胆石症と整体治療
胆嚢平滑筋の疲労と緊張を緩和し、胆泥を自力排泄できるようにした症例の解説です。
患者=Kさん-34才-女性/主婦
はじめに・・・胆嚢の機能と胆石症の整体治療…
・胆嚢とは、肝臓で生成された胆汁を食事時に分泌するまでの間一次保管し、数十倍にまで濃縮する、平滑筋で出来たきんちゃく状の臓器です。つまり、ウスターソースを超濃縮したとんかつソースの様にドロドロにする臓器です。
・ですから、胆嚢平滑筋の筋力が減退して胆汁の排出力が低下すると、ドロドロの胆汁が胆嚢内に停滞し、結石化しやすくなると思われます(他にもメタボなどの原因があります)。
・当院の胆石症治療はこの考えに基づいて「胆嚢平滑筋の筋力の回復」を主軸に、胆嚢内に満杯になっている胆汁(胆石・胆砂)の自己排出力を改善する事で、胆石治療に臨んでいます。
Kさんは他に特段の合併症も無かったので、比較的順調に改善していった症例でした。
それでは、長文ですがよろしくお読みください。
不明な点やご質問は当院お問い合わせHPか、お電話 (06-6180-6880) にてご相談ください。
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① Kさんの病歴・・・
患者Kさんは胆石症がある事は12年前の検診でご存じだったそうですが、症状はなにもなく、そのまま放置されていたそうです。ところが1かけ月ほど前にみぞおちあたりと背中に急激に突き刺すような疝痛発作が生じたそうです。思えば2年前にも軽度ですが今回と似た症状があったそうですが、数分で治まったので放置していたそうです。病院での診察はやはり胆石で、大きさは砂状程度ですがそれが相当たまって胆嚢が腫脹していたそうです。その時は発作は治まっていたので特段の治療をせずに帰宅されたそうです。その後、一~二度軽い発作様の痛みがあり、当院に来院されました。
② Kさんの診察
・病院での検査では少し肝臓の数値があがっていたそうです。(詳細は不明)
・エコー検査では胆嚢は腫脹していたそうですが、胆嚢壁の肥厚はないそうです。
・血圧は正常ですが、血液検査では少し脂質異常症があったそうです。その他の異常はないそうです。
・腹部の聴診上、血管雑音はありませんでした。グル音は全体的に減弱していて、亢進部位はありませんでした。
・腹部打診上、腹部全判的に濁音でした。毎日便通はあるそうです。
・右季肋部腹壁に緊張と圧痛がありました。
・結膜の黄染や褐色尿、灰白便は今まで一度もなかったそうです。
・右肩と右背部に軽度の鈍痛が持続しているそうです。右背部を巧打すると巧打痛が生じました。炊事している時など背中が張って一番つらく、気分が悪くなることもあるそうです。
③ 治療目標と整体治療
(ア) 胆嚢平滑筋の疲労と緊張を緩和し、胆泥を自力排泄できるようにする。
・胆嚢の内臓整体、平滑筋テクニック
・総胆管のマニピュレーション
・オッディ括約筋テクナック
・小腸・大腸の平滑筋テクニック
④ 経過と結果・・・
・施術中、
右季肋部より微細な、しかし勢いのある排泄音を数回確認しました。施術前の触診では腫脹した胆嚢底を触診できましたが、施術終了後には若干腫脹が小さくなっているようでした。
初回の治療で、右季肋部の圧痛は半減していました。右肩~背中の張りも20%ほど減少していました。
・5回目来院時、
右季肋部の圧痛と右肩~背部の張り、及び背部の巧打痛はほとんど解消していました。胆嚢底も触診しにくくなるくらい小さくなっているようでした。
・7回目の来院時、
上記②の所見はほとんど解消していたので、折をみてエコー検査等を受けて確認してもらう事を伝え、一応の治療終了としました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
・胆石が大きい場合は整体治療が難しいケースもありますが、石が小さい場合は整体治療で意外と自力排泄まで回復させる事があります。今回のKさんのケースでは胆泥であったため、7回の施術と比較的短時間で治療終了出来たものと思います。
・胆嚢も平滑筋と呼ばれる種類の筋肉ですから、その筋力を回復させてあげれば今回の様に自力回復が充分可能な疾患だと思います。
・胆石が生じる機序は色々と学説がありますが、「胆汁の流れが落ちている状態=胆汁が固まりやすい」もその一つの仮説と考えれば、飽食の時代で胃腸などの消化器臓器がオーバーワーク状態(疲労状態)に陥り、その一環の胆嚢の平滑筋も筋力低下による機能障害になって、胆汁の流れが低下し結石化しやすいのでは、、、と推定できます。
・従って「胆嚢の内臓整体、平滑筋テクニック」などで胆嚢の平滑筋筋力を回復させてあげることが、本症の治療・予防に大いに貢献するのでは、と考えます。
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