一橋大学 数学 講評 | 2025年大学入試数学 | 東大数学9割のKATSUYAが販売する高校数学の問題集
2025-03-04 10:00:00

一橋大学 数学 講評 | 2025年大学入試数学

テーマ:●大学入試数学(2025年)

●2025年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は一橋大学です。

 

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです。

 

2月に入り、本格的に2次試験シーズンがやってきました。お馴染みになってきたかもしれませんが、2025年 大学入試数学評価をやっていきます。


2025年大学入試(国公立)シリーズ

一橋大学です。

 

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。 ☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。 

 

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。 

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。 したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。

 

同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

本文にある緑字(この色)は、数学を受験する上で必要な原則を表しています。知らなかった場合は、言葉を覚えるだけでなく、必ず教科書や問題集等で該当する類題を数題見つけ、演習することで定着させてください。

 

自分で探して自分で解く。これが一番身につきます。

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講評は動画でも紹介していますので、お好きな方でご覧ください。

 

一橋大学 数学 

(試験時間120分、5問、記述式)

 

  目次

 

 

1.全体総評~ムズすぎ~ 

 

大幅難化といっていいでしょう。どの問題も完答が難しく、下手すると(下手しなくても)0完が全然あり得るセット。

 

受験生が嫌いそうな問題を集めましたと言わんばかりのセットです。

 

出題分野は、ほぼいつも通り。整数、微積分、ベクトル、確率。これに、今年は図形と方程式から軌跡の問題。

試験時間120分に対し、標準回答時間は165分。 調査以来最長です。

 

2024年:110分

2023年:118分 

2022年:150分(後半2題で90分) 

2021年:130分 

2020年:115分 

2019年:120分 

2018年:138分 

2017年:135分 

2016年:130分

2015年:150分 

2014年:145分

2013年:125分

2012年:135分 

2010年:125分

 

 

2.合格ライン~4割でもいいかも~ 

 

どれも完答は難しいです。こんな書き方したの初めてかも。

 

必須は第1問(1)(2)、第2問(1)。第3問は場合分けした式まではきちんと書きたい。

 

ここから先は、得意分野に合わせて第2問(2)、第4問、第5問(1)あたりをつぶす。原則を知って入れば第2問(2)と第4問には手が付けやすいが、レベル高めの原則なので泣かなk難しかったかも。

 

どれか1つでもなんとか1完+残り4割答案ぐらいでもボーダーになりそうです。40%ぐらいでしょうか。点数取らせる気ないやろ。。。

 

 

※あ、結構ひどいいいようですが、問題としては悪問は別にないです。むしろ1度は入試までに知っておきたい手法が詰まっているので、良問セットなのは変わりないです。ただちょっと今年は難しい問題が密集しすぎでした。

 

 

3.各問の難易度 

 

☆第1問【整数】方程式を満たす正の整数解の組(CD,40分、Lv.3)

今年も最初は整数からでした。正の約数の個数が絡む関数について考えます。(1)(2)はともかく、(3)は理系で出ても正答率は低そうです。

 

(1)は具体的に2025で求めるだけ。年号系の素因数分解はいいですね。

 

(2)も具体的に個数がk+1個、k+2個になるので、不等式を整理します。あとはkが1以上になることからk+2/k+1が1.5以下になることなどでpやkを絞っていきましょう。

 

(3)は厳しいです。色々調べて、答えだけでも当てられればチョットは点数もらえるかもしれません。てか、そうやって色々調べるうちに分かってくるんですが、それでも経験がないとキツイでしょう。

 

流れとして、まずnが次のような形にかけると、自分で設定できることです。最初からハートるが高いですが、ここが思いつかないと答案が書けません。

 

 

p1~pmは異なる素因数、k1~㎞は自然数です。2以上の数字は、すべてこの形にできます。そして、これでf(n)を計算すると、分子も分母もちぎれて、

 

 

と分解出来ることに気づければかなり前進です。(2)の結果が使えます。

 

注意点は、素因数が無い状態から追加されたときに値が大きくなるかどうかです。素数は約数の個数が2個だけなので、5以上の素数は存在した瞬間に値が小さくなります。

 

あとは2と3ですが、3は1個だけでOKです。(2)の結果から、3については指数が増えれば増えるほど減ります。そして、2は2個の時が最大ですね。

 

※KATSUYAの解答時間は24:18です。(3)は分解に気づくまでに結構時間かかった。似た題材のオイラー関数で似たような変形できるんよな。そこから着想したかった。

 

 

一橋大は正の約数の個数や、互いに素な整数の個数などの題材が好きですね。本チャンネルでも動画で紹介済みです。

 

 

 

 

 

☆第2問【図形と方程式】2円の共有点条件、直線に関する対称点の軌跡(BC、25分、Lv.2)

数Ⅱの座標からで、2円を通る直線に関して、動く円の中心に関して対称な点の軌跡。2円、文字絡みで対称点、そして軌跡。受験生が苦手なところをこれでもかと1つにまとめた感じの問題。でも大事な考え方(原則)が多く、良問だと思います。

 

 

(1)は何としても答えたい。式処理でも図形で考えてもOK。式処理なら、P(2,b)とおいて、中心間の距離が半径の差2より大、半径の和4未満になるようにするだけです。

 

(2)はその条件の下で、2円を通る直線に関してP(2,b)と対称な点を求めます。文字が入っていることもあり、計算はまあまあメンドウ。それでも、軌跡を出すためには原則に従ってコツコツやります。

 Principle Piece  直線に関する対称点 中点が直線上、傾きの積ー1で連立

(詳細は拙著シリーズ 数学Ⅱ 図形と方程式 p.15 参照)

 

これに従ってカリカリ計算すると、Pの座標が(16/b^2+4、8b/b^2+4)と出ます。(1)の範囲でこの軌跡を求めますが、これがなかなか思いつかないかも。一橋のうまさだと思います。

 

最もラクな方法は、こちらの原則を利用することです。ただし、あまり掲載されている問題集はなく、レベルは高め(拙著ではちゃんと書いてるよ!!)

 Principle Piece  分母a^2+1系はa=tanθとおいてcos2θ、sin2θをあぶりだす

(詳細は拙著シリーズ 数学Ⅱ 三角関数 p.112 参照)

 

これさえ使えばx,yがcos2θ、sin2θの式になり、軌跡の方程式が円だと分かります。あとはbの範囲からθの範囲を特定し、どの部分を描くかを特定します。この置き方の最大のメリットは、このように一部でも範囲が分かりやすいことです。

 

これが思いつかなかった場合は、こちらの原則に従います。ひな型は、交点の軌跡を出すときの問題です。

 Principle Piece  交点の軌跡は「交点出す」より「媒介変数消去」

(詳細は拙著シリーズ 数学Ⅱ 図形と方程式 p.87 参照)

 

このタイプの問題で、もし交点を出した場合にはだいたいこの形になるんですよね。でも、大体は交点を出さないので、本問がタイプだと気づかないです。うまくやってきました。

 

方程式だけでも出したい場合は、この手の問題はとりあえず2乗して足すのもありです。

 Principle Piece  分母a^2+1系はとりあえず2乗して足してみる

(詳細は拙著シリーズ 数学Ⅱ 図形と方程式 p.88 参照)

 

今回はx^2+y^2を計算すると、分母がb^2+4で1回割れて、分子がx座標の4倍になりますので、x^2+y^2=4x となります。

 

ただし、下2つの場合は、bに条件がある場合にどこを動くかの判定がメンドウです。レベル高めですが、tanθ置換の原則を身につけるのがいいと思います。

 

 

※KATSUYAの解答時間は12:02です。(1)はいいとして、(2)はこれで対称点だすんか。メンドそう。形を見てtanθ置換型になったので、あとはさくっと。この原則しらないとキツくないか。私の本買ってる人なら有利やったに違いない^^ 今年は結構嫌な予感するな。

 

 

☆第3問【微積分】絶対値付き定積分を含む方程式の解の個数(C、35分、Lv.2)

微積分から。タイトル通り絶対値付き定積分の問題で、微分も必要とします。小問なしのシンプルな設定ですがこちらも普段の微積よりは明らかに時間かかり、しんどいです。

 

絶対値付き定積分はこちらの原則です。

 

 Principle Piece  絶対値付き定積分は中身=0と積分区間を比較

(詳細は拙著シリーズ 数学II 積分法 p.42,p.49 参照)

 

a≦0のときは常に上にいますのでいいでしょう。a>0のとき、交点√aと積分区間0~2を比べて分けます。

 

一橋受験者でればこの場合分けはしっかりやりたいところ。

 

聞かれているのは方程式の解の個数ですから、a^2-2aも移項して定数kだけを残し、グラフで視覚化します。

ULTIMATE Principle Piece  方程式の解の個数は定数分離で視覚化

(詳細は拙著シリーズ 数学Ⅰ 2次関数 p.82 参照)

 

ここが最大の関門。0<a<4のときは式に√aが入るため、文系の範囲ではグラフが書けません。なので、これをtで置き換えて4次式に帰着させます。tの値による増減を調べ、それをaの値による増減に直せば、正確なグラフが書けなくても解の個数は出せます。

 

残りの2つはただの放物線なので、全部のグラフをつなげて書いて視覚化すればOKです。パターン+一ひねりって感じの問題ですが、量的にはかなり多いですね。

 

※KATSUYAの解答時間は24:20です。真ん中にルート思いっきり入ってるからグラフを正確に書くのはムリやから、解の個数で聞いてくるんか?結構ムリヤリ文系でも出来るようにしてきたな。今んとこ全部キツめやな。。

 

 

☆第4問【ベクトル】条件を満たす円の中心(BC、30分、Lv.2)

空間上のとある平面領域を考え、その領域内にある円のうち、原点に最も中心が近いものの中心の座標を求める問題。空間座標ですが、使う知識はほぼほぼ平面ベクトルで学習したものです。小問に刻まれていないのでこれもまたキツメ。

 

まずPの存在範囲Dを特定します。s、tは独立に動きますから、いったんsを放っておいて(固定して)、中カッコ内だけ見ます。こちらの原則ですね。

ULTIMATE Principle Piece  2文字がともに動く → 1文字固定で

(詳細は拙著シリーズ 数学Ⅰ 2次関数 p.100 参照)

 

すると、AB上の点だとすぐにわかり、tの範囲から1:4に内分する点Lと3:2に内分する点Mを結ぶ線分上になると分かります。

 

これをs倍するので、Dは2つの半直線OL、Mで挟まれる領域と分かります。これに入る円で最も原点に近いのは、もちろん2直線に接するときです。

 

従って、その中心Cに対して、OC→がOL→とOM→の角の二等分線になります。ここで、

こちらの原則が思いついたかどうかです。

Principle Piece  角の二等分線ベクトルは単位ベクトルの和の方向

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.75 参照)

 

これがすっと思いつけば比較的簡単にOCがk(5,7,1)の方向と分かります。あとはOCの長さを出すために、直角三角形に着目してなす角のcosθからsinθにすれば分かるという流れです。

 

KATSUYAの解答時間は17:41です。1つ1つは原則をしっていればそこまでしんどくはないけど、一切小問が無いのでキツイかも。今年の一橋ヤバくないか???明らかに取れそうな問題、今のところ1つもない。。。

 

 

第5問【確率+数列】確率と漸化式(点の移動)(C、35分、Lv.2)

最後は今年も確率から。昨年も東大文系4番とかぶるなど難しい問題でしたが、今年は確率と漸化式で、今年は今年でまあまあしんどいです。今年の一橋は最後までツライです。

 

確率と漸化式の原則はこちらの3セットです。国公立だけで、今年何回これ書いたか^^;

 Principle Piece 確率と漸化式の原則3点セット[1] n回目からn+1回目の遷移を見る[2] 求める必要のない部分も文字で置く[3] 確率の和=1、対称性を活かして文字を減らす

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 数列 p.78 参照)

 

本問は図がそのまま遷移図になるのでラクだと思います。あとは[2]に従って、A、B以外に到達する確率も設定しておきます。

 

今回は分かりやすいですが、基本的に隣にしか移動しないので、nの偶奇で分ける必要があります。奇数ならAかCかD、偶数ならBかEなので、絞って遷移図を書き直すといいでしょう。

 

あとは[3]を利用してA、Bに関する漸化式を立てれば、すぐに1文字anやbnだけに出来ますので、答えは簡単に求まります。偶奇で分けることにさえ気づけば(1)は出るハズ。

 

(2)は条件付き確率なので、基本はこの原則。

 Principle Piece 条件付き確率は 「とき」の前後/「とき」の手前

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 数列 p.27 参照)

 

なので分母は(1)の確率で、やはり偶奇で分けます。分子は直接数えれば出せます。意外とこれに気づくのがしんどいかも。

 

例えば偶数なら、まずA→Bへいき、その後2回1セットとして(B→C→B、B→A→B、B→D→B)をk-1セット繰り返せばOKです。

 

※KATSUYAの解答時間26:17。(2)で意外と直線数えられることに気づかず、また漸化式立てようとして一旦挫折。挙動を考えたら直接行けそうと判断。いや、今年ヤバすぎでしょう。なんでこんな難しい問題ばっかりにしたん?受験生の出来具合なんて大学側が一番わかってるハズやから、意図的に難しくしてる可能性高いとして、なんでや?

 

 

4.対策 

 

頻出分野は整数、微積、確率ですまんべんなく融合してきますので、穴がないように対策しましょう。ここ数年の反動のせいもあり大幅難化しましたが、例年の難易度は今年と2024年の真ん中ぐらいと思っておきましょう。

 

一橋の数学は理系で出題されても難しいタイプの問題なので、理系並みの対策をとる必要があります。青チャートを早い段階で終わらせ、入試基礎入試標準レベルまでは行い、できれば仕上げ段階まで行いましょう。

 

整数問題や確率・漸化式などは、旧7帝大の問題などで練習してても、ちょうどぐらいです。

 

なお、拙著『Principle Piece』シリーズであれば「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、この後にもう入試標準演習の問題集に接続可能です^^

 

 

量をこなす演習:じっくり演習=7:3もしくは、6:4ぐらいでもOK。

 

 

以上です^^   

 

 

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter2~確率~ (第5問) 

数学A Chapter3~整数~ (第1問) 

数学II Chapter3~図形と方程式~ (第2問)

数学II Chapter4~三角関数~ (第2問)

数学II Chapter6~微分法~ (第3問)

数学II Chapter7~積分法~ (第3問) 

数学B・C Chapter1~数列~ (第5問) 

数学B・C Chapter3B~空間ベクトル~ (第4問) 

 

計算0.9 (計算練習帳です^^)

 

すでに原則習得系の参考書をお持ちなら、こちらがおススメ! 

数学I・A ~原則のみ~ 

数学II ~原則のみ~ 

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※2023年6月末時点で販売中のもののみ記載しています。最新販売情報はこちらからどうぞ^^

 

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