【設例】 20代・男性です。
今年7月に新紙幣が発行されるとの報道を見ました。偽造防止のための最新技術が導入されるとのこと。
ところでお金は紙なのに、なぜ価値があるのでしょうか。よく考えると不思議な感じがします。
【回答】 ご質問にお答えします。
お金の歴史をひも解くと、江戸時代は、大判・小判の時代で、金や銀などで鋳造された貨幣が主に使われていたと云います。
明治時代から本格的に紙幣が導入されましたが、当時、紙幣はあまり信用されなかったようです。
そのため明治政府は、兌換紙幣といって、金や銀と交換できるルールをつくりました。
昭和になると、そのルールも廃止。
今使っている紙幣を見ると、一番目立つ位置に日本銀行券と書いてあります。
もちろん、現在は、日本銀行券を日本銀行に持参しても、金や銀との交換はしてくれません。
では日銀はどんな資産を持っているかというと、大半が、日本国債です。
日本国債とは、日本政府が発行する借用証書のようなものです。
つまり、現代のお金の価値の裏付けは、「日本政府の信用」ということになります。
紙のお金(最近はほぼデジタル化されていますが)で色々な買い物ができるのは、日本国民全員が日本政府を信用しているからです。
日本政府の信用が無くなるとお金の価値も無くなります。
実際、日本でお金の価値がほぼ無くなったのは、第二次世界大戦後です。
具体的なエピソードとして、明治生まれの私の祖父は、終戦直後に「こんなもの価値が無くなった」と言って、お金を庭に投げ捨てたと父から聞いたことがあります。
当時、お金では何も買えなくなり、着物を農家に持参し、お米やみかんと交換してもらったそうです。
現代では、信じられない話かもしれません。
今の日本政府をどこまで信用できるのか。
もちろん、信用しないと生活できませんが、100%信じ切ってよいのかというとそうでもありません。
政府と日銀が連携すれば、際限なく、日本銀行券を発行することも可能だからです。
金(ゴールド)が市場ですごく値上がりしているのは、政府の信用が少し落ち始めていることも背景にありそうです。
この傾向は、米国や欧州などの政府についても同じことが言えます。
近頃、米国の大手IT企業の株式に大量のお金が集まっているのは、ある意味、政府より信用できると判断されているのかもしれません。
お金の価値の本質を理解することは、どんな資産運用を選択すればよいかの判断基準にもなると思います。