【自発的未成年者の表現の自由を保障する憲法21条違反】
言われてみれば最もな違憲判決である。憲法上当たり前のことを、74年間も大人が気が付かなかったと思われ、私も思いつかなかった自分を恥ずかしく思える。そんな今回9/25の東京地裁判決だった。
提訴当時16才から18才だった若者4人が、未成年者の選挙運動を禁じる公選法の規定は無効だと、国を相手に損害賠償などを求めていた訴訟に、東京地裁は正面から違憲判決を出した。
【「若者にも政治的表現の自由は当然保障される」と判決】
私が半世紀以上前の高校生だった頃、“政治的に未熟な”生徒の政治活動はその中立性が大前提で、事実上禁止されていた。高校によっては校則などで禁止されていた記憶がある。
高校生の時こんなことがあった。私がいた都立高校は日教組が強い高校と言われていた。教職員組合がある時朝の1時間のストライキを実施した。当然自習になるものと思っていたら、急遽校内放送で「朝礼」を行うので全生徒は校庭に集合するようアナウンスされた。
校庭一杯1400人の生徒が整列すると、事情の説明もないまま、校長先生の1時間近い長話が始まった。当時生徒会長だった私は、ストライキの効果を無くすための明らかな朝礼で、生徒を利用するもので問題ありと思い、校長先生の前まで行き、先生方のストライキと朝礼の関連について質問しようとしたが、周りのクラスメート達から手を取り止められたことがあった。生徒の政治活動は一律禁止の雰囲気のあった時代のこと。その1年後位から各地の高校も学園紛争が始まった。
パキスタンのマララさんが、その活動で地元過激派に銃撃されたのは15才の時。スウェーデンのグレタさんが、気候変動対策で国会前で座り込んだのも15才の時。世界の歴史は、若者の力が社会を揺さぶり変えてきたものである。
【18才未満の選挙運動の一律禁止】
最高裁の判例によると、今回ような「選挙運動」とは、特定の選挙で特定の候補者のために投票を呼びかけること、と定義されている。
公選法は、18才未満の選挙運動を禁止していて、違反者には1年以下の拘禁刑か30万円以下の罰金刑を科している。1952年の公選法改正では、“政治問題に疎い”未成年者が大人から利用されることを保護することを目的とされたのだが、未成年者も罰則付きで罰する規定となっているのは大きな矛盾だった。
原告の一人竹島一心(19)さんは、2024年に、市長選で応援したい候補への思いをブログに書こうとしたが、法律違反になる可能性があることを知り断念したという。「自分は街の一員だと思っていたので、否定された気持ちだった。」
選挙運動は、民主主義社会にとって不可欠な権利であり、当然未成年者もそれに含まれることを示した今回の判決である。ボールは、国会に渡された。上訴審の判決を待つなどと時間稼ぎをせず、早期の公選法改正に動くべきだ。