政策金利が0.5%に上昇し家計はどうなるのか | 森本FP事務所のQ&Aブログ

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資産運用・家計・ライフプランの疑問・質問にお答えしています。

【設例】 30代・会社員の男性です。
先月24日に日銀が政策金利を0.5%に引き上げるとの報道がありました。
今回、なぜ日銀はそのような決定をしたのでしょうか。
また今後、家計にどのような影響があると考えられますか。

【回答】 ご質問にお答えします。
まずはじめに日本銀行がなぜそのような決定をしたのか、から考えてみます。

これは物価の上昇が背景にあります。

近頃は日々の生活の中で物価の上昇を実感し始めている方も多いのではないでしょうか。

一般的に金利が低いままだと、現金・預金が株式や不動産や外貨などに向かい、物価の上昇が進むと考えられています。

もう少しわかりやすく説明すると、金利の付かない「円預金」に放置しておくのは、もったいないので、株式や外貨などを買ってみたい、あるいは、そんなに低い金利で借りられるなら、お金を借りて不動産などに投資をしたい、という人が増え、現金から物への交換が進み、物価の上昇が続くわけです。

一方、「円預金」に多少でも金利が付くようになれば、株式や不動産や外貨などに投資していた資金を「円預金」に引き戻す動きが出るはずです。

つまり、日銀の政策意図を端的に説明すると、「円預金」からの離脱をある程度まで抑制したいということです。

日銀は、物価の上昇に加えて、賃金も上昇傾向にあることを確認し、景気の腰折れはないだろうとの判断のもと今回の利上げに動いたようです。

日銀は、「通貨の番人」とも呼ばれますが、このように政策金利の調節などによって、通貨の価値を守り、物価のコントロールを目指す役割があります。

物価が上がる=通貨の価値が下がる、の関係をしっかり頭に入れておくと、わかりやすくなると思います。

もちろん今後、物価がどう動くのかは、正確には誰にもわかりません。

実際、失われた30年と呼ばれる期間は、いまだにはっきりとした原因はわかりませんが、日銀が超低金利政策を続けても物価が上昇しない状況がずっと続きました。

つまり、日銀の政策意図がそのまま実体経済に反映されるとは限らないということです。

ただ、くらしを守る観点から、仮にこうなればこうなるのようなシミュレーションをしておくことは大事です。

今回、一番大きな家計への影響は住宅ローン(変動金利型)の金利が上がることだと思います。

変動金利型は、理屈から言えば、近いうちに0.25%程度上昇する見込みです。

仮に5000万円を借りている人が+0.25%となると、単純計算で年12.5万円の負担増となります。

一方で銀行の普通預金の金利も上がる予定です。

これは日銀の決定を受けて、メガバンク3行から即日に発表されました。

現金をそのまま銀行の普通預金に預けておけば、メガバンク3行の場合で年0.2%(税引前)の金利が付くようになります。

仮に「円預金」を5000万円持っている人であれば、何もしなくても年10万円(税引前)程度の不労所得が入るようになり、お小遣いにできます。

利上げに伴い、ライフプラン・シミュレーションも多少変化するはずなので、仮にエクセルで自作している方であれば更新し、FPと一緒に作っている方であれば、この機会にかかりつけのFP事務所等を訪ねて計画の見直しや再確認を実施してみることをおすすめします。