明日から始まる研修の教室にたたずむことや受講生がみな帰った後のがらんとした教室が好きだ。



研修会場と宿泊施設が同じで、しかも前泊するときには、前日に教室を見せてもらうことがある。



明日のために配置された机といす。テキストやワークシート、備品が整然と並んでいる。まるで、明日始まる物語を待つ舞台のように感じる。



教壇に立つ。



一気にボルテージが上がる。



誰もいない教室を見渡して、明日の研修に思いをはせる。



教壇を降りて、教室を歩き回る。そして、受講生の席に座ったり、教室の後ろから自分が立っている教壇や受講生の後姿をイメージしながら、眺める。



きっと明日もうまくいくという実感を得たら、教室を後にする。



会場の担当者など誰もいない場合は、そこで、明日の研修の講義をリハーサルしてみることもある。



これがまた楽しい。



乗ってくるとついつい30分以上もしゃべっていたりする。




そして、研修が終わったあとの教室。



研修終了後もたいていはクライアントの担当者がいたり、教室を早く閉めないといけなかったり、懇親会があったりと、教室で一人になれることはめったにない。



だから、研修終了後の教室で一人になれる時は、しばしその日の研修を振り返る。



研修をやりきったという心地よい疲れと充実感、幸せなひとときである。



受講生の表情や自分の発した一つひとつの言葉、教室の空気の変化などを反芻する。



あの時、こういう受け答えをしたほうがよかったかなとか、あのセリフは決まったなどと一人悦に入る。

たまには、受講者アンケートを読み返してみるのもいい。


受講者のポジティブな評価は、何物にも代えがたい宝のようなものだ。


自分自身の存在価値や付加価値を改めて確認することができるし、受講生やクライアントの会社、研修のご担当者に感謝の気持ちがわいてくる。


先日実施したチームビルディング研修のアンケートでは、こんなコメントがあった。


「三宅講師のどこか安らぐようなファシリテーション(草野仁さん風な)や進行の仕方がとても印象的でした。」


う~ん、なるほど。草野仁さんね・・・。今度から研修にひとし君人形を持っていくか・・・。


研修という専門サービス業は、製品や商品として形に残らないので、アンケートを読み返し、そこから自分という商品の強みや特長、付加価値を見出したり、再確認することは、マーケティング的にも必要な作業であろう。


最近のアンケートを読み返してみた結果、私という商品を以下のように再確認できた。(以下アンケート抜粋)


11つのご説明が、分かりやすく丁寧で、実例や自身の過去の体験をもとに説明していただけたので、説得力があった。


・質問し易い雰囲気があり、受講者の質問に答えるときも11で話しているように上っ面ではない言葉を投げかけ、相手が委縮しないような返答をされていたのが印象的でした。また、質問に対する答えの引き出しの多さに驚きました。



・聴いていて楽しく、つねに興味をもっていられた。次はどんな事をするのだろうと、わくわくさせる話し方は大変参考になった。


・他の参加者の問題発言に対して、柔らかく、しかし毅然と注意をなさっており、講師として職業意識の高さを感じた。


・日頃耳にしない用語などをかみ砕いて丁寧に説明いただき、現場にあてはめての照らし合わせを簡単にしつつ、研修を受けることができました。


・スキルを考えずに行動に移せるレベルまで理解し反応できるように、講師の方も日々実践されているのだと感じました。非常に説得力のある方でした。


・長時間の研修を取り仕切るのは大変だったと思いますが、終始明るく元気な態度で臨まれていたのが好印象でした。


・場の温度の高め方が流石でした。気がつくと前に前に、参加しようという意識が高まっていました。

極端に言うと研修開始から15分間でその研修の成否は決定付けられる。ここで受講生の心をつかみ、教室の雰囲気を作り上げることができれば、後は自然に流れていく。


私が講師のトレーニングを受けた先輩講師は、口を酸っぱくして言っていた。


「最初の15分間で、受講生の心をわしづかみにしろ!」


そのために必要な要素を考察していこう。


1.あいさつは大きな声で

  これだけでも印象は全く違う。挨拶だけが元気で後は研修中ずっと小さな声でしゃべっている講師を見たことがあるが、それでも挨拶のおかげである程度のアンケート評価は取れていた。


2.最高の笑顔を練習しておく

 鏡に向かってリハーサルをしていれば、自分の最高の笑顔はおのずとわかると思う。笑顔だけでなく、こういう感じの話をするときはこの表情、こういう質問を投げかけるときはこの表情ということがわかってくるだろう。


3.プリフレームしておく

 NLPのひとつのテクニックでもあるが、研修の目的やねらいを説明し、研修終了後にどういう自分になれるかというイメージや具体的に研修で得られること、メリットなどを具体的に伝えて、モチベーションをあげること。


4.さりげなくすごいと思わせる

 自己紹介をする際には、これまでの実績や業績などを話しながら、この講師の話は信用に値すると思わせること。「いろんな企業で同じような研修をしているが、」とか、「先日ある大手の通信会社で、」など、具体的な話を織り交ぜていくといいだろう。


5.最初の15分間は、すらすらとしゃべれるように

私もアナウンサーではないので、レクチャーの途中で噛んでしまったり、言い間違えたり、どもったりすることは、多々ある。しかし、最初の15分間で話がつまってしまうと台無しである。徹底的にリハーサルをしたい。


6.その他

 マイクを使う場合は、聞こえるかどうか、音量は適切かを確認する。

 司会者がいない場合は、携帯電話をマナーモードにすることや休憩時間の間隔、トイレの場所なども案内する必要があるだろう。