■質問内容
Q.1
良好胚盤胞を移植しても着床しないため、子宮鏡検査をすることとなりました。 子宮鏡検査を周期30日目となる日に予定しています。内膜が厚くなっており検査に適さないということはないでしょうか?
Q.2
月経周期7日目で子宮鏡検査を受け、現在11日目ですが、まだ少し茶色のおりものが出ます。検査後の抗生剤は飲みきっており、通常月経7日目でこのような出血は終わってきました。 検査後の出血は、いつまで様子を見ていていいのでしょうか?
■当院からの回答
子宮鏡検査は下記のいずれかの時期に行っています。
- 妊娠判定陰性後の高温期
- 月経終了後(月経周期6-9日目)
子宮鏡の目的は下記です
- 着床不全の原因となる可能性がある子宮内腔の変形
- ポリープ(サイズ・数・位置)
- 異常血管や発赤
- 卵管口の状態など
- 子宮内膜スクラッチ効果
慢性子宮内膜炎の診断については、病理検査(CD-138免疫組織染色)により診断することになります。
子宮鏡検査後の数日間は出血がある可能性がありますが、徐々に茶色に変化し量も減少します。 検査後1週間以上出血が続くようであれば受診してください。
慢性子宮内膜炎(CE)の診断に子宮鏡が有効か否かを検討したものです(Fertil Steril 2019; 111: 772)、子宮鏡は予備検査としての意義はあるが、CEの確定診断にはCD138免疫染色検査が必要であることを示しています。
子宮鏡+内膜細胞CD138染色を同時に実施した方1189名を対象に、慢性子宮内膜炎の診断精度を後方視的に検討した結果、CD138細胞免疫染色による慢性子宮内膜炎は27.1%に認められました。一方、子宮鏡では38.2%に異常所見が認められ、内訳は充血34.7%、浮腫3.5%、マイクロポリープ2.1%でした(重複あり)。CD138細胞による慢性子宮内膜炎は、充血のみられた方の39.5%、浮腫のみられた方の51.9%、マイクロポリープのみられた方の53.5%、2個以上の異常所見のみられた方の64.0%に認められました。子宮鏡による慢性子宮内膜炎の診断は、感度59.3%、特異度69.7%、陽性的中率42.1%、陰性的中率82.8%、診断精度66.9%となりました。
子宮鏡検査で充血、浮腫、マイクロポリープが認められると慢性子宮内膜炎の存在を疑う所見とされていますが、慢性子宮内膜炎(CE)の確定診断は、CD138細胞免疫染色です。かつて、本論文は、慢性子宮内膜炎の診断に子宮鏡が有効か否かを後方視的に検討したものであり、診断精度が67%ではCD138細胞の代用にはならない(子宮鏡は子宮内腔を直視下に観察でき、予備検査や子宮内膜スクラッチの意味合いは期待できる)としています。
着床不全関連の以下の記事もご確認ください。
子宮鏡
慢性子宮内膜炎