先日お客様(以下Aさん)より、不動産の相続についての相談がありました
「妻が亡くなり、共有していた自宅の土地建物の妻の持ち分を、誰の名義にしたら良いか?」
というものでした。
亡くなられた奥様の相続人は
夫(Aさん)、長女、次女、三女
の4名
Aさんはゆくゆく、このご自宅は三女へ引き継ぎたいとのことで、娘3人もそれを了承していました。
それを踏まえ、名義変更はいくつか次の3つがあります。
①妻の相続分を三女にして、Aさんと三女の共有にする
②妻の相続部もAさんの持ち分も三女にして、三女の単有にする
③妻の相続分をAさん名義にして、Aさんの単有になる
Aさんは、
いずれ自分も亡くなるし、何度も名義変更をするのも大変だから、と②が良いのではないか、とのお考えでした。
皆さんだったら、どれを選びますか
①Aさかと三女の共有にする
不動産の相続による共有は極力おすすめしません。
①の共有を選んで、もし万一Aさんよりも三女が先に亡くなってしまった場合、その三女の持ち分の相続は、法定相続だと三女の夫への相続になり、Aさんと義理の息子の共有になります。
その後、Aさんが亡くなった場合は、Aさんの持ち分は長女や次女へ引き継ぐ、もしくは長女、次女、三女の子どもが引き継ぐことになり、枝分かれをしていくことになります。
※遺言や話し合いで、別の人が引き継ぐこともできます。
そうなると、様々な手続きに多くの人数の同意が必要になり、なかなか相続が整わないケースが出てきます。
②三女の単有にする
Aさんが考えているこの方法は、将来的なことを考えると一度で名義変更が済み、安心かもしれません。
しかし、注意すべき点は、Aさんの持ち分を三女へ移転する場合「贈与」になり、基礎控除の金額を超えると贈与税の対象になるということです。
また、固定資産税も三女へ支払い義務が移ります。
このことをAさんにお伝えすると、贈与税が発生するかもしれない、とおっしゃられていました。
③Aさんの単有にする
この場合、Aさんが万一亡くなられたら、再度三女への名義変更が必要です。
しかし、現在はAさんはまだまだお元気で、自宅に住み続けますし、万一亡くなられた場合、他の相続財産(現金ん預金、他の不動産多数)と併せて、長女・次女との遺産分割の整理もしやすいのではないか、とお伝えさせていただきました。
以上を踏まえた結果、Aさんは③を選択することにしたようです。
相続不動産の名義変更は、今年の4月から義務化されました。
※詳しくはこちらの記事もご覧ください
相続が起こると、その後さまざまな手続きが必要で、何から手を付けて良いか、何をどうしたらいいか、じっくり考える心のゆとりはないかもしれません。
Aさんも、そのような状況の中、ご相談に来られました。
世の中、分からないことはたくさんありますが、情報を得て、メリットデメリットを知り、最善の選択がしていけると良いですね
これからも、お客様や相談者の方の心が極力軽くなるよう、しっかり寄り添っていきたいと改めて思いました