【施行から79年の日本国憲法】

 先日の5月3日は憲法記念日。日本国憲法が施行されて79年を迎えた。私は法学部卒でもあり、何度も条文の全てを読んできたし、学問としても憲法学を学んだ。条文を読むと現代語とは少々違和感も感じるが、内容は前文を含めて崇高な理念に貫かれていて「平和憲法は世界に誇れる日本の宝」だと思っている。

 

 アメリカーイラク戦争でも、トランプ大統領からの自衛隊の派遣要請を巡って、しっかり憲法9条がその存在感を示した。

 

【一気に進む憲法改正スケジュール】

 戦後80年、米国からの“押しつけ憲法”として、長らくその改正を求められてきた。具体的にどこが悪いから改正をというのでもなく、「とにかく改正すべき」が全面に立つ。天皇主権の明治憲法に戻すべきと主張する議員すら結構多い。

 

 自民党が先の衆議院選で大勝してから、改正論議が一気に加速している。先日の産経新聞の首相インタビューでの示唆によると、「参議院の合区の解消」と「緊急事態条項の創設」をまず改正するスケジュールで、来年の通常国会での発議、7月以降の国民投票を狙っている模様だ。

 

 これなら与野党でも大方の合意ができて、数の少ない参議院でも発議の2/3を得られるのではないかと目論む。

 

【参議院議員の合区解消問題】

 「一票の格差」問題の解消のために、2016年参院選から「鳥取・島根」と「徳島・高知」の両選挙区が合区して1つの選挙区とされた。これに対し、一方の出身者が立候補しにくい、投票率の低下の顕在化、地方の声が反映しにくい、との反対の声が続いている。

 

 そこで参議院の3年の改選ごとに、「都道府県から1人以上を選出する」規定を憲法に加える意見が自民党から出る。憲法の理念の衆参議員は地域の代表ではなく「全国民の代表」とするのと矛盾するのだが、合区解消には与野党ではほほ一致しているのだとか。これなら参議院でも2/3の発議ができて、国民投票でも反対がないだろうとみる。

 

 しかし、現在の合区は法律改正で実施されているのだから、一票の格差の例外として同じ法律改正で行えば済むこと。裁判所の違憲判決を避けるために憲法で規定しようとするのか。憲法の法の下の平等からの「投票の価値の平等」問題はこれでは何も解決されないと思うのだが。

 

【緊急事態条項の創設】

 日本の緊急時には「衆議院議員の任期延長を認める」という緊急事態条項も、国民の賛成は得られるとみている。

 

 日本国憲法では、このような場合に「参院の緊急集会」規定があり、参議院だけでは緊急事態時に問題だというのは、参議院に対する軽視、差別意識でしかないと思える。

 

 合意を得られそうなものから突き進もうとする憲法改正論議。自民党は、発議に向けた4つのたたき台として、他に「自衛隊の明記」「教育の充実」を上げる。「教育の充実」といって国民の誰もが反対しないだろうというのだが、教育基本法改正など法律を充実させればいいだけのもの。