(『その2』から つづく。)
引き続き、『Ibanez RR550』のリペアメニューの洗い出し。
この時点で既にお腹いっぱいになりつつありますが、滅気ずにまいります。
● 電装系/コントロール類
・固着したポット 3点、すべて交換。
そもそもこれが事の発端。
いろいろと細かい話になりそうなので、中のサーキット含めて次回に持ち越しにします。(予定)
・ピックアップ。
フロントはカバーがそこそこ傷んでますがスルー。リアはオープンタイプで、糸巻きの表のプラスチック部分がピックのアタックでけっこう削られてます。とはいえどうしようもないので こちらもスルー。
歴史はよく存じませんが フロント『Super 58』/リア『V2』という Ibanez の伝統的な(?) 2ハム仕様です。
・エスカッションのビスとピックアップ吊り用のビスがサビているので、これらは交換したい。
・アウトプット・ジャックのナットのサビがみっともないので新品に交換(したい)。
コントロールノブは Ibanez のオリジナル。ギブソン の ソーサーノブ の様な裏側から金色塗装ではなく、黄色の透明樹脂製。黒いゴムのリングが付いているのが何ともかっちょよい。
このノブ、一世代前のタイプは当時 GRECO とは共用で GRECO のカタログにはスペアパーツとしてちゃんと掲載されておりました。(旧タイプ ↓ は裏から金塗装で、より ソーサーノブ に近い。)
恐らくパーツ売りされているであろうと踏んで、当時(35年くらい前)手持ちの『ストラト・タイプ』に着けたくて楽器屋さんに取り寄せをお願いしました。
が・・・。
入荷の気配は全く無く。何度もメーカー(問屋?)に問い合わせてもらったものの、結局散々待たされた挙げ句にうやむやになって終わってしまいました。
2軒目のお店でも同様の扱い。(そもそもパーツ単品で一般売りする気があったのかどうか・・・。)
そんな事情もあって、次世代進化型ではありますが この『RR550』のノブにも ものすご~く執着があって、未だに眺めてはニヤニヤしております。
● その他
・ボディ本体は軽くコンパウンド掛けで艶出し。
せっかく各部バラす工程を経ることになるので、この機会に。
・リヤパネル
可能であればビスは全取っ換え。一部、本体のビス穴がバカになってるところを発見。
・ボディ V字の股部分に開けられたストラップピン用の穴。
恐らく前オーナーが加工したものと思われます。確かに、こっちの方が一般的なシェイプのギターに近いポジションに構えられると思いますので使い勝手はよさそう。まあ、特に気にならないのでスルーします。
これまたこの時代の Ibanez オリジナルの V字型のストラップピン。
正直、苦手です。
ストラップとの相性の問題もあるかと思いますが、「不用意に外れない」のはよいとして「意図しても外せない」ことになっております。(少なくとも私にとっては。)
画像にある蛍光イエローのストラップは 15年くらい前この機体購入後すぐに取り付けたもの。基本的にストラップはギターの個体ごとに専用にして付けっ放し状態にしているのであまり外す機会も無いので。
今改めて見ると「このチョイスは如何なものか。」と思ったので撮影前に外そうと思ったのに外れなかった・・・。
これもリペアの一環として(?)ビスごと取り外すまでそのままにしてあります。
因みに。
今回の連載記事は、従来記事と違ってギターの構造や仕様など分からない事はとりあえずネットで調べながら書き進めます。
ネット上で “ 一般常識 “ くらいのレベルで拡散されている類いの情報については特にソースは明示しませんが、殊 ソースが限定/特定される様なレア度の高そうなものについては(勝手に)リンクなど張らせていただく方針で。
と、そんな中。
ギターのビス類について、私なりの浅~い認識を再確認・・・と思いまして。
ビスに限らずエレキギターの金属製の装備品の多くは、主に「銀色/金色/黒色」の色(表面処理)の設定がされております。
例えば「銀色」の場合、ホームセンターなどでよく見掛ける防錆目的の鈍くて白っぽい銀色系のビス類とは違い、装飾重視のしっとりとした艶のあるメッキが施されております。
メッキの種類に踏み込むとまたややこしいことになりますが、例えば その「一見 銀色」でも「クロム系」とか「ニッケル系」とかありますし、「金色」は装飾の金メッキの他「真鍮メッキ」だったり、「黒色」はメッキというより化学処理的なものもあったりとか。
ビスのメッキについて。
ネット検索するといろいろなビスメーカーさんのサイトで紹介されてますが、昨今の周辺事情含めて分かり易かったので勝手にリンクさせていただきます。
◆ 富田螺子 株式会社 「表面処理【メッキ】早見表」
(所謂「まとめサイト」みたいなとろって、こうしたマジメなサイトのコピペ丸出しだったりしますが・・・。「まとめ」だからよいのか? まあ、私も勝手にリンクなので他人のことはとやかく言えない。)
ギターに使われているメッキも部品ごとに多岐に渡るので実際のところどれがどうなんてのは正直私には分かりませんが、『RoHS』による規制でここ 15年くらいで大きく様変わりしてるはずです。
例えば、クロム系は『六価クロム』が NG となったため、代替の『三価クロム』が主流になっている・・・とか。
この『RR550』個体については、恐らくは私の管理の問題もあってビス類は ほぼサビております。
前にも書きましたが、この個体には特に骨董的価値は無いと思うので、ビスは “ 消耗品 “ として交換してしまおうと思うのです。
これまで通り私は「見た目重視」なので、 “ それっぽい “ モノに交換出来れば充分。
とはいえ、ギター絡みのビス類って各メーカー専用のモノは言わずもがなですが、汎用のモノでも上記の表面処理(色)含めて形状/サイズも ものすご〜〜〜く種類が多くて、ネットを駆使しても正しいモノを探すのはけっこう大変。
(私レベルだと そもそも何が “ 正しい “ のかよく分からない場合も多々あるので。)
が、ビンテージ・ギターの世界では『オリジナル』であることが重要視されるものと思われます。
(まあ、これはギターに限った話ではないとは思いますけど。)
例えば、『1,000万円の ‘58年製 レスポール』とかいう場合。
実用品として「音がどうこう」というのもあるかとは思いますが、骨董的価値を求めるのでれば、それこそビス一本まで「オリジナルか否か」なんてのは最低限のレベルとして問われるものと思われます。
「サビたから交換しちゃえ!」なんてのはご法度で、そもそも「サビさせたらダメじゃん!!」ってことかと。
売るのも/買うのも 相当ハイレベルな鑑定眼を求められるわけなので、ちょっと想像しただけでも「うげ〜っ!」ってなりますけど。
そんなことを思いながらネット検索してたら、こんなサイトが・・・。
◆ Vintage Maniacs 「ギター用ネジのお話」
実際にあるんですね〜、こんな世界が。
このサイトの他の記事も含めて恐らくプロフェッショナルのお仕事とは思うのですが、それにしても “ 楽しんでる “ 感じがスゴい。
今回の『RR550』程度のお話で「泥沼」とか言っちゃってるのが恥ずかしい・・・。
とはいえ、もう鼻血出そうなので見なかったことにしておこうと思います。
ギターの金具類をフルラインナップで取り揃えたショップとかあったら、それだけでホームセンター 一軒分くらいになるんじゃなかろうか。
ちょっと見てみたい気もします。
次回は、先送りした そもそもの “ 本題 “ の『ポット』について。(予定)
(『その4』に つづく。)
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