら側も下腿の左側あるいは右側、大腿の後ろ側など、痛む部位は移動するそうです。しかし腰椎付近はさほど痛みを感じないそうです。痛みの性状は、言葉では言い表しにくい変な感触だそうです。
・上記坐骨神経痛の部位は日によって移動し、1週間の内4-5日は主に左下肢で生じ、後の1-2日は主に右下肢で生じるそうです。
・坐骨神経痛は仰臥位でかなり増強し、左右の側臥位で軽減あるいは消失に近い状況まで解消するそうです。腹臥位では軽度増強するそうです。仰臥位での低血圧所見は無いそうです。
・下肢の神経学検査では、左下肢全般の知覚が右下肢に比べて10-20%程度低下していました。特に、左下腿外側と左臀部上部が一番低下していました。下肢の徒手筋力テストで優位な差はありませんでした。
・4年前にL5-S1(左側)の椎間板ヘルニアで左下肢の坐骨神経痛があったそうです。手術予定でしたが、都合により手術はせずに、保存療法で治療-治癒したそうです。排尿-排便に異常は無かったそうです。しかしその後も左下肢のしびれ感が残存しているそうです。
・1年前に左足をぐねって捻挫した際に、リスフラン関節に脱臼骨折があったそうです。今は治癒して正常歩行できますが、左足をかばって歩いている節がある、との事です。
・Rさんの身長は164cmで体重は75kgだそうです。20代は50kg台だったそうですが、年々肥満傾向になり、二人目のお子さんの出産後(☚5年前)に68kgになり、その後徐々に増えて現在に至るそうです。思春期も肥満傾向だったそうです。
・妊娠-出産の特段の異常は無く普通分娩だったそうです。
・血液検査において中性脂肪が少し高い以外は、特段の異常は無いそうです。血圧は128/90mmHgだそうです。
・頭顔面や下腿の浮腫はありませんでした。眼球結膜の黄染はありませんでした。
・甲状腺の腫脹や萎縮はありませんでした。
・胸部や腹部の血管雑音、あるいは心音・呼吸音に異常はありませんでした。
・腹部聴診上、グル音はかなり小さめに聴取出来ました。血管雑音はありませんでした。
・腹部触診上、全般的に膨隆傾向でした。しかし緊満感はあまりありませんでした。左右の鼠径靭帯内側に著明な緊張と圧痛がありました。また、腹部の消化管全般に著明な緊張と圧痛がありました。特に下腹部、右季肋部(門脈部)、十二指腸空腸曲部、S字結腸部などに極めて強い緊張と圧痛があり、さらにひどい部位は恥骨直上部で、やや肥厚した膀胱頂部を触れました。子宮底の触診は出来ませんでした。肝脾腫その他の腫瘤感-抵抗感はありませんでした。
・月経周期は28日周期で月経期間は平均3日(☚数年前まで5日)だそうです。生理痛や排卵痛はほとんど無いそうです。オリモノに特段の異常は無く、不正出血も無いそうです。
・婦人科での診察では、子宮後屈の有無は教えてもらわなかったそうです。
・2年前に過活動膀胱の診断を受け、投薬治療をされていますが、ほとんど改善しないそうです。
・かなり以前から外陰部に慢性的なただれ(発赤と痒み)があり、抗菌剤の処方を受けているそうですが、改善していないそうです。
・十代のころから週に3-4回は腹痛・下痢があったそうです。今では排便は毎日あるそうですが残便感があり、軟便-下痢便が多いそうです。某病院で過敏性大腸では、との診断を受け、投薬治療を受けていますが、改善していないそうです。
・排尿痛や残尿感は無いそうです。しかし頻尿で、1日に十数回の排尿があるそうです(排尿の量は少量の事が多いそうです。)。投薬治療を受けていますが、全然改善しないそうです。
・左右の足先に冷え性があるそうです。また、左右臀部も触ると冷たく感じるそうです。
・左膝関節を外反-軽度屈曲させると、左下腿の神経痛は軽減しました。逆に左ひざを屈曲させると、下腿の神経痛は増強しました。
・上記以外にも慢性的な肩、首、腰のコリ-痛みや全身の倦怠感、あるいはその他の不定愁訴もあり、毎朝起床の度に辛いそうです。

 



➂ 治療目標と整体治療
  ⑴    仙骨神経叢周辺の癒着(?)を開放する
  ⑵    外側腓腹皮神経の絞扼を解放する

・平滑筋テクニック
・仙骨神経叢開放テクニック
・外側腓腹皮神経解放テクニック

 

 



④    経過と結果・・・
・初診治療後、

坐骨神経痛が1/3程度にまで解消していたそうです。「こんな事は(今までの治療で)初めてです」と仰っていました。特に左下腿外側の痛みはほぼ消失したそうです。


・2診目来院時、

「(初診の治療後)半日くらいは痛みがマシでしたが、翌日から元通りになっていました」と仰っていました。


・3診目来院時、

「(前回の治療から)昨日まで痛みはなかったですが、今日から少しぶり返しました」と仰っていました。


・4診目来院時、

「日によって、以前の1/10~2/10程度の痛みが出たり出なかったりしていました。」と仰っていました。また「ただ、右側に痛みが出ることはありませんでした。」とも仰っていました。


・5診目来院時、

前回の4診目から今回まで痛み・痺れらしき症状は無かったそうです。


・その後も子宮脱などの別件の治療で通院されていましたが、その間に坐骨神経痛(臀部痛)は生じることは無かったそうです。




⑤     今回の症例の概説、、、
・Rさんは、生理痛などは無いタイプでしたが、しかし十代の頃から週に数度も腹痛・下痢が続いていることなどから、骨盤内で炎症が頻繁に生じていたのかもしれません(骨盤内炎症症候群?)。

 

・その根拠として、Rさんは某病院で大腸過敏症の診断が出ていますが、本症が長引くと大腸憩室症を生じやすく、仮にそうであればその漸弱になっている憩室部分が破綻し軽度のバクテリアルトランスロケーション(BT)的=下記注1参照=な病態になっていた可能性があり、それが骨盤内炎症症候群を引き起こしているのでは、と推定したわけです。
 

・その結果、骨盤内の様々な部位で炎症性の癒着や変位が生じ、その一つが仙骨神経叢付近であったのかもしれません。当然同神経は閾値が低下して刺激に対して敏感になっている可能性があります。そこにRさん自身の肥満傾向化が影響し、膨満した腹部を便が移動して敏感になっている仙骨神経叢付近を通過する際にその仙骨神経痛(いわゆる坐骨神経痛)が生じていたのかもしれません。この仮説だと、消化管内の便の移動により刺激される仙骨神経部位も移動するので、痛みやしびれの部位が変化したり、左側や右側に移動する理由が説明できると思います。

 

 

骨盤内の神経叢


 

・ただ、左下腿外側の痛みは末梢神経である「外側腓腹皮神経」の腓骨筋等による局所的な絞扼性神経障害の可能性が高いと思われましたので、「外側腓腹皮神経解放テクニック」を施術する事にしたところ、この部位に関しては即効的に効果がありました。これは左のリスフラン関節の脱臼骨折の際に左腓骨筋群やヒラメ筋にも筋座挫傷が生じ、その後遺障害として同筋に過度のトーヌス増強が生じ、それが外側腓腹皮神経を絞扼していたからでは、と推定します。

 




注1)    BT(バクテリアル-トランスロケーション)
消化管内に生息する腸内細菌が何らかの理由によって周囲組織に浸潤したり、あるいは血行性に他臓器や場合によっては全身に浸潤する病態。様々な腹部疾患や免疫力低下などで生じると言われているが、これら病的な状態が無く健康な状態でも生じるケースもある。

 

 

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