近いうちに今住んでる府中市から転居する予定。移住直後に府中のTOHOシネマズにはМX4Dがあるから観に行きたいねと言ってたが、府中を去る前にTOHOシネマズ府中でМX4Dを体験したいかなぁと。で、『マトリックス』のМX4D上映をやってたんで9/13、観てきた。

※4D上映(4DX、МX4D)とは映画のシーンに合わせてシートが動く・風・ミスト・エアー・煙・香りなどで鑑賞者に効果を及ぼす、体感型映画鑑賞。らしい。3D(立体映像)は視覚的なものだが、4Dは物理的に補完というか付加しての臨場感ある鑑賞、みたいな。

シアターの出入口傍にロッカーがある。¥100で、返却式とか書かれてる。金は戻ってくるとはいえ、バッグの中には必要な物が入っており(上映中にはまぁ使わないだろうが、もしもの場合、だ)、手元に持っていたいのだが。

女性従業員がいたので荷物持ってるとマズいか聞くと、足元に置いておくとよろしくないのだが膝の上に乗せていれば問題ないとのことで、バッグ持ったまま席に着く。

シートがちょっと通常とは違う。皮張りなもっとちゃんとしたソファーっぽい感じな。あと通常より高さがちょい高い。床よりちょっと高い所に足を乗せる所がある。

 

本編が始まるが、最初の製作会社のマークの時点でイスが動き出す。もういきなりかよ(笑)。

で、率直なМX4D初体験の感想は、どうだかなー、というか。なんか映像と分離した体験というか…むしろ鑑賞に集中できなくて、アトラクションとしては楽しいのだが映画鑑賞としては映画への没入が殺がれる。

考えるのと実際やるのは大違いみたいな。あぁ映画鑑賞に3次元現実で効果を付加すると臨場感が増す(あるいは臨場感が3次元になる)かと思いきやそうはいかないんだなぁ、と。

バッチリ合ってるところはイイ味出してんだけど。

やっぱ適してるのはライドオン的な映像…主人公たちが乗ってる宇宙船みたいなやつが前進してるフォロー映像で座席が仰角だったか俯瞰だったか、なるとグイーンという感じになって気持ちのいい体感。

あと路地で銃撃されて外れた弾丸が露店のスイカかなんかを粉砕した瞬間に顔にミストがかかってきたのはバッチグーで笑ったぜ、おいおい砕けたスイカが顔にかかりやがった!みたいな錯覚(笑)。

あのミストってどっから出てるんだろう? 上映中、ずっと不思議に思ってた。思ってただけでいちいち確認はしなかったけど。座高って人それぞれなのに、顔にジャストミートで狙い打ち。すごい(笑)。カメラで写真撮る時の顔認識みたいに、座った人の形(頭部)を感知するセンサーでも付いてんのか?

 

銃撃戦の時に主人公側のすぐ傍を弾丸がかすめてった時に後頭部にエアーがシュッ!ときたのは意図はいいんだけど方向違いで意識が殺がれる。後頭部じゃなくて側頭部にくるべきと思った。

映像と合ってない効果と感じるところが結構あるというかな。

クンフー対決の場面で座席が動きまくるんだけど、なんか違和感ありまくるんだよね…クンフー対決を超至近距離で見てたら観てるこっちの身体は動かねぇだろうと。

いや、劇中やってる当人たちを体感するってこと!? なら映像は主観でなく客観で撮られてるので、視点が客観なのに体感は主観というのは、だからやっぱり視覚認識と肉体的体感にズレが生じるんである。

登場人物が背中から床に落ちた時に座席から背中にグッと衝撃がきたりするのも、狙いはわかるんだけど、でも俺の中では映像と体感にズレがある。やはり客観と主観のズレだと思う。

俺はVR=ヴァーチャルリアリティというのをやったことがないのだけど、あれが臨場感スゴイらしいのは360度的没入もあろうが、おそらく主因は主観だからじゃないのか? ←だから4Dはテレビゲームとは特に相性がいいと思う。

 

4D上映は映画鑑賞の臨場感を高めるものにはなりづらいかな、というのが俺の結論かな。

(どうでもいいけど風が吹いてきた時に場内の客のポップコーンの匂いが流れてきたのは苦笑した^ ^;)

ただねぇ、アトラクションとしては面白いのよ。シートが動いたりするのはやっぱ楽しい(笑)。

通常だと大人¥1900(←料金上がったんだな! 知らなかったよ。映画館に客を呼ぶには料金をむしろ下げるべきだと昔から思ってんだけどねぇ…)がМX4Dでプラス¥1000=¥2900なんだけど俺が観たのはレイトショーで¥1300+¥1000=¥2300と安めだったんで、それくらいの金額ならまた観てもいい。これで¥3000ぐらいだと高いと感じる。俺はね。

『スターウォーズ』とかみたいな宇宙船で飛び交ったり『デイズオブサンダー』や『ドリヴン』のようなカーレース映画だと4D上映はわりと合うかも? 宇宙船は言わずもがな、カーチェイス映像でアクセル踏んだ瞬間シートが仰角、急ブレーキ踏んだ瞬間にシートが俯瞰になるのはかなりな体感度だろうと思うよ。

新宿歌舞伎町にあるというVR ZONE SHINJUKUにでも行くかぁ? →今年の3月で営業終了! でも「VR体験 都内」とかって検索すると他にも出てくる。いずれ行くかもね♪

 

ところで『マトリックス』である。

俺の中で2・3作目は糞映画認定だが、1作目は面白いとは初観(←当時ちゃんと映画館で観た)から思ってはいて。

主人公が(というか大抵の一般人が)当たり前に認識して生きている「現実」というものが実は…とミステリアスな展開・示唆的な解釈・アグレッシブなアクション・悪くない脚本で描かれてて面白い。

あとちょっとした映像がカッコいい。一例、ビルのエントランスでの銃撃戦シーンの最後、トリニティが床のバッグを取った次の瞬間ショットガンがガシャンと床に落とされるとかね、そういうちょっとしたカッコいい映像が度々ある。

前に酷評してた後半というかクライマックスだけど、これも改めて観たらお話としていい着地の仕方ではないかと。押井守ほどの毒気?はないけど、現実に対する懐疑を残す鑑賞後感と観客に対して“アンタはどうするんだ?”みたいな問いかけで終わって、わりといい締め方じゃない?

それから、これは今の若い奴が観たらどう思うか知らんけど、俺は今回観てて古さをまったく感じなかったのがちょっと意外だったかな。

よく考えたらちょうど20年前の作品なんだよね(もう20年経ったのか! ってか上映前に出入口で撮った写真、よく見たら「トゥエンティス アニバーサリー」とか書かれてる)。

初っ端のネオの自室のPCやモニターの置かれたデスクの乱雑さは今でもありがちな風景じゃない? あと虚構世界における主人公たちの衣装のセンスとか、今でもイケてない? CGも…宇宙船とかタコの敵とかじゃなくて、例えば爆発するヘリからトリニティが脱出するあたりとか合成?だけどこういう映像が不自然でない。

…それからもう1コ思ったコト。

『マトリックス』は現実と虚構を扱った映画なわけだが、それを20年後にМX4Dという立体的臨場感とでもいうべき上映方式(俺からすると空回ってるが・苦笑)で観るという、

これねぇ、МX4Dがド肝抜くシロモノだったら今回の鑑賞は特筆すべきものになってたろう。現実と虚構を扱った映画を2Dでなく3次元刺激で鑑賞するという二重な混乱(笑)。

まぁそれほどなものではなかったのだけど、でも4D初体験に『マトリックス』をチョイスしたのはそういう意味ではナイスではあった、かな。

(ただ、ランニングタイムが長い! 2時間以上あるんだね。途中から“長いな…”と感じたもの。前から言ってるけど映画は1時間半くらいがベストだというのが俺の持論。黙って座ってるには2時間以上というのは長過ぎる。

 

『映画の臨場感―2 / IМAX鑑賞』に続く。