まず始めに、母斑の治療について私たちが調べたこと、今までに先生方から聞いたことをまとめておきます。


▶︎ホームページ
日本形成外科学会…先天性巨大色素性母斑の定義と治療法について
小児慢性特定疾病情報センター…神経皮膚黒色症の定義と小児慢性特定疾病の認定について
日本医療研究開発機構…高圧処理の治験について
J-TEC(自家培養表皮『ジェイス』の製造会社のページ)…母斑治療について

▶︎ブログ
アメブロで母斑、黒あざなどで検索し、出てきたもの全てを読んで参考にさせていただきました。

▶︎出産した病院の小児科より
「先天性巨大色素性母斑で間違いないと思うので、専門の治療ができる大学病院へ紹介状を書きます。1ヶ月健診で他に何も問題がなければすぐに受診してください。」と言われ、府内の2つの大学病院のどちらかを選ぶことになりました。
退院後、自分たちでも調べてみましたが、片方が高圧処理の治験にも参加している大学病院だったのでそちらに決定。
(もしも診察を受けて納得できなければ、もう一方にも紹介状を書いてもらおうと夫と話していました。)

そして1ヶ月健診の際、「これだけの大きさの母斑があると神経皮膚黒色症のおそれもあるため、3つの診療科が連携して治療にあたることになりますが、まずは皮膚疾患なので皮膚科に紹介状を書きます。のちに大学病院内で形成外科へ院内紹介という形で受診してもらうことになります。小児科の神経外来へも紹介状を出すので、そちらは同時に受診してください。」とのことで、皮膚科と小児科2通の紹介状をもらって帰りました。

※診療科についての説明は以下の通り
①皮膚科
    悪性かどうかの診断、経過観察
②小児科(脳神経)
    脳のMRI検査、心身の発達の経過観察
③形成外科
    母斑細胞の除去手術


▶︎大学病院より
ここが現在もかかっている病院です。
当時の心境や細かい点については、過去の記事「いざ、大学病院デビュー!」「形成外科の初診」「母斑外来」をご参照ください。

⑴皮膚科
①初診(新患全員を診る先生)
・専門でないのではっきり言えないが、産院の小児科医が言う巨大色素性母斑で間違いないと思う。
・カンファレンスにかけて治療方針を決め、次回それをお伝えする。
・おそらく形成外科で手術することになると思うので、次回の受診後そのまま形成外科に院内紹介の手続きをとる。

②2回目の診察(皮膚腫瘍が専門の先生)
これは仕方ないことかもしれませんが、初診で言われたカンファレンスうんぬんの話は2回目では全く出てきませんでした。
初診、意味なしゲッソリ
まぁ今やから笑えるけど、当時はとにかく早く治療を始めてやりたい!と意気込んでいたので、この2週間を返せムキーと思いましたよ笑笑
・今のところ悪性のものはない。
・詳しくは母斑の部分の皮膚を一部取って検査に回して調べる。
→MRIで入院するときに同時に。
    ※MRIについては次の小児科のところで出てきます!
・治療法として、レーザー、切除(母斑を切り取って縫合する)、エキスパンダー(母斑近くの皮膚下にシリコン製バルーンを入れて皮膚を伸ばし、切除後の母斑部分に伸ばした皮膚をかぶせる)があるが、母斑の大きさから考えると切除とエキスパンダーになると思う。
・レーザーは悪性化予防の点で効果が期待できないため勧めない。
・全部取り切ろうと思うと10年ぐらいかかるかな?
・形成外科に院内紹介する。

③経過観察(半年に1回)
毎回ダーモスコープという拡大鏡を母斑に当てて、悪性化していないか診てもらいます。
単に当てて先生が覗くだけなので、もちろん痛みはなく、時間もかからず、息子も特に嫌がったことはありません。
※ちなみに…同じ病院の母斑仲間で皮膚科にかかっている人にはまだ会ったことがありません。
正直どっちでもいいかなと思うけど、半年以上あくと予約が取れなくなるので、念のためにと受診を続けています。
・悪性化しているものはない。
・日焼けはしないに越したことはないが、日光に当たってはいけないというものではない。
・母斑への刺激によって悪性化が引き起こされることはなくはないが、本人が掻いてしまうぐらいでは影響は大きくはないと思われる。保湿をしっかり。


⑵小児科
神経外来の先生に紹介状を書いてくれていて、その先生は母斑の子を診察したことがあるとのことで、話が非常にスムーズでした。
①初診
・まず懸念されるのは脳神経への影響。まだ月齢が低いので何とも言えないが、ともかくMRIを撮ってみよう。
→脳に母斑があっても問題なく成長している子がこの病院にもいる。
・これからは定期的に診察して、発達に問題がないかチェックする。
→形成外科での手術のため入院するだろうから、そのときに診察可能。 

②MRI検査
生後2ヶ月のとき、日帰りで検査を受けました。詳しくは「脳のMRI検査」鉛筆
・影が2つ写っているが、まだまだ脳も発達途中なので母斑とは断言できないし、観察が必要。
・次は1歳以降に。

③経過観察(入院中に病棟で)
・運動や言葉など順調に発達しているし、けいれんもないので、心配なさそう。
・当初は1歳過ぎにまたMRIと言っていたが、それも2歳過ぎでよさそう。

④MRI検査2回目
2歳になってすぐ検査しました。詳しくは『MRI検査②』鉛筆
・初回と同じく日帰り入院、今回は点滴で導眠。
・生後すぐのときに写っていた影はなくなっている。
・本当に母斑が脳にないかは分からないが、今後も特に症状がなければ頻繁に検査する必要はなさそう。


⑶形成外科
ここの形成外科では、月曜日午後に母斑外来が開設されていて、多くの母斑の子を治療している先生が診てくれます。他に熱傷などの皮膚再建の必要な方もたくさん診ておられるようです。
・この病院では、母斑は全て取る方針。ただし、取っても100%悪性化を防げるものでもないので、最終的には親に任せる。
・全部取るには10年ぐらいかかるかもしれないが、少なくとも目立つ大きなものについては5歳までに取り切ることを目指す。
・まず1歳までにキュレッティングで少しでも母斑細胞を減らしつつ色を薄くすることを狙う。1歳以降にエキスパンダー。(※後の診察で、まだ柔らかくて変形しやすい頭の骨に影響を与えないようにとのことで、2歳以降に変更になりました。)
・キュレッティングは早ければ早いほどいい。
・キュレッティングの際に病理検査用の検体を採取する。
・今進められている新しい治療法の臨床試験(募集は終了)について簡単に説明。今後もし適した臨床試験があれば知らせる。

▶︎私たち夫婦の決めたこと
形成外科で今の主治医の先生に出会い、いちばん聞きたかった「大丈夫、一緒に頑張りましょう」という力強い言葉をもらって、ここで治療しよう!と決めました。
・母斑は小学校に入学する前に全部取るつもりで、なるべく早く手術を始める。
・悪性化予防はもちろん、見た目もできる限りきれいになるように治療する。
・キュレッティング、切除から始め、最終的にはエキスパンダーもやる。
・主治医の先生を信頼して、大まかな希望以外は全てお任せする。
・脳の母斑については、悪性化の可能性が心配しても仕方ないぐらいのレベルなので、普段は忘れて前向きに治療する。