僕は断酒会は知らないし、断酒会に対して目的は同じ以外の認識は持っていない。だからAAしか知らないし、AAで回復したアルコール依存症者だ。AAには「スポンサーシップ」というものがある。これは制度ではない。また強制されるものでもない。
AAは多くのグループで成り立っていてグループは「アルコホーリクにメッセージを運ぶ」という目的でミーティングを開いている。メッセージとは「アルコールの問題を解決できる方法がある」ことだ。
その方法をAAの12ステッププログラムという。AAに来たアルコール依存症者が酒を止めるためなら「何でもする気」になったらほとんどの人は回復できるプログラムだ。むろん、実行は困難を極めることもある。途中で挫折しそうになることもある。そんなプログラムを一人で実行できる訳がない。

それを伝え、支え、ガイド(案内)してゆくのがスポンサーだ。スポンサー、つまり提供者だ。シップはつながり。提供するものとされるものが人間同士として同じ苦しみを味わった者同士としてつながり、解決方法を伝えてゆく。これがスポンサーシップだ。
AAの12ステッププログラムは創始者のビル・Wが著したように、このプログラムを実行すれば他の問題にも有効だとある。現に僕はアルコール以外の薬物の問題も解決した。取り組み方案内すれば摂食障害、ギャンブル、セックス、女性依存にも応用できる。
AAのスポンサーシップは経験と力と希望をプログラムで手に入れた人、解決を持った人間が解決を持たず苦しんでいる人間に手渡してゆくものだ。決して愚痴や悩みの相談相手ではない。

むろん、アルコホーリクの家族、アラノンにも有効だ。僕も依存症者の家族だ。その意味で離婚した今でもAAの12ステッププログラムはアルコール依存症者であり、その家族でもある僕に人間として生きてゆく道を示してくれる。
AAの12ステッププログラムがもしも単なる方法=ノウハウだけならAAは世界的な集まりにならなかっただろう。本一冊で十分だったろう。しかし12ステッププログラムはは人から人へ伝えられることで初めて効果があるものなのだ。神はきっとそのようにプログラムを作られたのだと思う。

アルコール依存症者が酒の問題を解決し人として幸福と安定を感じるとき、不思議だがこのプログラムを人に手渡したくなる。人の痛みが分かるほど回復するからだ。だから次の人に伝える。そしてその人が次の人に・・・・
1935年、アメリカの片田舎で始まったAAは現在、世界中で230万人の回復者がいる。それは人から人へパスされたからだ。なんて素晴らしいことだと思う。

僕もその回復の連鎖の中にいることを神に感謝する。
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