2022年になって、最初のピアノ練習記事です。

 

さて、今年はセザール・フランク生誕200周年、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ生誕150周年、オリヴィエ・メシアン没後30周年、そして2021年末のまとめ記事にも書いたように、アストル・ピアソラ没後30周年など、いろいろな作曲家のアニバーサリー・イヤーです。

 

しかし、個人的には、今年は何と言っても、

 

 

アレクサンドル・スクリャービン生誕150周年!!!

 

 

なんです!

 

 

 

私はロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービン(1872-1915)の音楽が大好き。大好きどころか、この際、ピアノ曲の作曲家の中で一番好きと、断言しちゃいましょう!その陶酔感、めくるめく感の半端ない、ロマンティックな音楽には大いに魅了されます。

 

スクリャービンのピアノ曲を一言で言うと、「ショパンとリストを足して2で割らない」。ショパンとリストのピアノ曲をこよなく愛する私ですが、そう思えてしまいます。

 

 

 

そうであれば、今年はスクリャービンに敬意を表して、スクリャービンの曲をいろいろ弾くのが良いでしょう!新しい曲に挑戦するにもいい機会で、「今年は絶対、この曲にチャレンジしよう!」という野心も持っていますが、まずは以前に弾いたことのある曲を弾くことにしました。それは、

 

(1)幻想曲ロ短調Op.28

(2)ピアノ・ソナタ第2番Op.19第1楽章

(3)演奏会用アレグロOp.18

 

です。どれもとても難しい曲なので、以前に弾いたことがあっても、またそれなりに弾けるようになるのはかなり大変ですが、お正月から練習をスタートして、1ヶ月で少し戻しました。

 

 

 

(1)スクリャービン/幻想曲ロ短調Op.28

 

 

(参考)スクリャービン/幻想曲ロ短調Op.28。奥井紫麻さんの超絶に素晴らしいピアノ!この曲やスクリャービンを聴いたことのない方、お時間ない場合でも、ぜひ4:55から入って、2回目の第2主題(5:18~6:21)だけでも聴かれてみてください。スクリャービンがどんだけロマンティックな音楽を書いているのか、よく分ると思います。とにかく、めくるめく感が半端ない!

https://www.youtube.com/watch?v=KB2dWEFlABE (9分)

※奥井紫麻さんの公式動画より。また一人天才ピアニスト現る!この難曲を、こんなに個性豊かに弾いていて、めちゃめちゃ凄い!

 

 

この曲はスクリャービン没後100周年の2015年に沢山練習しました。スーパー・ロマンティックな曲ですが、プロのピアニストでもリサイタルでなかなか取り上げないくらい、非常に難しい曲(リスクが大きいからだと思われます)。困難に次ぐ困難を乗り越え、何とか最後まで弾けるようになった思い出の曲です。

 

(参考)2015.3.1 スクリャービン没後100周年の挑戦

https://ameblo.jp/franz2013/entry-11995970130.html

(参考)2015.3.8 スクリャービン/幻想曲ロ短調への道(その1)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-11999118951.html

 

以上の過去記事でも書いたように、この曲は全部で12パートに分けられると思います。なので、今年、概ね毎月1パートのペースで、この曲の魅力をお伝えしていこうと思います。

 

 

初回となる今回は、冒頭の第1主題をご紹介します。(第1パート&第2パート。上記参考動画の0:04~1:54) 第1主題自体はロシアらしい重々しい短調で明快ですが、2回繰り返され、特に2回目は俄然スケールアップされて、難易度も高まります。

 

(参考)スクリャービン/幻想曲ロ短調Op.28から。冒頭の第1主題の2回目後半の、大いに盛り上がる場面(上段4小節目~)。

 

 

スクリャービンの特徴や魅力として、とにかく、音符が多い!そして、転調が多い!上記の楽譜を見ると、音符が沢山ある中、シャープやナチュラルがてんこ盛りです!このこまめな転調が、スクリャービンの音楽のめくるめく感の源なんだと思います。

 

しかし、このおびただしい音符。ただ弾くだけでも難しいところ、スパーンとリズミカルに弾かないと、もたもたしている印象を持たれてしまいます。そこが非常に難しいところで、反射神経が試されます。ほとんどアスリートですね。

 

 

お正月から弾き始めて、1月末で第1主題は弾けるようになって、第2主題(上記動画1:54~3:00)、第3主題(同3:00~3:41)まで行きました(4ページ)。この曲、恐ろしいことに、一息つく場面がなくて、今回ご紹介した難しい第1主題が、強いて言うと一番取り組みやすいところなんです!この後は上記動画のように、難所のオンパレード。うぎゃー!笑

 

 

 

(2)スクリャービン/ピアノ・ソナタ第2番嬰ト短調Op.19第1楽章

 

 

(参考)スクリャービン/ピアノ・ソナタ第2番嬰ト短調Op.19第1楽章

https://www.youtube.com/watch?v=akVTj-Im44w (9分)

※東京六大学連盟の公式動画より。私がこの曲にチャレンジするきっかけとなった、お茶の水大学の学生さんの素敵な演奏。

 

 

この曲は2019年によく練習した曲です。上記3曲の中では叙情的な曲で、まだ取り組みやすい方です。しかし、難しいことには変わりませんが…。

 

(参考)2019年4月~7月のピアノ練習記事(スクリャービン/ピアノ・ソナタ第2番第1楽章を練習)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12457053415.html

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12465596569.html

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12489399693.html

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12500394084.html

 

 

この曲のことは上記の4つの練習記事でほぼ書き尽くしました。大きく見てA→B→A’という構成ですが、お正月から弾き始めて、1月末でAのパート(4ページ)はだいたい弾けるようになって、現在、B(2ページ)を集中的に練習しているところです。

 

 

そのAのパート(上記動画0:32~4:23)から、この曲の大きな魅力となる部分はこちら。

 

(写真)スクリャービン/ピアノ・ソナタ第2番嬰ト短調から、右手と左手のリズムがズレている場面。

 

(写真)スクリャービン/ピアノ・ソナタ第2番嬰ト短調から。3小節目から左手が4連符、5連符、6連符と刻みがだんだん増えていくところ。

 

 

2019年4月のピアノ練習記事の中で、上記のようなリズムのズレやクロスリズム、クロスリズムの変化があちこちにあるので、右手と左手の合わせを非常に難しく感じている、と書きました。

 

この「リズムの揺れ」こそが、この曲の何とも言えない浮遊感、魅力の源です。練習に次ぐ練習を経て、いま、これらの場面を自分のリズムの呼吸で弾けるようになり、大いなる喜びを感じています。

 

ピアノ・ソナタ第2番に限らず、スクリャービンの音楽には、このようなリズムのズレやクロスリズムが本当に頻発します。これもスクリャービンの特徴や魅力の一つです。

 

 

 

(3)スクリャービン/演奏会用アレグロ変ロ短調Op.18

 

 

(参考)スクリャービン/演奏会用アレグロ変ロ短調Op.18

https://www.youtube.com/watch?v=JxC9PKW1UeI (7分)

※東京六大学連盟の公式動画より。早稲田大学の学生さんの素晴らしい演奏!プロの方の動画もありましたが、私はこの動画の演奏が一番好きです。

 

 

この曲も2019年に練習した曲です。今回ご紹介する3曲の中では一番知られていませんが、この曲も極めてロマンティック。弾いていて震えるような感動を覚えます!しかし、この曲は幻想曲以上に一度に押さえる音が多くて複雑で、めっちゃ難しい!笑

 

(参考)2019年1月~4月のピアノ練習記事(スクリャービン/演奏会用アレグロを練習)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12436912017.html

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12443231880.html

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12451027251.html

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12457053415.html

 

 

この曲のことも上記の4つの練習記事でほぼ書き尽くしました。A→B→A’→B’→Cという構成ですが、お正月から弾き始めて、1月末でAとBのパート(3ページ、上記動画1:17~3:48)を練習していますが、ピアノ・ソナタ第2番ほどには弾けていません。いかんせん音が多すぎて、指が覚え切れない…泣。

 

(写真)スクリャービン/演奏会用アレグロ変ロ長調から、第2主題後半のスクリャービンらしい左手の天翔る跳躍(左の小節)と豪快な左手の跳躍(右の小節)、そして決めの転調

 

 

この曲は第2主題で左手の和音が多いのに加えて、上の楽譜のように左手が大きく上下に動くので、非常に難しく感じます。「左手のコサック」とも称されるスクリャービンの面目躍如です。ただ、これが極めてドラマティックな効果をもたらしており、これもスクリャービンの特徴や魅力の一つとなっています。

 

 

 

以上、今年1発目のピアノ練習記事でした。私なりに考えるスクリャービンの音楽の特徴や魅力をおさらいすると、以下の通りです。これら以外にも、まだまだありますが、今後、ゆっくりご紹介して行ければと思います。

 

◯音符が多い。

◯転調が多い。

◯リズムのズレやクロスリズムが多い。

◯左手が大きく動く。(左手のコサック)

 

 

 

繰り返しますが、今年はアレクサンドル・スクリャービンの生誕150周年。私は単なる一人のアマチュアのピアノ好きではありますが、毎月スクリャービンのピアノ曲の練習記事を書いて、大いに盛り上げて行きたいと思います!!!