その後バタバタと忙しく働き心の余裕もなく、ブログの更新はすっかりお休みになっていましたが…、夏休みだけは何とか取ることができ、ドイツとオーストリアを旅してきました。今年が生誕150周年となるR.シュトラウスも意識しての旅です。これからその様子を少しずつアップしていきます。

 羽田発のフライトでフランクフルトに入り、まずはヴュルツブルクを訪れました。ロマンティック街道の北の起点となるまちで、大司教の宮殿として建てられたレジデンツが世界遺産となっており有名です。


(写真)レジデンツ。階段の間の天井のフレスコ画は世界一大きいとのこと。教会や庭園も見応えあり。


 レジデンツのすぐそばにワーグナーがヴュルツブルクの市立劇場の合唱指揮者だった時に住んでいた家がありました。ワーグナーはここで2番目のオペラ「妖精」を作曲しています。






(写真)ワーグナーが住んでいた家とプレート、マインフランケン劇場


 音楽関係でもう1つ。ノイミュンスター教会の中庭に、ミンネゼンガー(恋愛歌人)としてタンホイザーにも実名で登場するヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデのお墓がありました。タンホイザーではドレスデン版で2幕にあった歌がパリ版でカットされてしまうなどアンサンブルの1人という感じですが、ニュルンベルクのマイスタージンガーの1幕では次のようなやりとりが出てきます。音楽も歌詞も大好きな場面です。


(ニュルンベルクのマイスタージンガー1幕より)

コートナー 何という師匠につき学ばれましたか?

ヴァルター 冬の日の静かなろばたで家も庭も雪にうもれるとき、春がやさしくほほえんだことを、その春がまた間もなく目覚めることを、祖先から伝わる古い書物で、いくたびとなく、私は読みました。ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ、彼こそ私の師匠でした。

ザックス よい師匠だ。

ベックメッサー だがずっと前に死んでいる。どうして規則など教えられるものか。

コートナー しかしどのような所で歌い方を学ばれたのですか?

ヴァルター 野や畑に霜が消え、再び夏が訪れるとき、かつて長い冬の夜に、古い書物から学んだものか、美しい森にひびき渡り、高らかな歌声をきき、フォーゲルヴァイデ(小鳥のすむ原)で私は歌をならったのです。



(写真)ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデのお墓のそばにあるプレート。小鳥が描かれている(中央左)。


 ヴュルツブルクはフランケンワインの産地としても有名です。駅の後ろにぶどう畑がびっしり並んでいるのは壮観で、ユリウスシュピタールやビュルガーシュピタールなどはバイロイト音楽祭の幕間でもよく飲まれています。丸いボトル(ボックスボイテル)が何とも可愛い。


(写真)ユリウスシュピタールの看板


 ヴュルツブルクの見所としてもう1ヵ所、マリエンベルク要塞があります。坂道が続き歩いていくのはなかなか大変ですが、ここからのヴュルツブルクのまちの眺めは素晴らしく、行ってみた甲斐がありました。




(写真)マリエンベルク要塞とヴュルツブルクの風景


 まだまだゆっくりしたいところですが、夜に観劇があるので観光はここで切り上げました。