昔、あるコーチングを受けている際にコーチからこんなことを言われた。


「それを達成したら何か自分にご褒美をあげたらどうですか?」


私は、ご褒美は人から功績を認められ頂戴するもので、自分で自分にご褒美をあげるほど、思い上がった人間ではないと感じた。その当時は“ご褒美”という語感からそういうニュアンスで受け止めていた。


で、その質問をしばし考えてから、こう答えた。


「自分にご褒美をあげる習慣はありません。」


そのコーチがどう反応したかはもう覚えていないが、何ともつれないクライアントだったものだ。



「それを達成したら自分にどんなご褒美をあげますか?」という質問は、コーチングのテキストに載っている典型的な質問かもしれないが、クライアントによってはそのまま使うと誤解を生んだり、通じなかったりする。


誤解を生まないためには、なぜそれが必要なのか、どんなものなのかを説明し、理解してもらわなければならない。


私がコーチだったら、「自分で自分にご褒美をあげるなんて、少し変な感じがしますが、最近の行動分析学の研究によると“ご褒美をあげる”ということで、行動を促したり、継続することに効果があるのです。目の前にニンジンを自分でぶら下げるんですよ。」といった説明を加えるだろう。


会議のファシリテーションやチームビルディングの場面でも、質問やアクティビティだけでは乗り切れない。


なぜこれを今やる必要があるのか、どういう位置づけなのか、どのように進めるのかということを説明できないといけない。


ファシリテーションにおいても、質問集をすべて覚えようとするよりも、いくつかの質問を使いこなせるようになってからレパートリーを増やすほうがいいと思う。


自分が発した質問で、クライアントがキョトンとしていないか、振り返ってみよう。

コンサルティングの仕事では、会社の方向性を検討し、戦略を立案したり、ということが多くある。


だが、どんなにいい戦略や取り組みを示しても社長がその気にならないと進まない。


たとえ、客観的にすごく簡単な取り組みを示しても、社長が難しいと感じてしまうと、こちらとしては、そこに成果が見えていても断念せざるを得ないこともある。


データや分析などの論理の問題ではなく、感情の問題なので一筋縄ではいかない。


そうなると、こちらの役割をコンサルタントからカウンラーのような領域にまで拡大していくか、社長のメンタルモデルに合った施策を粛々と実施するしかない。


ジレンマである。


どちらにしても時間がかかる。


成果が出るまで時間とキャッシュフローが許してくれればいいが。

「階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する。」


「仕事は、まだ無能レベルに達していないものによって行われている。」


40年前に書かれた本であるが、階層社会における無能をおもしろく説明している。無能な上司に悩まされている人は必読かも。


『ピーターの法則』ローレンス・J・ピーター レイモンド・ハル著 ダイヤモンド社