森本FP事務所のQ&Aブログ

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資産運用・保険・住宅ローンの疑問・質問にお答えしています。

【設例】 40代・女性です。
昨年末に1米ドル115円だったものが、7月には、139円まで動いています。
なぜ急に円安になったのでしょうか。
今後の資産運用をどうしたらよいかも教えていただけると幸いです。

【回答】 ご質問にお答えします。
円安ドル高の要因として一番よく言われているのが、海外との金利差です。

日本の政策金利は、現状では、ほぼ0%ですが、米国は、今年に入り利上げを実施しています。

米国10年国債の利回りは、このところ3%前後で推移しており、それならば、米ドルで年3%の運用した方がよいと思う人が増えて、円を売り、米ドルに換える動きが強まっているというわけです。

個人的に、もうひとつ気になる状況は、日銀による国債の保有割合が今年6月末時点で、とうとう50%を超えたというニュースです。

2013年3月末時点で約13%だったものが、2022年6月末には、50%を超えたとのこと。

日銀が日本銀行券を大量に発行して、そのお金を使い、日本国債(日本政府が借入のため発行する証券)を買う図式の異次元緩和を始めたのが、2013年4月です。

その後約9年間、同じ金融政策を進め、今に至っています。

最近は特に、海外の投資家が先物市場で日本国債の売りを仕掛けており、それに対抗し、日銀が日本国債の買いを急増させているとのこと。

例えば、先物市場で10年国債が売られると、10年国債の金利(長期金利)は上昇します。

長期金利が上昇すると、住宅ローンの金利なども上昇します。
それは困るということで、日銀が国債を買い支えている状況です。

このように、日銀が日本銀行券を際限なく発行すれば、通貨(円)の量は増えますが、価値はどんどん下がっていきます。

以前、FP相談内で、このことをカルピスを水で薄めれば量は増えるけれど、味はどんどん薄くなっていきますよね、と解説したところ、それ分かりやすいですね!との反応をいただいたので、ここにも書いておきます。

通貨の価値が薄まれば、当然ながら円安方向の圧力になります。

日銀の保有資産が激変しても、普段見えている街の景色は変わらないので、ほとんどの人は何も意識していないと思いますが、見えないところで大きく変動していることは、ぜひ知っておいてほしいところです。

また、今年の後半は、円安の影響に加え、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格高騰もあり、物価の上昇がすでに見込まれています。

これまでは、円安による多少の仕入れ値の上昇も企業が吸収していましたが、極端に円安が進むと、企業がコストを吸収しきれなくなります。

円安・物価上昇の対策は、国内外の株式、不動産、債券、商品など、さまざまな種類の資産に分散投資をすることです。

外国株式等への投資はリスクが高いと考える方は、通貨の分散だけでも意味はあると思います。

もちろん、どこまで円安が進むのか、正確な予測は困難ですし、為替は外国通貨との力関係など、さまざまな要因で動くので、いったん円高に戻る可能性もあるのですが、生活上のリスク(家計への打撃)は、円高よりも、円安にあります。

くらしを守る観点から、通貨分散を意識した資産運用を考えてみてはいかがでしょうか。
 

【設例】 30代・女性です。教えてください。
私の友人の知り合いにFPさんがいますが、お話を聞いたところ、その方は、保険のセールスが中心のようです。

保険商品の紹介は望んでおらず、家計、ライフプラン全般に関して、相談者側に立ったアドバイスを受けたいと思っていたのですが。

FPのセールスとアドバイスの位置づけは、どのようになっているのでしょうか。

【回答】 ご質問にお答えします。
FP業界では、FPが金融商品、保険商品を売ることについて様々な意見があり、何が最善なのか、いまだ明確な答えが見えない状況です。

とはいえ、FPも何らかの商品、サービスを売らないと、職業として成り立たないのは確かです。

昔、あるFPの会合に参加した時に、「自分(FP)は物売りじゃない」と発言した方がいて、いまだに印象に残っていますが、八百屋さんでも文房具屋さんでも、何かを売って仕事にしているのになと当時思った記憶があります。

セールスの仕事で立派に生計を立て、家族を養っている方も大勢います。

ちなみに、私の考えでは、セールス・自分のためにするもの、アドバイス・相手のためにするもの、という違いがあると考えています。

もちろん、セールスとセットで良心的なアドバイスを無料でしてもらえるケースもあります。

FPが金融商品、保険商品を売るという場合もセールスですが、例えば、FPがFP顧問サービスを売るという場合もセールスです。

私自身も、少なくとも「FP相談サービス」をセールスしているのは間違いありません。

そこでややこしいのは、販売するモノが、野菜や文房具ではなく、言葉や図、数字などで構成されるアドバイスなので、その性質上、アドバイスとセールスが混在してしまいがちなことです。

例えば、相談者がアドバイスだと思って話を聞いていたら、いつの間にか特定の保険に加入する話になっていた、といった事例を聞くことがあります。

そのようなケースがあるので、FPにアドバイスを求めるべきではない、といったコメントも時々ネットで見かけてしまいます。

私は、この問題の解決策は「事前に言う」ことだと考えています。

具体的に、私の事務所のやり方をご説明すると、例えば、初回相談の後にFP相談パックという上位メニューをご案内することが多いのですが、その際も、ここからは、サービス案内になります、と事前に告げ、許可をいただいた上でお話を始めるようにしています。

そして、サービスに具体的なメリットがあると判断してもらえれば、ご希望に沿ったプラン作成の打合せに進み、そうでなければ見送る旨を伝えていただく流れです。

セールスの立場で話す時は「事前に言う」をルールにすれば、それ以外は、すべてアドバイスと理解してもらえ、ご相談者との良好な信頼関係を維持できると感じています。

私自身、何度も有料相談をお受けする中で発見した工夫です。

アドバイスとセールスが混在していないかを確認してもらうもう一つの手段は、情報開示です。

例えば、相談料、顧問料のほかに、提携会社から手数料、紹介料等が入るなどの場合は、その旨を事前にできるだけ具体的に説明して透明性を高めます。

また、サービスの利用者側としては、わからないことがあれば「聞く」ことが大事と思います。

命の次くらいに大事なお金の相談です。

相談が人生を左右するような重要な判断につながることもあります。

納得できるまで遠慮せずに聞く。

聞くことでアドバイザー側に気付いてもらうこともできます。

FP相談サービスの提供者と利用者の双方で工夫し、良好な信頼関係がたくさん築かれることを願っています。

 

【設例】 50代・男性です。
先日、岸田首相がロンドンで「資産所得倍増プラン」を推し進める旨を表明しましたが、現実的なのかが話題です。

日本では、金融資産の6割以上が高齢者に偏っており、難しいとの見方もあります。
このプランは現実的なのでしょうか。

【回答】 ご質問にお答えします。
金融資産運用の取り組みの必要性は、かなり前から「貯蓄から投資へ」のスローガンで表現されていました。

今回、新たに表現が加わる形かと思います。

確かに、国民全体で金融資産運用に取り組み、成果がでれば、国内の経済や人びとのマインドも上向きになりそうです。

この取り組みが、現実的かどうかについては、日本国民全体で金融資産2000兆円を持っているのは事実ですし、一人一人が気付いて行動すれば、できる、ということだと思います。

ただし、金融商品をただ買えば良い、という話では全くなく、あくまで金融経済の勉強とセットでなければならないところが最も難しい部分です。

なお、金融所得は、いわゆる不労所得です。
そのことにも意味があります。

実際、私がFPとしてご相談を受けている中でも、全員が全員、老後まで長期投資の資金を引き出さないというわけではなく、例えば、住宅購入頭金や車の購入代金、起業資金など、数百万円単位で運用益を活用されている方はいらっしゃいます。

金融所得で、不労所得なので、思いきり使いやすい面もあります。

このように資金を活用してもらうことで、住宅業界や自動車業界などの収益にもつながり、それが税収にもつながっていく。

その税収で公共事業なども行い、雇用の拡大にもつながるといった好循環が生まれます。

ただし、若者など、資産がない人は、どうすればよいのか、という問題はあります。

FPの技能は、資産を持たない人には役に立たないのかと、よくFP仲間のあいだでも議論になります。

結論を言えば、資産を持つ人を中心に、取り組んでもらうしかないのだと思います。
高齢者の方も含めてです。

ただしもちろん、仮に今は貯蓄ゼロでも、積立投資などでコツコツと取り組んでもらう方法はあります。

あるいは、金融経済の勉強をした40、50代あたりの方々が、自身の親の資産管理をサポートする、という流れを作るのもよいかもしれません。

親と自分の資産を「家族の資産」として一体でとらえ、親との意思疎通を図りながら資産運用に取り組む。

成果が出れば、親の介護費用などにも使えますし、余った資金は、いずれ相続で承継される資金になります。

現状、日本では、資金を銀行預金に預けたままだと、超低金利のため利息はほぼゼロ。
銀行手数料を考慮するとむしろマイナスです。
不労所得が全くない人も大勢います。

これでは、消費が活発化しないのも必然です。

例えば、日本でもバブルの時代があり、その頃は、金融所得でブランド物を買ったり、海外旅行に行ったりと、派手な使い方をする人は、たくさんいました。

なので、消費低迷を国民性だけで片づけてしまうは早計と思います。

最近は特に、急に円安が進み、かつてのような円預金の絶対的な信頼感もゆらぎつつあります。

「資産所得倍増プラン」が個人やその家族の暮らしを守り、さらには日本の社会全体への貢献にもなるとすれば、ぜひ進めるべきプランと思います。