【設例】 40代・男性です。
最近、資産運用に関するネットの記事や動画を見て、どうすればよいのか混乱し始めました。
異なる意見がたくさんあるようです。
資産運用の基本をもう一度教えていただけないでしょうか。
【回答】 ご質問にお答えします。
資産運用の基本は、「国内債券、外国債券、国内株式、外国株式に分散投資をして長期で保有し続けること」と私自身は考えています。
この考え方は、資産運用のアドバイスを始めた2007年から一貫して変わりはありません。
一番わかりやすい例は、国民の年金積立金を預かって、資産運用をしているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産配分です。
実際にGPIFのホームページを見ると2024年度は、国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%を基本の配分として運用する方針が公表されています。
一方、個人向けの資産運用アドバイスで、ここ1~2年よく推奨されているのが、外国株式100%の選択です。
コロナショック後から始まった株高で、コロナ前から外国株式100%で保有している人たちは評価額が大幅に上昇しており、要するに現実的に儲かっているので、賛同を得られやすい選択なのだと思います。
ですが、GPIFが説明している投資理論でいえば外国株式100%は、もっともハイリスク・ハイリターンな選択となります。
もちろん、絶対的な正解はないのですが、ここで一度、資産運用の基本に立ち返ってみるのもよいかもしれません。
道に迷ったら、少し時間が掛かっても、わかる場所まで引き返せば安心できるのと同じです。
基本は、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の配分と、再認識してみることをおすすめします。
そこからどうアレンジするのかを考えるのが、難しいところでもあり、楽しいところです。
生真面目な方は、GPIFと同じ25%ずつを選択するかもしれません。
ちなみに、どのような資産配分を選択するか(どのような商品を選択するかではなく)で運用成果の8割~9割くらいが決まるという研究もあるようです。
資産配分の基本を理解した上で、具体的に何%ずつ配分するのがよいかは、FP事務所でも相談できる内容です。
FP事務所では、それぞれのライフプランにもとづくリスク許容度(経済面だけでなく心理面を含む)を把握した上で、資産配分の設計、提案をおこなうのが一般的です。
最適な資産配分は、絶対的な一つの正解があるわけではなく、多様性があるとご理解ください。
例えば先月、日本FP協会が配信した会員限定の対談動画でも、FP自身がそれぞれに選択している資産配分と考え方が紹介されていました。
応用編として、金(ゴールド)や不動産など代替的な投資対象を含めるパターンなどもあります。
また、金太郎飴のように、どこを切っても断面が同じではなく、時間軸によって配分を変化させる選択もあります。
今後日本でも投資についての理解が深まると、「私の資産配分」の話題で盛り上がる時代が来るかもしれません。