石見地方を中心に、島根県や広島県などを訪れると、赤瓦の街並みが目に付きます。

 

ヨーロッパの景観を特徴づける赤い瓦や、シーサーをのせた沖縄の赤瓦とはまた違った、情緒溢れる独特の風景です。

 

この赤瓦は、島根県西部の石見地方で生産されている石州瓦で、愛知県の三州瓦、兵庫県の淡路瓦と並ぶ日本三大瓦の一つとされています。

 

石州瓦は、おなじく島根県東部の出雲地方で採掘される来待石からとれる来待釉薬を使用することで赤褐色の瓦になります。

 

陶器のように釉薬を塗って焼いたものは「釉薬瓦」と呼ばれますが、何も塗らずに焼いたものは「素焼き」、素焼きの後にいぶして表面に銀色の炭素被膜をつけたものは「いぶし」と言うそうです。

 

石州瓦は、三州瓦や淡路瓦よりも高い1200~1300℃の高温で焼かれて製造されているため、瓦が締まり、硬く、丈夫にできあがります。

 

また、凍害や塩害にも強く、日本海側の寒い地域や海岸沿いの地域には最適の屋根材と言えますね。

 

出典: 江津市ホームページ

 

 

石州瓦は赤いというイメージが強いですが、石州瓦は赤瓦だけではありません。

 

出雲大社近くにある「旧大社駅」の和風駅舎や「スターバックスコーヒー出雲大社店」の屋根には黒い石州瓦が使われ、その風格ある重厚感は日本の歴史、伝統、文化を物語っています。

 

旧大社駅

 

 

また、「出雲大社前駅」の西洋建築の駅舎には、淡い緑色の石州瓦が載っていて、レトロモダンな雰囲気を醸し出しています。

 

出雲大社前駅

 

 

瓦屋根と言えば日本家屋に見られる純和風の形や色のものをイメージされる方が多いと思いますが、実は和風だけでなく洋風の建物に合うものや、シンプルでモダンなデザインのものなど、いろいろな種類の瓦があるのですね。

 

 

 

四季のある日本では、暑さ、寒さ、雨、風など、あらゆる気象条件に耐えうる優れた性能を持った瓦屋根は、古くから日本人から愛されてきました。

 

そして、その気候風土に合った機能性だけでなく、瓦屋根が織り成す統一感のある家並みは、日本古来の伝統美として誇るべきものだと感じます。

 

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