「大川原化工機」事件の地裁判決で「捜査違法」判決が! | 笑う門には福来るのブログ

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【都・国に計1億6千万円の損害賠償を命じる】

 一昨日の12月27日に、東京地裁である損害賠償請求事件の判決が出された。警察官・検察官の捜査が違法だったと認め、都・国に計1億6千万円の支払いを命じたが、歴史の一つに残る判決となるだろう。

 

 事件はこうだ。機械メーカー「大川原化工機」(株)が主力商品「噴霧乾燥機(スプレードライヤー)」を中国・韓国に輸出した。それが生物兵器の製造に軍事転用可能な機器を無許可で輸出したとして、社長など3名が20年3月に逮捕・起訴された。

 

 その後、起訴後の追実験で、菌が死滅せず「立証困難」として21年7月に検察庁が起訴を取り消した。当初から規制対象外の製品と思われたのに11ヶ月も身柄拘束と続けていたことになる。

 社長ら元被告は、昨年9月に、東京地裁に約5億7千万円の損害賠償請求訴訟を提起し、異様な証言が飛び出すなか、判決を迎えた。

 

 警視庁公安部が「事件を捏造」と現職警部補が証言、に驚き

 

【「容易に把握できた捜査」だったと違法認定】

 通常、国賠訴訟は、当該公務員などによほどの重過失や故意が無い限りは、損害賠償はなかなか認められない、ハードルがとても高い訴訟だ。

 

 今回の判決では、当該機器が、殺菌に必要な温度に達しない箇所があることが、複数の従業員などから具体的に説明され、試験などで確認していれば警察も検察も「容易に把握できた」と指摘。「必要な捜査を尽くさなかった」とした。

 

 更に、公安部の警部補が元役員に対し、殺菌要件の解釈をあえて誤解させた上で供述調書に署名・押印させたとして、「偽計を用いた取り調べだ」と違法性を認定した。

 

 裁判で証人として出廷した現役の公安部警部補までもが、事件について「まあ、捏造ですね」と証言する始末。

 

 起訴され裁判が始まる直前に「起訴取り消し」という異例の事態に至った「えん罪」事件だった。検察官の起訴を違法と認定する、これも極めて異例の裁判。

 

 国の体制や治安に与える政治性・思想性を帯びる事件を扱う警視庁公安部が、中国に絡むスパイ事件と睨み、ストーリーを作り、マイナス証拠には耳を傾けず突っ走ったと思われる事件。

 

 人質司法の日本。容疑を認めなければ、保釈を認めずいつまでも拘置所の中に留める、世界ではほとんど類を見ない日本の刑事司法の現実。保釈を審理・却下した裁判官の責任も重い。

 

 救うべくは「上司の命令は絶対という警察組織の中で、正直に話してくれた人がいたことは、少し安心できた」(大川原社長)ことだ。警視庁内部ですら複数の捜査員が疑問を抱いていたこと。そして内部告発があったことだ。