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不二家期限切れ牛乳使用事実把握も隠ぺい
2007年1月11日8時3分
大手菓子メーカー「不二家」(本社・東京都中央区)が消費期限切れの牛乳を原料としたシュークリーム約2000個を製造し、関東、福島、新潟、静岡の1都9県に出荷した事実を把握しながら回収や公表の措置を取らず隠ぺいしていたことが10日、分かった。
不二家は05年度の洋菓子を含む小売部門売上で前年比6億4100万円減益。さらに10年の創業100周年を前に、問題点を洗い出して意識改革を促すため昨年9月にプロジェクトチームを発足させた。
同11月の調査で埼玉工場(新座市)の原料仕込み担当者から「11月7日消費期限の業務用牛乳60リットルを11月8日に使った」との証言をとり、幹部でつくる委員会に「委員会外秘」とする文書で報告された。しかし、すでに期限切れ牛乳を原料としたカスタードクリームが混入された「生クリームINカスタードシュークリーム」など3種約2000個は11月9日に、消費期限を11日として1都9県に出荷されていた。
原料の仕込み担当者は「牛乳はほか(の部署)で余ったら、ここに持ってくる。捨てると怒られる。においをかいで品質的に問題ないと判断したら使っている」と、過去にも期限切れ牛乳を使っていたことを認めたという。
不二家は消費者からの健康被害の報告はないとしたが、埼玉以外の北海道、大阪、佐賀など7工場は調査しておらず、他工場での期限切れ牛乳の使用について「現在調査中」とした。不二家人事総務部河村宣行部長は「改善すべき事実と受け止め、公表するということは思い至らなかった。今後は法令順守を徹底し、再発防止に全力を挙げたい」と事実の隠ぺいと責任を認めたが、食品衛生法に抵触する可能性も出てきた。
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売り殺到!不二家株が急落
2007年1月11日12時30分
11日午前の東京株式市場で、シュークリームに期限切れの牛乳を使用していたことが明らかになった不二家の株式に、取引開始直後から売りが殺到、株価は一時前日比26円安の207円まで急落した。
午前の終値は15円安の218円。市場では「経営への影響が嫌気された」(大手証券)としている。
進捗12010
不二家、資産売却を検討
本社や関連会社株も
2007/01/20(土) 04:09:42
消費期限切れの原料使用問題で洋菓子販売などを休止している不二家は、保有不動産などの資産売却の検討を始めた。販売休止による減収に加え、フランチャイズ店への休業補償で毎週1億円以上の支払いが必要。スーパーなど店頭での菓子製品撤去も続いており、財務内容の悪化が避けられないためだ。
取引銀行幹部は「当面の資金繰りは問題ない」と話す一方、不動産や保有株の売却は避けられないとの見方を示す。営業立て直しが遅れれば、関連会社の株式や一部事業の売却を迫られる場面も出てきそうだ。
不二家は1910年創業の老舗で、好立地の不動産を持っている。売却対象として有力視されるのは東京・銀座7丁目にある本社だ。財務書類上の資産価値は、土地に関して50年と78年の取得時点の価格を計上しているため7億円にとどまるが、時価では数十億円以上とみられる。
銀行関係者も「本社を銀座に置く必然性はなく、工場内でもいい」と指摘、売却の有力候補とみる。
不二家は銀座6丁目にも直営店の入った商業ビルを保有する。さらに森永製菓やアサツーディ・ケイの株式など計54億円相当の投資有価証券を持っており、これらも売却の検討対象となる見通し。
不二家が米国企業と合弁でつくったアイスクリームチェーンの「B-Rサーティワンアイスクリーム」に注目する業界関係者も多い。大手菓子メーカー幹部は「ブランド力が魅力」と関心を寄せる。不二家は株式の43・3%を保有しており、全株売却すれば19日の時価換算で約105億円を得る計算だ。