法人の生命保険―保険料が払えなくなったら
保険料の払込が厳しくなったら・・・
以前『保険相談 』にも書きましたが、基本的には個人であっても法人であっても考え方は同じですが、保険の加入目的によって存続させるのか解約してしまうのかが決まってきます。
通常の状況で保険料をストップするには「解約」か「払い済み」の方法しかありません。
法人で加入した損金計上タイプの保険を払い済みにした場合、経理上はその時点の解約返戻金から資産に計上した額を控除した額、つまりそれまで損金でそこまで含みにしていた簿外の収益を表に出す必要があります。
しかし保険契約を解約することなく保険料の負担を無くし、益出しして収益がマイナスになるダメージを減らしたり赤字回避を図る事も可能です。
また契約者貸付を受け、保険料に充当する方法や『減額』、または解約し、他の商品に置き換えるなどの方法もあります。
法人の保険は加入して何も手を打たずに最後まで推移するというより、時と場合によって形を変えたり中断したりその時々の状況によって姿を変えるものです。
要はイレギュラーな事態にどう形を変えられるか、様々な知恵を出しその時々の状況にフィットさせて活用する事が重要なのです。
法人の生命保険―その6
近年、中小企業の事業承継を廻る状況は、経営者の高齢化や後継者不在による廃業の増加など厳しさを増してきています。
実は生命保険は事業承継をスムースに進めるための有効な活用法としても使えたりするのです。
平成20年・21年と事業承継税制には納税猶予制度の導入など、中小企業の事業承継が円滑に行われるように法整備も進んできましたが全ての中小企業がその恩恵に与れるかというと、実際のところまだ法の解釈上の問題などから実務上の問題点など解決しないところがあったりするようです。
事業承継というと『相続』は避けて通れない問題で、特にオーナー社長の場合自社株の相続は事業が順調であるほど難しい問題となる事が多々あります。
前回は経費計上できる保険の活用で含み益を作る方法をお話しましたが、相続や事業承継は終身保険を活用して『退職金2度受け取りプラン』で対応する事も出来ます。
これは社長が2回退職金を受け取るということでは無く、社長を退いた後も後継者の補佐として亡くなるまで会社に残り、『死亡退職金』を支給することで、相続人が相続した自社株に発生する相続税を会社負担で用意するという方法です。
終身保険は必ず保険金を受け取る事が出来ますのでこのような使い方も可能です。
法人の生命保険というとどちらかというと『費用計上して課税を減らす』方向へ意識が行きがちですが、企業を取り巻くリスクは多岐に亘りますので優先順位の高いところから少しずつ準備を進めて行かなければなりません。
また、『今赤字だからそんな余裕無いよ』という社長さんも多いのですが、利益の多寡で考える事では無く、中長期の経営計画から戦略的に考えるべきだと思います。
法人の生命保険―その5 保険料が経費になるということ
保険料を損金処理するメリットをもう少し詳しく説明します。
保険料を経費にすると何が良いのか?
これは『含み益』を作る事ですね。
含み益って?
例えば以前5000万円で購入した土地があるとします。帳簿上は取得金額となっていますが、今売却すると7000万円で売れるとすると、売却して現金化すると2000万円の利益が発生しますよね。これが『含み益』です。
保険も同じ事なんです。費用として処理すると帳簿からはお金が無くなったことになりますが、解約すると解約返戻金が発生します。その返戻金が『含み益』となるのです。
当期利益を圧縮する―例えば今期1000万円の利益が上がる見込みだとします。そのまま1000万円計上すると法人税は実効税率でおよそ40%取られますから税引き後利益は600万円となるわけです。
ところがこれを1000万円経費で計上できる保険に加入すると、当期利益は0となります。
法人所得が0ですから法人税は無くなるわけです。(法人住民税など赤字でも支払う税金はありますが)
その保険を解約すると980万円になるということであれば、支払わずに済んだ法人税も合わせると、解約時に140%近い効果になるんですね。
上はちょっと乱暴な例ですが、毎月、毎年の事業を行う中で、会社の成長戦略に合わせてお金をコントロールできる、帳簿に表れないお財布を作る事は企業存続の為にも有効な方法です。
税金を誤魔化すのは犯罪になりますが、このような方法を取る事で税負担を最小限にするコトは法律でも認められた行為です。企業の状況に合わせて上手に活用できるよう知恵の絞るのも面白い仕事ですよ。
ただし気をつけて欲しいのは、このような手段をとると一時的にキャッシュアウトが伴うので手元資金はしっかりと確保しておかなければならないいうことと、解約した時のお金の行き先がキチンと計画されていないとその時点でしっかり課税がかかってしまうということです。
こうして作った含み益の最終的な行き先は『社長や役員の退職金』になる事が多いのですが、これは現在の税制上最も優遇を受けるのが退職金だからなんです。また、退職金は経理上損金として扱いますので、相応の利益が無い場合、支払い年度に多大な現金の流出と大きな赤字を計上してしまう事になります。
在任中は会社のお金のコントロール弁として機能させ、最終的に退職金に充当するというのは今のところかなり有効な方法であり、実際多くの企業が行っています。
また、対銀行対策として見えるところ(帳簿の表面)にお金を多く置いておかないということもあります。
このあたりはzaimu さんのブログに詳しい話もありますので、良かったら参考にしてください。
つづく
