■質問内容

二段階移植を今回初めてします。 現在、タムロリムスとルトラールとファモターを服用していて最初の移植から13日後に妊娠(着床)判定を予定しています。


タムロリムスとファモターはその前日分まで、ルトラールは当日分まで処方されています。 タムロリムスは流産のリスクがあったり、胎児に奇形などの影響があるという記事を見ました。 一回目の移植で着床している場合、絶対過敏期に入るため、2回目の移植判定日に合わせた薬の服用では危ないんじゃないか?と疑問に思いました。


3つの薬をそのまま飲み続けても大丈夫でしょうか?また、その理由も教えてください。

 

■当院からの回答

3剤ともに指示通り内服して頂いても大丈夫です。

 

ファモター(低用量アスピリンは、自己免疫異常(抗リン脂質抗体陽性など)や凝固機能検査に異常を認める場合に妊娠判定日前日まで、妊娠成立時は継続内服を行います。


ルトラール(黄体ホルモン剤)は、着床判定で陽性が確認できれば翌日からルティナス膣剤へ変更としています。

 

 タクロリムス(免疫抑制剤)は、着床不全で同種免疫異常(Th1/Th210.3)を認める場合に着床判定前日まで内服としています。着床判定で陽性が確認できれば当院では内服中止としておりますが、妊娠中も内服可能となっています(添付文書記載が変更されています)。不育症の方では妊娠成立後も内服継続を推奨される場合があります。

 

タクロリムスは、本来、免疫に異常が生じて自身の体を攻撃する膠原(こうげん)病などの重い自己免疫疾患や、臓器移植後の患者向けの薬です。


反復着床不全Th1/Th2比増加(10.3以上)した方を対象とし、タクロリムスを使用することで、着床率が改善、流産率が低下し、妊娠継続率が改善したことが報告されました。Am J Reprod Immunol 2015; 73: 353


タクロリムスは、妊婦には禁忌とされてきたため、妊娠を諦めたり中絶したりするほか、妊娠後に薬をやめて症状が悪化した事例もあったといわれています。

 

国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」が海外報告調査によると「赤ちゃんが奇形になる割合が上がるなどの影響は確認されませんでした」。


20186月、厚労省は、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合は使って良い」との趣旨の注意喚起を添付文書に記載しました。

 

以下の記事も参照してください。

妊婦の使用制限を解除へ=免疫抑制剤3種-厚労省

体外受精のオプション治療

2019年8 当院望妊治療での妊娠周期

2019 年5 当院望妊治療での妊娠周期