『スターダムのウラ 1』から続き。
しかし俺が最も注目しているのは白川未奈(愛称ちゃんみな)及び彼女が加入しているアイドル系ユニット、コズミックエンジェルズ(コズエン)だ。
“スターダムのアイコン” 岩谷麻優がリーダーのユニット・STARSのメンバーだった中野たむが、移籍してきた白川未奈を引き入れ、さらに移籍選手のウナギ・サヤカも(岩谷麻優の許可を得ず)加えて、STARSから分離して新ユニット・コズミックエンジェルズを結成し、去年の11月くらいからだったっけ? STARSと対立してゆく。
去年の10/12にライブ配信された
『【生配信】STARSニューフェイス☆白川未奈とは何か?with 岩谷麻優&中野たむ』
の時にすでに兆候が…
3人での出演なのに話してるのはたむ&ちゃんみなが主で、 岩谷麻優は所在なげというか蚊帳の外感がある(苦笑。岩谷麻優が気の毒でもある)。
これが白川未奈と中野たむ。
コズエンのスターズからの分離時、岩谷はたむに「何がやりたいの?」と怒り、キラキラ路線のベビーフェイス(善玉)スターライト・キッドすら敵意ムキ出し(「おい中野たむ」「STARSナメてんじゃねぇ!)。スターダムファンの多くもコズエンに対して否定的な感じで。
俺に言わせりゃ岩谷もキッちゃんもスターダムファンもコズエンの本質をわかってない。
コズエンとスターズは方向性…というかテーマ性がまったく違うんだよ。だから一緒にやれない→袂を分かった。
コズエンのテーマ性は
『「地獄を見てきた」アイドル出身女子プロレスラー3人が挑む“ダッサい人生”逆転をかけた泥臭い勝負』(Number Web)
と
『「ブレーキをかけない」プロレスラー・白川未奈さんの生き方 会社員からグラビアアイドル、そして――。ユニーク過ぎる転身を続ける”理由”』(女性向けのWeb媒体『telling,(テリング)』)
を読むとわかる。
tellingのインタビューは白川未奈も自身のツイッターのトップに固定している。これが彼女のテーマだからだろう。
「あなたには無理だよ、今からチャレンジしても無駄だよとか、特に女性って年齢で線引きされがち。私も「子供は?結婚は??女性の幸せとは..」とか散々言われまくりました。生まれて死ぬ事だけは決まってしまってるので、他の事は全部自分で決めます」
「30歳になる時は相当いろんな人に言われました、「これからどうするの?」「グラビアなんてもうできなくない?」って。こんなに男性って女性の年齢を気にするんだって思いましたね。
プロレスデビューをした時も同じ。「その年齢でやれるの?」って散々言われましたから。
でもきっと、同年代の女性も同じような経験をたくさんしているはずですよね。「まだ結婚しないの?」って会社の人に言われたり、年齢で周りの人からブレーキをかけられたり・・・。
どうして日本って、年齢で区切ってしまうんでしょうか。男女ともにそうですよね。
年齢という数字だけ見るって、その人自身へのリスペクトが全然ないじゃないですか。」
たむとちゃんみなの共通項。アイドル出身であること。売れないアイドルからプロレスラーに転身したこと。三十路であること。
だからたむはちゃんみなにシンパシーを感じた&同志と感じたのだろうし(今年の1.5東京ドームの試合後のたむのコメント「夢は何回挫折しても追いかけ始めるのはいつからだって遅くないから、そういう夢を私たちはスターダムで、女子プロレスで見せていく。だから、こういう世の中ですけど、皆さん女子プロレスを見て、明日生きる勇気を私たちがあげるっていうのはおこがましいけど、一緒に作っていきたいと思っています。」)、
ココが2人の結束を生んだ理由であり、コズエンを結成した理由であり、コズエンが持ったテーマ性であり、そしてSTARSから分離した理由なのだ。
たむ+ちゃんみなの後に加わったウナギ・サヤカも売れなかったアイドルであり30代。
(俺はウナギについてわからず、なんでこのコも入れたのだろう?と思ってたのだが、実はすでにウナギのことを知っていたのを最近知った。桃知みなみについて2016年に取り上げたことがあるが、もっちが阿佐ヶ谷からライブ配信してた番組にもっちの友人の宇那というコが何度かゲスト出演していた。このコは俺が好きな映画監督・押井守の実写版パトレイバーにもちょい役というかほとんどエキストラレベル?で出演もしていたのだが、この宇那ちゃんとウナギ・サヤカが同一人物だったのだ!)
岩谷麻優もキッちゃんもアイドル出身ではないし、三十路でもない(キッちゃんに至っては今19歳くらいだっけ? また同じくスターズのメンバーである飯田沙耶も20代前半だし)。だからコズエンのテーマ性や、あの3人が抱えてる意識は共有できない。
実際問題、コズエンがSTARSから分離してく時、岩谷麻優もキッちゃんもたむたちの行動を理解できなかった。
コズエンはスターダムのユニットの中で唯一確固としたテーマ性・社会的なテーマ性を持っている。
こないだ女子プロレス大賞を受賞したジュリアは魅力的だし(ルックスもいいし迫力もあるし強く在る努力もちゃんとしている) 実力もないのにチャラチャラやってるようなタイプがお嫌いらしいし(女子プロレスがナメられる、と) その考えや姿勢はよくわかるのだが、
コズエンにはジュリアや DDMすら持ち得ないテーマ性がある。
ジュリアも他の大多数のスターダムの選手も団体の中で(あるいはせいぜい業界の中で)トップに立つこと・チャンピオンになることなんかを目標にしてるが、コズエンの目的はそんなレベルではなく、21世紀における日本の女性の在り方や、年齢についての固定観念、人生観がテーマなのだ。イデオロギー闘争といってもいい。
アイドルで売れなかった女たちが、女子プロレスでセクシャリティから解放された生き様・年齢への挑戦を体現せんとしている、しかしほとんど理解されず、苦闘している――
俺も過去何度か書いてるんだけどさ、
『今年観た映画BEST1 『ロッキー・ザ・ファイナル』‐①』
俺自身も“いい歳して…”とか思われてる。
だから俺はコズエン推しなワケ。ただカワイイとかキャッキャウフフとかじゃなくて、コズエンはね、孕んでるものは意外に骨太ですよ。
ジュリアと中野たむが対戦してる時、みんなはジュリアの方が強靭で強いと思うわけだけど、俺からすると中野たむの方が人間として骨太で強いんだよ。内に抱えてるものの重さが全然違う。中野たむ及びコズエンの方が断然重たいものを相手に戦っている。単に目の前の対戦相手に勝つとか負けるとかじゃない、社会通念とか固定観念といったもっとデカいもの・勝つことが難しいものと戦っているんだから。
…これを中野たむ独りきりで戦い抜くのは正直難しい。だからパートナーである白川未奈の存在はデカいわけだが、あぁ!
去年の12月26日の試合で
『“Hカップグラドルレスラー”白川未奈が誕生日当日の試合中に鼻骨骨折!全治二ヶ月の診断を受けるも「鼻は折れても心は折れない」』バトル・ニュース
というわけでこれからという時に… 現在戦線離脱中。
先日中野たむ&ウナギのタッグでジュリア&舞華組と対戦したが、ウナギが取られて敗戦。コズエンは失速してしまっている。宇那ちゃんも頑張ってはほしいんだけど、やっぱ白川未奈の1日も早い帰還が望まれる。(とはいっても、しっかり治して ちゃんみな!)
『スターダムのウラ 3』に続く。