乳がんの治療法 温存VS全摘⑤
もう脱線しすぎで、初回から専門的な内容で5部構成になるめんどくさいブログなんて誰が見るかいって感じですが、、、
一旦このシリーズ終えます。終わらせますw
全摘と温存のメリット、デメリットですが、これは見る立場で変わるのであくまで自分は形成外科的視点での判断だと思って下さい。
温存のメリット
自分の乳房が残る❗️
温存のデメリット
残した乳腺から再発する可能性がある
放射線照射の必要性
再建できない
切除量によっては高度な変形になる
全摘のメリット
しっかり乳腺を取るため再発の可能性が低い❗️
再建が可能な場合がある
全摘のデメリット
乳房形態が大きく損なわれる
授乳などの乳腺機能が損なわれる
温存、全摘の決定は乳腺外科が主体で形成外科はほぼ関わらないので、決定は殆ど乳腺外科内で完結します。
全摘のうち、病期があまり進んでない場合、再建の可能性が出てきます。この場合のみわれわれ形成外科医に相談となります。
ステージによってもちろん手術法の選択肢は制限されますが、自分で選択できる場合は、温存のメリットである乳腺が残ること、全摘のメリットである再発の可能性がかなり低くなること、再建が可能もしれないこと、これらを天秤に乗せてどちらに重きを置くか、で考えると良いと思います。
がん手術の直前はとにかく不安で、色々考えられないという人も多くいらっしゃいます。
このブログが、少しでも術式選択の参考になればと思っております。
乳がんの治療法 温存VS全摘④
みなさんこんばんは。
ブログ読み返してみると、、、、解りづらっ💧
文才のない理系人間の申し訳ないところですが、お付き合い下さいね笑
さて、前回のブログでは形成外科が必要というところで終わりましたが、ほんの数年前にはここまで形成外科の必要性が求められなかったんです。。。
簡単に言うと整容性なんて治療効果に関係ないから、、、むしろ乳房再建されて再発が分かりにくくなったらどうするんだ💢と言われ、再建否定派も多数いた始末。
しかし国が人工物を用いた乳房再建を保険適応にしてしまった以上、そんな悠長な事は言ってられません。
なぜなら患者さんが希望するから。
新聞を見ました、テレビを見ました、ネットにかいてありました、知り合いから聞きました、と。
保険適応化とは残酷なもので、今まで乳房再建なんて必要ない、と考えていた乳腺外科医師、形成外科医師にやらざるを得ない環境を強制的に与えてしまうんです。
もはや乳がん治療には形成外科が必須、、、一昔前は必要とされなかった形成外科医ですが、とうとう日の目を見たというところでしょうか。
しかもきちんと形成外科を病院に持って、かつ常勤医としておかなければ施設認定ができず、場合によってはできる再建方法が制限されてしまうため、地方病院では形成外科医がいるというだけで一極集中してしまうことも。
すごく頑張っている乳腺外科医の先生だけでは再建できない環境になるため、それはそれで今後の問題点でもあります。
しかしこのような制限なく再建を自由にやってしまうと、全国でトラブルが多発するため、厚労相からのお達し通り学会主導で制限せざるを得ないのです。
ここにはもっと深い問題点があり、申請すれば乳房再建をやったことのない形成外科医でも乳房再建の施設認定を取れてしまうので、トレーニングを積んでいないドクターがいきなり乳房再建をやらなければならないのです。
そんなドクター達のためにわれわれの施設でアカデミアというトレーニング研修を行っていますが、月に数人という限定なので限界がありますよね。
しかし安全で、正しい方法で行う乳房再建を拡げていくためには地道な活動しかないのです。
⑤へ続く
乳がんの治療法 温存VS全摘③
温存にするのか、全摘にするのか❓
これはまず乳腺外科の診断によって決まります。
「温存で十分切除可能です。」
「全摘しなければなりません。」
こうはっきり言われたら、その方法しかないので受け容れざるを得ないところです。
温存の適応は施設によって様々ですが、一般的には乳癌学会の規定より
1)腫瘤の大きさが3cm以下
2)広範な乳管内進展のないもの
3)多発病巣のないもの
4)放射線照射が可能なもの
5)患者が希望すること
2)広範な乳管内進展のないもの
3)多発病巣のないもの
4)放射線照射が可能なもの
5)患者が希望すること
となっております。

(香川大学 乳腺内分泌外科HPより)
大きかったり、乳管内に広範な進展があったり、腫瘍が多発していると、全摘の適応となります。
悩ましいのは温存できるかも知れないけど、変形が強くなるかもしれない切除サイズのときです。
およそ乳腺全体の20%以上を切除する場合は基本的に全摘+再建の方が整容的に優れると言われております。
自分としては欠損の大きさが許すのであれば絶対に温存が良いと思っています。
しかし、ただ温存すれば良いとの判断で部分切除を広範に行い、術後に高度な変形を呈した症例が多くあるのも事実です。
乳がんを整容的に考える場合、乳腺外科領域の手術だけでは対応できない、、、そのため形成外科のある病院を選ぶ必要があります。