(『その3』から つづく。)
今回の『Ibanez RR550』のリペアに踏み込むことになった そもそものきっかけ、『ポット』の固着。
リペアメニューの洗い出しの一環として、ポットについて私なりに浅~~~く掘り下げて(?)みます。
エレキギターでいうところの『ポット』とは、「ボリューム/トーン」コントロール用の可変抵抗器です。
『ポテンショメータ』の略称で『ポット』です。
『その1』で書きましたが、この『RR550』に関しては約 15年ほど放置している間に、ボリューム×2基/トーン×1基 のポットが “ にっちも サッチモ どうにも ルイ・アームストロング級 “ に完全に固着してしまっております。
これに気付いて慌てて他の手持ちのギターも一通り確認してみたところ、状況は千差万別。
ポット自体がメーカーも時代も千差万別なわけなので、元々の摺動トルクの設定も千差万別。
更にこれに経年変化の要素も加わって、より千差万別に。
例えば、モノによって
・新品の時点で 軽い/やや軽い/重い。
・使い込むうちに 軽くなる/やや軽くなる/重いまま。
・経時で重くなったモノをしばらく回していると 軽くなる/やや軽くなる/重いまま。
・『RR550』同様に 全く/またはほぼ 回らない。(無理に回すとナットが緩んでポットごと回ってしまう。)
といった感じ。
このポットの摺動トルクって(実用的な観点から)けっこう好みが分かれるところだと思うのですが、そのギターに実装されているモノが 好みか/否か は神のみぞ知る・・・ってお話かと思います。
(大体、そのトルクがメーカーが意図したものなのか/たまたまなのかってのもありますし。)
或いは好みの重さ(軽さ)のモノに交換したいと思っても、リプレイスメント用パーツを実際に 選んで/試してってのは なかなかハードル高い気がいたします。
そういうことが可能なショップとかとお付き合いがあれば別ですが、私の様に店頭吊るしのパーツや通販頼みだと、実際に回した感触は購入してからでないと確認出来ないので。
恐らくポットのメーカーごとにおおよその傾向はあるかと思うので、いくつか試して好みのメーカーを見付けておくというのも一興かも。(← あくまで「摺動トルク」に関して。「音」については “ 違いの分からない男 “ なので・・・。)
まあ、何れにしても 使い込んだ場合や/経時による変化は なかなか読み切れないとは思いますけど。
因みに。
現状の『RR550』、固着したポットがどの位置で止まっているかというと、アンプに繋いでも音が出ないのでボリュームの方は 2基ともクローズ状態と思われます。
あと、普段から使い終わったらコントロールは基本的に閉めることにしているので恐らくトーンも同様・・・のはず。
ギターのポットに関しての見識は かなり怪しいところではございますが、なんとな~く聞き覚えのあるところでは
~ 概ね、ハムバッカーには「500kΩ」/シングルコイルには「250kΩ」。
とか、
~ ギターによく使われるのは「Aカーブ」もしくは「Bカーブ」。
くらいでしょうか。
抵抗値の「カーブ」については A/B どっちがどうだったかすぐに忘れてしまいがちですが、ちょっとネットで検索すると簡単に出て来るので心配は無用。
で。
今回の『RR550』については、ポット 3基とも “ 交換 ” で臨もうと思っております。
もしかしたらポット自体を修理することも不可能では無いかもしれませんが、素人が こじあけたモノが健全な状態を保てるとは考え難いので。
ということで、リプレイス用の部品を入手するところから。
バックパネルを開けて実装されているポットの種類を調べます。
う~む・・・。
一般的な電子部品みたいに単純に『500kΩ』とか書いてあるのかと思ったら違った。
トーンのポットには『504042』という型番らしき刻印が。
ボリュームの方は、2基ともハンダで隠れていてよく見えません。
ボディから外してみると、如何にも “ 終わってる “ 感が漂っております。
この様子からしてこれらのポット自体を “ 修理 “ という線は無いな〜、さすがに。
一般的に市販されているポットの場合、フツーに『500kΩ』とか『250kΩ』とか書かれているものと思われます。
『504042』で Google 検索してみるとテキストベースでは ほぼ引っ掛からないのに対して、画像だとけっこう出て来ます。
概ね Greco のビンテージの レスポール・タイプ のバックパネルを開けた状態の写真などです。
それなのに、画像のリンク先のサイトの本文を読んでみても 『504042』というテキストは見付からない・・・ってことは、これって画像解析で写真の中の文字を読み取ってるってことなのか?
結局のところ 素性はよく分かっておりませんが、『504042』というのは Ibanez や Greco で使われていた ギターに特化した仕様の可変抵抗器・・・という理解にしておきます。
もう少しネット検索していて見付けた情報が ↓ こちら。
◆ Ibanez Vintage Guitars:Guitar_Care.pdf
オフシャルではなさそうですが、Ibanez のビンテージギターのデータベース的サイト。
取り扱い説明書の配線図の中に『RR550』に相当するモノを発見。
PDF の 15ページ目(実ページ 24)にある『DT300・400』が
~ フロントPU:SUPER 58 / リアPU:V2 / 2ボリューム・1トーン
の仕様で、恐らく『RR550』と同じ構成と見てよろしいかと。
この配線図によると、ボリューム用は 2基とも『504072(500k G)』。
そして、やはりトーン用のポットは『504042(500k D)』となっております。
んん??
この『D』とか『G』って、カーブのことなのか?
一応『Cカーブ』(← Aと逆)ってのまでは分かりますけど、まだその先がある??
継続して調べてみたところ、『D』や『G』は かなり特殊な仕様で一般にはあまり流通していない模様。
このサイト ↓ に『D』に関する記述がありました。
◆ ナルガッキ:「【Aカーブ?Bカーブ?】 ボリューム、トーンに適したポットのカーブの特徴と違い」
『D』は、『A』のカーブを更にキツくしたモノ・・・とのこと。
『G』カーブはエフェクターなどに使われているらしく、ネットのどこかで「S字を描いている」という記述を見掛けたはずですが見失いました。エフェクターの場合は小型のポットなので、ギターで使うサイズの『G』というのはけっこうレアなのかも知れません。
ネットの通販サイトをいくつか見てみると、『A/B』はフツーにラインナップされてます。
あと、『C』までは辛うじて・・・という感じでしたが、その先は見付かりませんでした。
・・・ってことは。
早速 行き詰まりました。
リプレイス用の部品が手に入らない。
Greco の中古を部品取りのために購入・・・という荒業も無くはないですが、そこまでやる話でもないし。
よって、現在フツーに手に入る『500kΩ』の『A』または『B』のポットで代用したいと思います。
前述のサイト含めて、一般的には
~ ボリューム:Aカーブ / トーン:Bカーブ
との説が有力な様な、そうでもない様な・・・。(全く逆のお話もあったり、最終的には「好みの問題」とされていたり。)
『RR550』のボリュームの方、元々の『G』がもし “ S字 “ でリニアな『B』特性の両側を跨いだ形であるならば、結果的に間を取って(?)『B』選択が無難ってことなのかな~とも思います。
一方トーンの方、『D』が『A』のカーブをキツくした特性ならば『A』で代用と考えるのが自然でしょう、きっと。
う〜む。
何とも煮え切らない。
本来ならばその機種の設計思想みたいなところに帰着するお話なのでオリジナルをトレースするのが “ 正解 “ だとは思いますが、その先はこれまた実用的な観点から「自分なりの “ 正解 “ を。」ってことなんでしょう、きっと。
考えてみると、私の場合コントロールは「常にフルオープン」という ちょいとおバカな使い方しか出来ていないので、途中のカーブがどうなっていようが大勢に影響は無いのでした。
例えば「アンプ直結でギター側のコントロールやピッキングで歪みや音色をコントロールしてしまう。」・・・みたいなインテリジェントな技は持ち合わせてはおらず、テキトーにエフェクターで歪ませて「ガー!」って弾くだけだったりしますので。
オリジナルの再現に拘わるならカーブの “ 動的な “ 変化の特性も重要な仕様の一部とも言えますが、特定のポジションで止めて弾いている “ 静的な “ 状態のみで捉えれば 大して気にする必要はないってことですね。
あ~あ・・・。
ということで、ポットは ボリューム/トーン ともに『500kΩ A』で統一することしました。
ついでにキャパシタ(コンデンサ)とアウトプット・ジャックも新品を購入して載せ替え。
3Pスイッチは回路が生きていれば そのまま流用ということで。
以上に準じたパーツを入手の後、次回は ようやく実地作業に突入・・・の予定です。
(『その5』に つづく。)
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