前回、スクリャービンの没後100周年の記念として、(無謀にも)幻想曲ロ短調Op.28に挑戦することを書きましたが、現在、少しずつですが譜読みに励んでいます。

しかしこの曲、ただでさえ13ページとボリュームが多いところに1ページ1ページに音符がビッシリ、譜面が真っ黒です!しかも♯やダブル♯やナチュラルが多く、転調も多いので、どの音をおさえたらいいのかすぐに分かりません…。さらに左手のパートには海の底かのごとく低い音の音符(譜線が多過ぎて一見、何の音だか分かりません…)は沢山出てくるは、逆にト音記号や「ここは右手で弾く」の仕切り線(つまりは左手の旋律がそこまで高く達することが多い…)が頻発するはでなかなか覚えられません…。

そこで、漫然と譜読みをしても全く頭に入らず指も覚えないので、全体を12のパートに分けて、パートごとに譜読みをすることにしてみました。(時間は前回も参考にした以下の演奏より)


(参考)スクリャービン/幻想曲ロ短調Op.28 花田えり佳さんの演奏(PTNA)
https://www.youtube.com/watch?v=i4WWoQdbbdc


第1パート(0:16~) 第1主題です。勇壮な短調の音楽。

第2パート(0:59~) 第1主題の繰り返し。繰り返しですが、ぐっとスケールアップされています。

第3パート(1:59~) 美しい第2主題。ただ、ここは左手が飛び飛び(オクターブを1→4で弾くところも)で、細心の注意を払わないとすぐ踏み外してしまい、全く気持ち良く弾くことができません…。右手と左手でメロディーラインの受け渡しをするところや交差するところも要注意。実は最初の難所です。

第4パート(2:58~) 第3主題。交響曲第3番ハ短調「神聖な詩」を予告しているという指摘もあるようです。確かに響きが第1楽章に似ているような気がします。

第5パート(3:36~) 第3主題の変形。ちょっとジャズっぽい響きがします。

第6パート(4:26~) 第1主題の変形。左手と右手のアルペジオが多く、左手5連符と右手6連符のクロスリズムもあり、後半はスピードアップし、全曲中の難所中の難所です。でも最後に短調から長調になって盛り上がり第7パートになだれ込む部分は本当に感動的です!

第7パート(5:11~) 第2主題の変形。美しい主題がスケールの大きな音楽となって帰ってきます。ただ、常に右左で4音ずつ鍵盤をおさえなければならず覚えるのが大変そう…。メロディラインも右手と左手で変わるので要注意です。

第8パート(5:33~) 第2主題の変形の続き。ここは右手がメロディーを奏でる中、左手が下から上へと駆け回り、「左手のコサック」ことスクリャービンの面目躍如です。もしかすると全曲中で一番難しいところかも知れません?ただ、希望に満ち溢れる長調が一歩ずつ進む中、ハッとするような和声も出てきて、全曲中最も聴き応えのするところです。

第9パート(6:15~) 第3主題。第4パートと同じですが、第4パートがニ長調に対して、こちらは第7・8パートから続くロ長調。決して楽はさせてくれません…。

第10パート(6:54~) 第1主題の変形その2。ここは右手が小刻みに動き活躍するところ。ショパンの幻想ポロネーズで途中に右手だけで長く自虐的な雰囲気のフレーズを弾く場面がありますが、それに似ているような気がします。

第11パート(7:33~) 第2主題の変形その2。美しい第2主題が短調になって寂しい雰囲気です。前半は左手(1の指がくぐりまくり…)、後半は右手が飛び飛びで、ここも全く気を抜くことができません。

第12パート(8:13~) フィナーレ。ここは両手でオクターヴを超えた11度のアルペジオが何度も出てきます。「数々の山を越えてきたら最後が一番高い山だった!」という感じで、最大の難所です…。



以上が譜面を見たところでの個人的な見立てです。とにかく一番難しそうなのは、第6・第8・第12パートなので、それら3つと、基本となる第1~第3パートから譜読みを始めています。ゆっくりでも焦らずに音を読んでゆっくり繰り返し弾いて、指にしっかり覚え込ませられればと思います。