水彩の常識は非常識《改訂・再掲》- Watercolor common sense? - | 塾長の日記

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透明水彩絵の具で水彩画を描く時は…
 

×薄い色からだんだん濃くしていく?

×明るいところは薄く塗る?

×鉛筆でしっかり下描きして一つずつ塗っていく? 
×奥は暗く、遠くは薄く?
×描きこめば前に出る?
×暗くすれば陰(影)になる?
×固有色+グレーで陰(影)を描く?

×描き込みって筆数を増やすこと?
×同系色の濃淡で立体感を出す?
×葉っぱは緑、リンゴは赤?
×時間をかければ絵が良くなる?
×丁寧にゆっくり描く?
×3色以上混ぜると濁る?
×光が来る方の背景(バック)は明るくする?

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これって、水彩画の常識? 


私は必ずしも正解とは言えないと思う…

 

というか、

ほとんど間違いと言った方がいいと思う。


『えっ!? 私は先生にこう言われたけど…。』

という方も多いだろう。

 

 

 

だけど、よく考えてみてほしい。

 

 

 


例えば、“薄い色からだんだん濃くしていく” という常識は本当に正しいのだろうか? 

 

 

“紅葉の風景”で考えてみよう。

 

 

●鮮やかな紅葉の風景を描く時、水で薄めたオレンジを何度も塗って濃くしていくのだろうか? 

 

私は濃いオレンジ色を一気に塗る。

どうせ最後に濃いオレンジ色を塗るのなら、

紙に一度がフレッシュだから。


透明水彩絵具の場合、

白い紙に一回塗った色が一番美しいと思う。

 


水彩画を描くということは、きれいな白い紙を汚していくことでもある。出来るだけ紙に近い状態、紙に近いところで仕上げていけば色の鮮度は保たれる。

 

 

 

紅葉のオレンジ色(葉の明るいところ)は、
一回目からかなり濃く溶いてたっぷりのせる。そして触らない。
 
 
image
最初のオレンジを活かすように塗り残して
暗いところ、細かいところへ進む。

 

 

 


●“奥は暗く、遠くは薄く” と思ってはいまいか?

 

既にこの時点で矛盾がある。奥”も“遠く”も同じ意味ではないか? なのに一方は“暗く”、もう一方は“薄く→明るく”となってしまう。

 

風景の “遠景=奥” は大気の層があるので“薄く、青く”なるが、静物の際、“奥”は霞んだりしない。

また、逆光の場合、“奥”の方が明るくなないか?


これらはほんの一例だが、“常識”は“非常識”な場合がしばしばあるということ。

 

 まずは余計な情報や先入観にとらわれず、よく観察して“自分なり”の判断(独断)で描いてみることが肝要と思う。
 
 

『“描き方”が 分からないから描けない』 と言っていてはスキルは上がらない。 『まず描いて、何が分からないのか、足りないのかを探る』 姿勢が上達の近道なのではないのかな。

 
 
数学や科学のような 絶対的正解 を求めているばかりでは前途多難だ。 そんなものないのだから。 (^ ^)v

 

 

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