患者Nさん=41才-女性-主婦/会社員の症例より
はじめに・・・胆嚢の機能と胆石症の整体治療…
・胆嚢とは、肝臓で生成された胆汁を食事時に分泌するまでの間一次保管し、数十倍にまで濃縮する、平滑筋で出来たきんちゃく状の臓器です。つまり、ウスターソースを超濃縮したとんかつソースの様にドロドロにする臓器です。
ですから、胆嚢平滑筋の筋力が減退して胆汁の排出力が低下すると、ドロドロの胆汁が胆嚢内に停滞し、結石化しやすくなると思われます(他にもメタボなどの原因があります)。
・当院の胆石症治療はこの考えに基づいて「胆嚢平滑筋の筋力の回復」を主軸に、胆嚢内に満杯になっている胆汁(胆石・胆砂)の自己排出力を改善する事で、胆石治療に臨んでいます。
・ただNさんのケースでは、すぐには効果が出ませんでした。それはNさんが数々の手術を繰り返され、今でも広範な腹部臓器に癒着がかなり確認されていて、また胆嚢周辺を含む腹部全般的に消化管平滑筋の緊張感-柔軟感(トーヌス)が無く膨隆気味で、Nさんの体調も最悪の状態だったからです。ですから、まずこれらの処置をしてからでないと、胆嚢の治療が出来なかったからです。
・しかしNさんの頑張りもあり、10診目には長年に渡りあれほど毎日生じていた胆石の疝痛発作がゼロになり、その効果は2か月半後の最終診療日迄持続していました。Nさんは胆石発作だけでなく、全身の体調も改善したので、大変喜ばれていました。
それでは、長文ですがよろしくお読みください。
不明な点やご質問は当院お問い合わせHPか、お電話 (06-6180-6880) にてご相談ください。患者Nさんが初めて胆石の疝痛発作を経験したのは、今から5-6年前だそうです。当初は1年に一二度でしたが、そのうち次第に発作の回数が増え、今ではほぼ毎月に一度は疝痛発作にみまわれるそうです。25才の時に卵巣嚢腫の手術を受けてから色々な疾患などで何度も開腹手術-長期入院を繰り返しているNさんは、心理的にも身体的にも手術が出来る状態ではなく、これまで病院以外にも鍼灸や整体・接骨院・マッサージ・漢方・心理療法・アロマ・カイロプラクティックなど15件以上の治療を試されてきましたが「変わらず、苦しい」との事で、当院に来院されました。
・胆石の発作の多くは排卵日前後2日くらいに生じる事が多いそうです。まれに、生理日前後にも生じることがあるそうです。
・Nさんは、16年前に左右とも卵巣嚢腫の手術をされています。その際、手術ミスで膀胱と小腸の一部を切除してしまい、開腹手術の後もしばらく入院していたそうです。退院後もしばしばイレウスで入退院を繰り返していたそうです。
・12年前に前置胎盤の為に帝王切開をしています。その際、小腸に壊死部がある事が分かり、同部分の切除術もされています。
・最近の定期検診で、下腹部臓器に癒着している部位がかなり広がっていて、特に左右卵巣付近がひどいそうです。
・不正性器出血はないそうです。オリモノに特段の異常(☚悪臭・血性・膿性など)はないそうです。
・食欲は普通で排便は毎日あるそうです。ほとんど軟便で、血便などは無いそうです。腹痛もほとんど無いそうです。微熱などの全身所見もありませんでした。
・血圧は上が90mmHgで、下は60 mmHgだそうです。血液検査で異常を指摘されたことは一度も無いそうです。
・右鎖骨上窩に著明な緊張と圧痛がありました。
・頭顔面や上肢あるいは下肢に浮腫みはありませんでした。
・空咳は常時あるそうですが、痰や呼吸困難は無いそうです。
・胸部聴診上、特段の所見はありませんでした。
・右胸骨右縁(R1~7)に著明な硬化と圧痛がありました。
・腹部聴診上、グル音は弱く聴取出来ました。血管雑音は聴取出来ませんでした。
・腹部打診上、全般的に鼓音を聴取出来ました。
・腹部触診上、平坦-軟でやや膨隆気味ですが、腫瘤感や抵抗感はありませんでした。肝脾腫もありませんでした。しかし、腹部全般的に消化管平滑筋の緊張感-柔軟感(トーヌス)は無い状態でした。胆嚢底は右季肋部の下で少し膨張した感触で触診できました。表面は緊張しやや凹凸がありました。
・心肺系の既往歴はありませんでした。
⑴ 上腹部消化管の緊張を解放する
⑵ 胆嚢の筋力を回復し、胆汁の排出を回復-促進する
・平滑筋テクニック
・胆嚢解放テクニック
・胆嚢治療の2診目治療時(☚実際には初診から5診目)、
・胆嚢治療の6診目治療時(☚実際には初診から9診目)、
・胆嚢治療の10診目治療時(☚実際には初診から13診目で初診から11週間後)、
◆ 胆石の整体治療の前にする事が、、、
・そして、ようやく4診目から胆嚢の治療が出来る状態になり、胆嚢への施術をしました。当院では、今まで数々の胆石治療をしてきて、大概の場合、最初の施術時から「シューッ」と言った胆汁の排出音が聞こえるのですが、しかしNさんは最初の施術時にはその排出音は聴取出来ませんでした。それが聴取出来たのは2診目でした、それも弱々しい音として、、、。それだけNさんの胆嚢平滑筋の筋力は衰えていたのでしょうか、、。Nさんの既往歴を思うと、本当に辛い16年間だった、と同情の念を強くしました。
・１０回ほどの整体治療で膨張していた胆嚢も小さく収縮していましたが、これは今まで長年に渡り残存していた胆石・胆汁が大幅に排出することができたからでは、と思います。また、整体治療中の胆汁排出音も元気の良い状態に至っていたので、手技により胆嚢平滑筋の疲労が減じて同筋の活力も回復基調で進展していったように見受けられました。
・この様に胆嚢も平滑筋と呼ばれる種類の筋肉であるので、その筋力を整体手技で回復させてあげると、自ずと胆嚢自ら残存している胆石(胆泥、胆砂、胆汁)を排出させられる自浄機能を取り戻す事ができ、薬や手術によらなくても胆石症=疝痛発作=を解消することができるのでは、と改めて思いました。
それではお大事にしてください。
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