資産運用で気になることがあります | 森本FP事務所のQ&Aブログ

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資産運用・家計・ライフプランの疑問・質問にお答えしています。

【設例】 50代・男性です。
昨年から新NISAが始まり、今年も投資ブームが続くと見込まれますが、少し気になることがあります。
特定の投資信託にお金が集まり過ぎていることです。
日本人は、周りの動きをみながら一方向に傾く国民性があるように思います。
この動きについて、どう思われますでしょうか。

【回答】 ご質問にお答えします。
日本人の国民性を説明するのにわかりやすい、あるジョークをどこかで見たことがあります。

それは、タイタニック号が沈む時に乗客を救命ボートに移すため、海に飛び込んでもらう必要があり、船長がそれぞれの国籍の人にどのように声がけしたかという話です。

(注:記憶を頼りにした再現なので原作通りではないかもしれません)

アメリカ人には、今飛び込めば「ヒーローになれますよ」と声がけし、
イギリス人には、同じく「紳士になれますよ」
ドイツ人には、「それがルールです」

そして、日本人にかけた言葉が「他の人もそうしてますよ」でした。

「他の人もそうしてますよ」は、日本人にはとても響くメッセージと思います。

もちろん、その国民性の良い部分もあります。

例えば、東日本大震災の極限状態でも人々が秩序正しく列に並んでスーパーの開店を待つ光景があり、このことは海外のメディアからも称賛を集めました。

また感染症対策で、ほぼすべての日本人が統一的にマスクをして生活していたのも記憶に新しいところです。

日本は島国であり、農耕民族として限られたコミュニティの中で暮らしてきた歴史もあり、他の人と同じ行動をとると安心する国民性があると思います。

私が小学生の頃に、ビートたけし作の「赤信号 みんなで渡れば怖くない」という標語(?)があったのも思い出しました。

最近は、新NISAも始まり、ちょっとした投資ブームですが、仰る通り、特定の投資信託に兆円単位で資金が集まっています。

しかも、同じハイリスク・ハイリターンの銘柄に資金が集中してしまっている。

もちろん、しっかり理解して投資しているケースもあるはずですが、あまりよく理解しないまま、みんなが投資しているので自分もそうしているというケースも多いと思います。

一方、日本では投資について見向きもされない時期がありました。

これはFPとしての私自身の経験でもあります。

例えば、今から10年以上前の2011年頃は、現金(円)が特に選好された時期で円高が急速に進みました。

当時、民主党政権の安住財務大臣が為替介入の際、「納得いくまで」と発言して、目標値は1ドル=79.19円かと騒がれたのを覚えています。

その頃は、海外からも日本円が最強の安全資産とみなされていて、世界同時株安のたびに円高が進むという現象がみられました。

近頃は逆に円安が進み、世界同時株安でもこの現象がみられにくくなっています。

歴史に学ぶ、という意味でこの動きをどう捉えるかです。

もちろん他の人と同じ行動をとるのが正解のこともあります。

ただ、何も疑問を持たずに「他の人と同じだから大丈夫」と思い込むのは危険と思います。

リスク許容度は、個人ごと家族ごとに異なるためです。

資産運用は、それぞれのライフプランやリスク許容度に合った方法で取り組むことをおすすめしています。