前回に引き続き、東京女子プロレスについて未アップだった未完の文をアップ。

これまた結構前、5月に書いたものなんで今となっては現実と乖離してる箇所があるが、あと解釈としてどうなのか…というとこがあるが(←これがこれまでアップしなかった理由)、今回も修正せずにそのままアップする。

 

5月8日に坂崎ユカの東京女子卒業の発表会見が行われ、驚いたというか、遂にこの日が来たか…というか、

概要としては

・12.1後楽園ホール大会をもって東京女子卒業

・海外マットで現役続行

・日本のリングに上がることはもう無い

・瑞希には以前から相談していた

・東京女子にはずっといたい、プロレスも好き、コンディションも問題なし

・東京女子代表の甲田いわく、“新陳代謝”

…それに対する俺の感想というか、そういう文。

 

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最初記者会見見て全然意味わからんかった。坂崎の話す出ていく理由がさっぱり要領を得ない。プロレスは好きだ、東京女子も大好きだ、体の調子も悪くない、でも出ていくって、意味がわからない。

で、マスコミとの質疑応答で同席していた甲田に対する質問、それに対する甲田の答えで、あぁ選手は居続けたくてもどうも会社側が初期メンや年齢のいってる選手たちに対して、まぁクビにはしないけどやんわりいずれ出ていってくれってことなのか…と感じた。

要は甲田にとってのポイントは「新陳代謝」であって、団体の特色としてフレッシュさみたいな。

そして5/17発売の週プロ5.31 No.2245に掲載された坂崎インタビューは、その解釈を強固にした。

ここでは記者会見にはなかった発言もある。記者会見の話だとまるでもう2度と日本では試合しないと捉えられたが、週プロインタビューでは東京女子には上がるかもしれない言っている。

やはり坂崎自身は辞めたくなく、卒業は会社からのやんわり要求だったのだろうと思われる。自分は辞めたくないが会社の方針だから仕方がない→まず自分が世代交代で東京女子を出ていく、その背中をみせるという、坂崎の哀しい決心というか。

 

瑞希とのプリプリ戦が決まった伊藤が、瑞希戦のために1ヵ月アメリカ修行とか言い出して行くことになったが、単発とか1週でなく1ヵ月行くことを平気で容認するところからも、会社としては今のトップどころにはもう退いてもらいたいと思ってるらしいことがうかがえる、と取ることができる。山下が半分アメリカに拠点移してるような現状で、坂崎の卒業発表に加えすぐさま坂崎アメリカ(1ヵ月だっけ?)遠征、この状況下で伊藤の1ヵ月遠征もOKするということは、会社はもはや山下・坂崎・伊藤を戦力とみなしていない。すでにいないも同然のものとして経営を進めているわけだ。

これが全く理解出来ない。この3人は東京女子が他団体に(対抗戦ではなく存在として)対抗するうえでポイントであり、なんなら最終兵器ともいえるかもしれないのに、それを排除する方向性の経営というのはあり得ず、何やら全女の25歳定年制を彷彿とさせる。

 

人を育てるというのは大変なことだ。一朝一夕にはいかない。2013年にデビューした初期メンだが(辰巳リカは坂崎に誘われて一緒に入ってきて、坂崎は12月デビューでリカは明けて翌年1月デビューなんで、俺はリカも初期メンと捉えている)、個性・実力共に完成されたといえるのは2020年あたりじゃないか? 早くて2019年あたりか? 2018年あたりはまだだろう。渡辺未詩だってトップの一角になるのに5年かかった。

というようにトップレスラーを育て上げるのには年月が要る。

さらに団体として頭が痛いというか注意しないとならないことは、苦労して育てた選手が他所の団体に移籍すること・あるいは他所から引き抜かれることだ。こんな徒労もない。(このケースで非常に痛々しかったのはマーベラスだろう。)

でも山下・中島・坂崎・リカは東京女子を好きであり続け、伊藤も日本国内の他所の団体に移籍する気はないだろう。

ミサヲやぽむなどの中堅どころの面白い選手の存在、アブガ(プ)・鈴芽などの若手の成長、思いのほか良かったSKE荒井の獲得…

2022年、東京女子の布陣は遂に完成されたといえた。両国国技館にも進出した。

…ところが2023年、山下の卒業を匂わせる海外への比重の置き換えがあり、その矢先に今度は坂崎が本当に卒業、いきなりツートップを失うという状況。

山下の方は本人の海外志向が強くて数年前から甲田に相談してたというからまぁしょうがないが、坂崎については遠回しに出ていかされる感が強い。

甲田はやっと完成したものを、自ら解体にかかっている。少なくとも俺にはそう見える。何を考えているんだ?と怒りすら感じる。

この先 山下もいなくなり、中島・リカも追い出されるとなったら、これから東京女子を見る時に常に頭にそれがついてまわる。10~20代でなくなったら出ていってねという、そういう団体なのだと。

30代が一番面白い。なのに絶頂期で切るという方向性が信じ難い。

繰り返すが人を育成するのには年月がかかる。それがやっと完成されたところで切るというのは愚かにも程がある。

坂崎の絶頂期は数年続いたはずだった。2021年には間違いなく完成されてたから、あともう数年。でも追いやられた。

発言からすると、単発で“外様”でなく所属選手として東京女子に戻る選択肢はもう無いそうで。

前に散々言ったが東京女子はオンリーワンだから、山下実優が海外に拠点を移したら「東京女子プロレスの山下実優」は永遠に失われてしまう。

だから2023年12月1日、「東京女子プロレスの坂崎ユカ」もまた永遠に失われる。

これまでの坂崎が好きだった人にとっては、これは最早坂崎ユカの半リタイアに近い。これも前に書いたが海外マットでの彼女らは国内=東京女子での魅力にまったく及ばない。東京女子のような世界・スタイルは他のどこにもないからだ。海外のスタイルに寄せることになる。そうするとこれまでの良さ・魅力は大幅に失われる。

今回の坂崎の卒業を前向きに後押しするようなコメントが多いようだが、呆れてしまう。スマホ・SNS人種は短期意識だからか? これが前向きな卒業なわけがない。絶頂期かつ本人の意志は居続けたいのに、会社の求める方向性によって押し出され、そして海外で現役を続けても、海外ではもうこれまでのようなユーモラスなユカっちは見れないし、東京女子で山下なんかと繰り広げてたような対応型のソリッドでハードなシリアスファイトも海外プロレスでは出来ない。

ある意味坂崎は12月1日で終わると言える。

加えて週プロインタビューで坂崎は主戦場となるAEWで生き残りが重要みたいなことを語っており、生き残れなかった場合、東京女子に戻る選択肢が無いので そこで失業となる。本人が体がまだまだやれてもメンタルがまだまだやりたくても実質的な引退だ。

まだやりたくても体が駄目で引退せざるを得ないのも哀しい終わり方だが、まだやりたくて体もやれるのに引退せざるを得ないのはもっと哀しい終わり方ではないか?

東京女子の選手に待ち受ける末路がそんなとは、これから東京女子を純粋に楽しんで観れなくなりそうだ、というより俺はすでに坂崎の卒業記者会見以降東京女子を想う度に暗い気持ちになっている。

東京女子はサンクチュアリであると前に書いたが、12月1日は東京女子がマイノリティのサンクチュアリでなくなる日、マイノリティにとっては終焉の日ともいえる。せっかく辿り着いたのに、ベテランは出ていってねの経営方針だからだ。

 

うなぎひまわりが出ていったのは人間的に東京女子にそぐわなかったからだろう。それはスターダムでのウナギを見てて思ってたし、坂崎も先の週プロインタビューで東京女子の人間関係の良さに言及した時に「うちの空気感に合う子しかもう残ってないと思うので」と言っている。

白川未奈が出ていったのは別の理由だろうと思う。つまり年齢だ。ちゃんみなのテーマが年齢(や世間一般の観念)に対する挑戦というのは以前書いた。ちゃんみなには焦燥感があったのだろう(あと父親に対する感情)、私には時間がない(あと父親に認めさせたい)、だから東京女子(業界2位)から、よりデカいスターダムへ移ることにしたのだろう(ちゃんみなが離れたのは東京女子がまだ両国に進出する前だった。ちなみに俺に言わせると日本の女子プロレス団体で地力で業界1位なのはスターダムではなく実は東京女子。その話までしてると長くなる&主旨からズレるので今回は割愛するが)。

万喜なつみは単にもっと売れたかったんだろうと(それで安易な道を選んだんだと)思う。

小橋マリカは人間的にそぐわなかったのではないか? 一時的に辞めた(そして復帰するなら東京女子の)はずがわずか数ヶ月後に東京女子とまったく異なる雰囲気の他団体に上がり、さらにスターダムにも上がり。最初からその気だったのではないか?

 

21.07.04にYouTubeのブル中野のチャンネル(ぶるちゃんねるBULLCHANNEL)にアップされた動画、ブルが高木三四郎をゲストに迎えての『③【東京女子】”他とは違う”女子プロレス界のアイドルグループ』で、最初高木が構想してた女子団体はAKB的なものだったことを語っている。しかし同時に、今はもう東京女子はこうだから、サイバーファイト内にもう1つ女子団体を作って、そこでアイドルグループな女子プロ団体をやりたいみたいな話をしている。

しかし甲田はこれと乖離している。甲田は東京女子を若いコしかいないアイドル団体にしようとしてると見受けられる。

だったら俺がもし選手だったら、自分でもう1つ団体を作るね、高木に相談して、初期メンや30代の選手を引き連れて。そうせざるを得ない。

でもそれって意味あんの?とも思う。それだったら高木が言ってた通り、アイドルレスラーに特化した女子団体をもう1コ作ればいいだけのことであってさ、東京女子から初期メンや三十路を追い出す必要はない。

 

上福ゆきは東京女子の雰囲気とは異質かもしれない、でも俺に言わせりゃ必要なんだよ。上福がいると選手層、だけでなく東京女子の世界観にも、幅ができる。

なんでもアリが東京女子の面白さなのに、アイドルだけにしてどうすんだよ。

 

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…というわけで5月に書いた文だったけど、

週プロNo.2245を引っ張り出して改めて読み返したら、俺の捉え方はちょっと違うかも…?と思った。

会社からやんわり…というより、坂崎の、東京女子を踏まえたうえでの自発的判断という感じにとれる。

あと、冒頭に言った今となっては現実と乖離してる箇所というのは、その後坂崎がケガで長期欠場になってしまい“卒業ロード”が流れてしまっている現状なので、このまま当初の予定通り12.1の大会で卒業するとは考えづらい状況になっている。

さらに7月ビッグマッチ前にtwitterスペース10時間ぶっ通し配信で坂崎の口から辞めるのやめるかのような爆弾発言!?があり、坂崎の本心はやはり辞めたくないことが判明していて、予断を許さない状態になっている。

未詩が辞めるのやめてェ!とか言ってたが、俺もまったく同感! ユカっち、残れ! 頼む!

週プロインタビュー改めて読んでて思うんだけどさ、たしかにいずれは辞めなきゃいけない時は来るし、ならどのタイミングか、このままだと居続けてしまうから10周年が来るからそこで、という話はわからなくもないけど…

楽しい東京女子の自分を高校3年生に例えてるけど、その例えもよくわかる、だけど学校にはそりゃ卒業はあるけど、東京女子は職場であり大人の世界なんだから、卒業しなきゃいけないってことはない。自分がもう限界で引退せざるを得ない時か、東京女子が潰れる時か、それまで居ていいんじゃない?

そんな良い場所に辿り着ける人生は稀だよ。それを自ら早く打ち切るのはあまりにも大きすぎるミステイク。

AEWでも活躍したいけど、短期では定着できないみたいな話をしてたけど、だから東京女子を辞めてAEWに全振り?

それは山下の話の時に散々言った、世界中でもオンリーワンの東京女子を離れたらもう魅力を大部分失うみたいなね。

外野の俺が言うのもアレだけど、2択なら、俺は東京女子を取るべきだとやはり思うなぁ。

現在日・米・英3冠王の山下と実力ツートップかつ、これまた山下同様全盛期を迎えてる最中の坂崎は東京女子卒業を発表し、しかもケガで長期欠場という惨状… 姿を見せると元気そうなのが救いだが、やっぱ坂崎まだ居るべきだと思うよ? 海外のプロレスは全盛期過ぎてからでも出来ると思うんだけどねぇ…。全盛期は世界中でオンリーワンの団体・東京女子で過ごそうよ?

海外志向もわからなくはないんだけど。お笑い芸人挫折したコが、ワールドワイドに活躍できるまでに至ったんだからね。

でも東京女子は唯一無二。離れるには惜しすぎる団体。

その点、現状の山下はホント理想的だと思うよ?  日本でも海外でも活躍。やはり両立が望ましい。AEWに今全振りするのはやめとこうよ?

 

次、伊藤についても話したい