マッサージ器で改善しない慢性の肩こり-背中痛と整体治療 | 【大阪】 整体師養成校 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院                      JHSC整体治療室 = 公式ブログ

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マッサージ器で改善しない慢性の肩こり-背中痛と整体治療
患者Aさん=61才-男性の症例
 
 
 
 
 
① Aさんの病歴・・・
患者Aさんは元々「慢性のこり症」で、肩こりに限らず背中痛や腰痛など、様々な部位に「こりによる痛み」があるそうです。ですから十数年前から自宅にリクライニング性の「自動マッサージ器」を購入して、それで肩や腰を毎日の様に数十分から1時間前後マッサージしていたそうです。ところが、15日ほど前からマッサージ機ではほぐれない「肩こり-背中痛」が生じたそうです。接骨院で背中-肩のマッサージや脊椎の矯正をしてもらったり、鍼灸院で鍼治療をしても改善しなかったので、今回の来院となりました。
 
 
 
② Aさんの診察
・直近の検査で特段の異常は指摘されていないそうです。血圧は120/70mmHgだそうです。
・肩まわりの皮膚がピンと張っていて、両肩を大きく振り回すぶん回し運動がしにくいそうです。
・めまい、発熱、動悸、不整脈、呼吸困難、咳や痰、喘息、嚥下障害などは無いそうです。呼吸による痛みの変動も無いそうです。
・甲状腺の腫脹・腫瘤はありませんでした。気管は正中部で垂直にありました。眼球の位置も正常でした。
・歩行も正常で、手指のしびれ感や巧緻運動障害もありませんでした。
・胸部聴診上、心音や呼吸音に異常はありませんでした。胸部の血管雑音も聴取出来ませんでした。
・胸部打診上、特段の所見はありませんでした。
・胸部(胸郭)触診上、胸鎖関節、肩鎖関節、肩関節、胸肋関節、肋椎関節にフィクセーションはありませんでした。
・腹部聴診上、血管雑音などの所見はありませんでした。グル音は軽微ですが聴取できました。
・腹部触診上、若干の緊張と圧痛はありましたが、特段の所見はありませんでした。肝脾腫もありませんでした。
・胸鎖乳突筋、斜角筋、茎突舌骨筋、頸長筋、舌骨下筋群など、頸部前面の筋肉群に著明な緊張-張りと圧痛がありました。後頚部から肩-背中の筋肉群の緊張はありましたが張りは無く、皮膚全体は軽度にたるんでいました。
・脊椎-骨盤に特段のサブラクセーションはありませんでした(☚上記①-Aさんの病歴より、接骨院で矯正済み?)。
 
 
 
③ 治療目標と整体治療
    ⑴ 頸部前面の筋肉群と頸筋膜の緊張を緩和する
・頸部前面の筋肉群の推拿(圧法)
 
 
 
④ 経過と結果・・・
・初診治療中、「そんな所が凝っているんですね~?! そんな所の治療は初めてです~」」と、施術に痛がりながらもビックリされていました。

・初診治療後、「肩がこんなにぶん回せます!」と両肩を大きくぶん回しされて驚いておられました。肩こりと背中痛も治療前の1-2割程度まで解消していました。念のために精査を勧めて、とりあえず今回の治療を一応終了する事にして、様子を見てもらう事にしました。
 
 
 
 
⑤  今回の症例の概説、、、
・今回のAさんの肩コリ-背中痛ケースでは、「毎日の様にマッサージ器で背中や肩をマッサージしていているが、今回その効果が出無い」との事ですから、これは単純-素直に「普段マッサージしている肩-背中以外に他に原因があるのでは」と考えるのが順当な手順だと思います。

・この「他の原因」ですが、細かく言うと何十-何百もその原因が考えられますが、まず第一に考えなければならない事は、大雑把に「その痛みの原因が内科的な異常によるものでは?!」という事です。今回もその治療終了後に念の為の精査を勧めておきましたが、ただ当院での整体治療前に整体師レベルで可能な範囲の内科的診察をしてみますと(☚上記②Aさんの診察参照)、直ちに専門的な精査が必要な所見が見当たらなかったので、とりあえず「肩こり-背中痛の内科的原因仮説」を否定しました。

・では、内科的以外の「その他の原因」ですが、有力な仮説として「筋肉-筋膜の緊張のアンバランス」が考えられました。つまりAさんは「毎日の様に肩~背中~腰」の筋肉群のマッサージをされていますので、「身体の背面」の筋肉群は常にケアしている事になります。ところが「身体の前面」ことに肩や背中に直結する頚部前面筋肉群に対しては全くケアはされていませんでした。(☚と言うより、同部をケアする医療機関そのものがほとんど無いと思われます)

・その観点からAさんを診てみると、上記「②Aさんの診察」でも記した様に
「胸鎖乳突筋、斜角筋、茎突舌骨筋、頸長筋、舌骨下筋群など、頸部前面の筋肉群に著明な緊張-張りと圧痛がありました。後頚部から肩-背中の筋肉群の緊張はありましたが張りは無く、皮膚全体は軽度にたるんでいました。」
が確認されました。

・上記から、「頚部前面の筋肉群は緊張しっぱなし⇔頚部後面-背中の筋肉群はほぐされている」事が予想され、その結果頚部前面の筋肉群を包んでいる「頸筋膜の緊張」が著明になり、その頸筋膜の緊張が「肩から背中の筋膜に波及する」事で「肩から背中の痛み(筋膜痛)」が生じているのでは、と仮説を立てました。

・上記仮説を元にして「➂治療目標と整体治療」に掲げる
   ⑴ 頸部前面の筋肉群と頸筋膜の緊張を緩和する
       頸部前面の筋肉群の推拿(圧法)
を施術したところ、Aさんが仰るように
「肩がこんなにぶん回せます!」と両肩を大きくぶん回しされ、肩こりと背中痛も治療前の1-2割程度まで解消していたのでは、と思います。おそらく頚部前面の筋肉-筋膜の緊張が緩和される事で、それまで引っ張られていた背部の筋膜の緊張も解消し、その結果肩から背中の筋膜痛が解消したのでは、と推定しました。
 
 
 
・先述の様に、頚部の背側-肩-背中にかけては色々な治療院や患者自身でもケアされていますが、頚部前面のケアがされている事はほぼ無いようです。しかし、だからこそ頚部前面のケアは今回の慢性の肩こり-背中痛のケースに限らず、その他の色々な症状-疾患(眼、耳、鼻、口の症状-疾患☚当院のHPを参照)に対しても有効であることが改めて示された症例だと思います。
 
 
 
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