GWの国内旅行記の続きです。GW前半は山口観光を堪能しましたが、後半は島根と鳥取を旅しました。まずは島根から。
(参考)2023.4.29-5.2 山口観光(壇ノ浦&下関&秋吉台&萩&須佐ホルンフェルス)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12802249268.html
5月2日(火)
この日の午前中は山口県の須佐ホルンフェルスを見に行きましたが、須佐→温泉津と山陰本線で移動して、温泉津温泉に行きました。石見銀山とともに世界遺産となっている温泉です。
(写真)龍御前神社(たつのごぜんじんじゃ)。海上安全、漁業・温泉医療の守護神を祀ります。神社の背後の山に登ったら、神社の名前にもなっている「龍」の口が良く分かりました。
(写真)泉薬湯 温泉津温泉元湯
さあ、温泉です!こちらの湯治場では、42℃~44℃と46℃~48℃の2つの浴槽がありました。どちらも熱いですが、特に後者が強烈!しかし、私は熱い温泉で有名な群馬の草津温泉で鍛えられています。42℃~44℃は余裕、心地良い感じがします。
そして、いよいよ46℃~48℃!周りのお客さんは入った瞬間にすぐに出てしまう中(まるで以前にビートたけしさんの番組であった「熱湯風呂」のよう!笑)、何とか1分間入りました!なお、3分くらい悠々入られていたご老人がいて驚嘆でしたが、毎日入られている地元の方でした。参りました。
(写真)薬師湯(温泉津温泉・湯元)
こちらのお湯は日本温泉協会による審査でオール5を取得した効能の高いお湯です。温度も42℃~44℃でとても心地良い。お店の方から、石見銀山と温泉津温泉の関係について、詳しく教えてもらいました。13km離れていますが、港・水・温泉でつながったそうです。
(写真)この日の夕食はエビスビール×2。熱い温泉の後のビールは最高!当初はあなご丼のお店を考えていましたが、臨時でお休みだったので、ご飯は食べないことにしました。何しろこのGWの旅行は毎日バクバク食べ過ぎなので…。(とか言っておいて、500ml缶のビール2本も飲むな~!笑)
5月3日(水・祝)
この日は世界遺産の石見銀山を訪れました。
(写真)石見銀山世界遺産センター。まずはここで石見銀山について学びます。戦国時代~江戸時代に銀はとても貴重で、石見銀山は大内氏→尼子氏→毛利氏→江戸幕府直轄領と所有者が変わったこと、銀の抽出は灰吹法(粉成→ゆりわけ→素吹→貴鉛→灰吹)により行うことなど、よく分りました。石見銀山から温泉津温泉までの広範なジオラマも分りやすかったです。
続いて、石見銀山の大森地区をそぞろ歩きます。
(写真)江戸時代の風情を残すまちなみが本当に素晴らしい!何と自販機まで江戸時代仕様になっていました!笑
(写真)めだかの学校を発見!こちらが「本校」で、向かいの家に「分校」がありました。
(写真)この日のランチは「げたのは」という、かつて銀山の鉱夫たちも愛したという食べもの。国産の黒糖を使用し、伝統製法で作られます。
さて、ここからはガイドツアーに参加して、石見銀山の坑道(間歩)の中を見学します。まずは龍源寺間歩から。
(写真)要害山。戦国大名によって、銀山の所有を巡っての戦いが繰り広げられた石見銀山。こちらの山にはかつて山吹城があって、難攻不落だったそうなんです。「落ちない城」ということで、受験生に人気なんだそうです笑。
(写真)龍源寺間歩の入口。ここから縦に600mくらい奥に進んで、そこから横方向に銀の取れる岩盤が展開するので、ところどころ横方向に掘り進んで行った跡があります。掘り穴はとても綺麗で江戸時代の鉱夫の技術の高さが窺えます。
(写真)龍源寺間歩の入口近くにあったシダの葉。2023年1月、第168回直木賞を受賞した「しろがねの葉」(千早茜さん著)は、戦国末~江戸初期の岩見銀山に生きた女性の生涯を描いた作品ですが、「しろがねの葉」が正にこの銀の眠る場所に生えると言われるシダの葉のことなんです!
続いて、より大きな大久保間歩を観に行きました。
(写真)仙ノ山。大久保間歩の近くの山です。石見銀山の最盛期には、この高い山の周辺に何と20万人もの人が生活していたそうなんです!!!
(写真)大久保間歩の入口。こちらは龍源寺間歩よりも大きな掘り穴。初代銀山奉行の大久保長安が槍を持って馬に乗ったままで入ったという伝承から、大久保の名前が付きました。鉱夫さんが信じられないような高い場所まで掘り進めている様子を見て、本当に驚きでした!
2つの間歩の中をガイドツアーで見学しましたが、そもそも銀の含まれる岩石かどうかなかなか見分けが付かないところ、それを暗い坑道の中で見分けて、ノミと金づちだけの手作業で掘り進めていく江戸時代の鉱夫の技術の高さに感動しました!
ところで、この石見銀山のマスコットキャラクターは「らとちゃん」と言います。以下の写真の通り、とても愛くるしいキャラクターですが、何を模したキャラクターなのか、分りますか?
(写真)石見銀山のポスターと「らとちゃん」。
銀山の鉱夫たちは暗い坑道の中を「さざえ」の殻に油を入れてその灯りで作業をしました。このため、「らとちゃん」はさざえの殻と灯りからなるキャラクターなんです!
国内を旅行すると、地域地域で創意工夫のゆるキャラが登場してほっこりしますが、そんな中でも「らとちゃん」は本当に良くできたキャラクターだと思いました。(さらに「※らとちゃんはサザエのつぼ焼きではありません。」という注記がまた秀逸!笑)
ということで、この日は世界遺産の石見銀山を大いに堪能しました!私は東京に住んでいて、美味しいレストランだったりバーだったり、「銀座」というまちには本当にお世話になっていますが、「銀座」とは銀地金の売買を担った銀座役所にちなみます。
日本は江戸時代初期、世界の銀生産の3分の1を占めるほどの「銀の国」。その多くを石見銀山が担っていたと考えられています。今回、銀座とつながりの深い石見銀山を訪れることができて、とても感慨深いものがありました。
(写真)この日の夕ご飯は地元で人気のとんかつ屋さんに。かをり焼定食と梅巻きが抜群に美味しい!
5月4日(木・祝)
この日は島根観光のハイライトとも言うべき、出雲大社にお詣りに行きました。
(写真)まずは稲佐の浜に行きました。写真は豊玉毘古命が祀られている弁天島。神さまたちはこの稲佐の浜に集まってから出雲大社に移動するので、私もそのルートで出雲大社に向かうことにしました。
なお、近くには屏風岩(高天原からの使者の武甕槌神(たけみかづちのかみ)が、この岩を背にして大国主大神と国譲りを話し合った)もありました。
(写真)出雲大社。立派な勢溜の大鳥居から入ります。GWかつこの日は見事に晴れ、ということで、大勢の観光客で賑わっていました。
(写真)御慈愛の御神像。大国主命と因幡の白兎の素敵なツーショット!何だろう、この通じ合ういい感じの雰囲気は!信頼や尊敬、いい意味での主従関係など、いろいろな感情を持ちました。
(写真)因幡の白兎が出てきたので、「祝!うさぎ年!」ということで、出雲大社に沢山あったうさぎの石像をいくつかご紹介します。何と日本酒を造るうさぎまで!笑
(写真)拝殿。しっかり祈願をしてきました。この奥に御本殿があって、大社造りの立派な建物を外から眺めました。
(写真)素鵞社(そがのやしろ)。八岐大蛇を退治した素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祭る、出雲大社でも屈指のパワースポットです。参拝の長い行列が並んでいました!
(写真)神楽殿(注連縄)。重さ5トンの巨大なしめ縄。噂には聞いていましたが、さすがの迫力でした!
出雲大社、さすがは大国主大神を祀り、古事記に記され、日本全国の神さまが旧暦の10月に集まるというだけあって、規模といい、迫力といい、めちゃめちゃ素晴らしかったです!
宝物館の展示も見ましたが、平安時代の「口遊」に「雲太、和ニ、京三」とあって、かつて出雲大社本殿は東大寺大仏殿(45m)よりも高かったこと、伊勢神宮のように左右に並ぶ用地の交替方式ではなく、境内地内で斜め前、斜め後ろの移動により造替を繰り返していたことなど、勉強になりました。
出雲大社遷宮関係略年表では、神代の日本書紀の記載から始まるんです!何と言うスケールの大きさ!
(写真)ランチはどのお店も長蛇の列だったので、出雲ぜんざいをいただきました。ぜんざいも出雲発祥です。
(写真)島根県立古代出雲歴史博物館の案内
そして、午後は出雲大社のすぐ近くにある、島根県立古代出雲歴史博物館に行きました。出雲大社本殿の復元模型や出雲国大社八百万神達縁結給図など見応えがありましたが、特に感激したのがちょうどやっていた企画展「出雲神楽」。
松江の佐太神社の本殿の神座の茣蓙を取り替える間に神楽を舞う「御座替神事」が発祥であること。担い手は初めは神社の神職や巫女だったが、江戸時代後期には庶民による「素人神楽」が盛んになり、「子ども神楽」まであること。現在島根県には何と220の神楽団体があること、など、とても興味深く拝見しました。
神楽で舞われるいろいろな物語の展示も見応えがありました。やはり地元の「八岐大蛇退治」は人気のようで、様々な大蛇の面や姿、中には3人の舞い手が演じる舞台写真もありました。「日御碕」という女神が弓矢で鬼を迎え撃つ作品に興味を持ちました。
「天神」という菅原道真が藤原時平を討つ物語も。9月の文楽「菅原伝授手習鑑」の後半の舞台が今から楽しみでなりません!
(写真)夕ご飯は出雲そば五色割子。地酒の出雲富士と合わせて抜群に美味しかったです!
5月5日(金・祝)
この日は松江を中心に観光しました。早朝の山陰本線で出雲市→松江に移動しましたが、列車から見える宍道湖の雄大さ!まるでマーラーが交響曲第3番を書いた雄大なアッター湖のような大きさと慈愛!(ちなみに、宍道湖は面積でアッター湖の約1.7倍です。大きい!)
松江に荷物を置いたあと、まずはバスで八重垣神社を目指します。ここは素戔嗚尊(すさのおのみこと)が八岐大蛇を退治する際に、稲田姫命を隠したという逸話のある、縁結びの神社です。
(写真)八重垣神社の拝殿。島根の神社はどこもしめ縄がとても立派なのが印象的。
(写真)佐久佐女の森にある夫婦杉。このうっそうとした森の中に稲田姫命(いなたひめ)を隠したそうです。境内には、夫婦椿もありました。ちなみに、日本最初の和歌は素戔嗚尊の「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣つくる その八重垣を」なんだそうです。
(写真)鏡の池。占い用紙に100円玉か10円玉を乗せて、それが15分以内に池の中に沈むと恋が成就するそうなんです。朝一番に行くと、昨日の残りが浮いていて、成就しない恋もあって、なかなか厳しいですね…と思っていましたが、その後に試した方々の様子を見ていると、結構沈む!良かったですね!
女子のグループが試しているのは微笑ましい光景でしたが、中には恋人同士やご夫妻がトライしているのを見かけました?既に恋人やご夫妻なのになぜ???縁結びの神社に来たがために、逆に仲違いにならなければ良いのですが…?
(写真)お昼ごはんは、しじみ丼で有名なお店で。宍道湖名物の大ぶりなしじみが美味しかったです!
そして、午後は松江城やその周辺を観光します。
(写真)松江城には、松江城の堀川めぐりの遊覧船で向かいました。上の写真のように、低い橋を通る時に、屋根が低くするため屈まなければいけないのがまた楽しい!お堀から見る松江城が美しいこと!
そして松江城をゆっくり観ました。日本で天守閣が残っているのは12のお城だけですが、その中でも美しい天守閣を誇る国宝の名城。さすがでした!
(写真)松江城。本当に美しいお城です。石垣もとても立派。
(写真)松江城の天守閣の一番上からの眺め。上の写真では奥に大きな宍道湖が見えます。そして、近くの林がアオサギの繁殖地になっていました笑。
(写真)松江城から塩見縄手に行く途中にある狐の神社。沢山の狐の石像が並んでいてユニーク。小泉八雲が大いに興味を持ったそうです。
そして、松江城下の武家屋敷が立ち並ぶ、塩見縄手を歩きます。ここには小泉八雲にゆかりのあるスポットがありました。
(写真)小泉八雲旧居。ラプカディオ・ハーン(和名:小泉八雲)は松江には英語教師として1年3ヶ月滞在して、この地で妻セツと知り合い、この旧松江藩の武家屋敷に住みました。居間から雰囲気の良い庭を3方見渡すことができます。
(写真)小泉八雲記念館。ラプカディオ・ハーンが日本に来る前に世界各地を転々とした歴史、日本に来てからの家族や教師の生涯の詳しい展示がありました
小泉八雲のことは、これまで何となく日本に興味を持たれて、怪談の小説を書かれた外国の方、というイメージしかありませんでしたが…、今回記念館でその数奇な人生を拝見して、めちゃめちゃ凄い方!という印象を持ちました!
特に、日本人が蛙の声を愛で、他の動物たちと同じように詩歌に詠んできたことを、八雲は「最も健全で幸福な自然観」と高く評価したことや、大学の講義で「虫を真に愛する人種は、日本人と古代ギリシャ人だけである」と話たことなど、民俗学者の視点から、日本人が自然や生き物を大切にする民族であることを指摘している点に大いに唸りました!
(写真)カラコロ広場にあった味わいのある小泉八雲像。旅の連続だった小泉八雲の人生。そして、旅や異国を巡ることの大切さを良く表していて好きです。
ということで、島根観光は非常に実り豊かな旅となりました!その打ち上げとして、松江で評価の高い和食のお店で、宍道湖を始めとした島根の魚介類と地酒をたっぷり楽しんで来ました。
(写真)お造り5点(アオハタ、カンパチ、境港サーモン、モンゴウイカ、サワラ)。3種類の地酒との組み合わせを楽しめます。
(写真)隠岐の島の岩牡蠣。巨大な牡蠣で食べ応え十分!
(写真)旬の野菜の天ぷら。しみじみ美味い!地酒の3種飲み比べは既に2巡目になっています笑。
(写真)シジミの漁師蒸し。大ぶりの宍道湖のシジミを使った漁師蒸し、絶品でした!
(写真)オコゼの唐揚げ。オコゼを唐揚げで食べるのは初めてかも?コリコリの食感が美味しい。
(写真)岩のり釜揚げそば。そして、仁多米おむすび(塩むすび)としじみ汁。素晴らしい締め!
このお店は、大将と助手のお姉さんのコンビが本当にいい感じ。島根の素晴らしい食材を活かした最高の料理。そして島根の地酒を他月、月山、七冠馬、豊の秋、李白、隠岐誉と6種類堪能しました。国内旅行の醍醐味を大いに堪能しました!