グズグズしていたら、本当に年の瀬になっちゃいました。日本だと御用納め?アメリカにいるとカレンダー通りですから、月曜日の12月31日も平常運転。その昔、日本人はエコノミックアニマルなんて蔑称で呼ばれたりしましたけど、実際、アメリカには祭日が少ないですし、アメリカ人は信じられないくらい良く働きます。これ、ホント。
同じ北アメリカでも、メキシコはちょっと事情が違います。
NAFTA(North America Free Trade Agreement 要は、アメリカ、カナダとメキシコの間の関税なしでの貿易協定)のお陰で、アメリカの国境沿いのメキシコ国内にアメリカ企業の製造工場がいっぱいあったんですけど(その後、多くの製造業の拠点は中国に移動した)この工場は、お休みが長かった!地方からこの国境地域に働きに来ているメキシコ人労働者対策で、クリスマスから1月半ばくらいまで長期のお休みがありましたけど、(多分、今もそうでしょうけど)面白かったのは、労働者はこのお休みの後、戻って来ない人が多くて、ずっとキープするのが大変だった、というお話を以前聞いたことがあります。そう言えば、中国も春節の際には、同じような現象があるとか。
経済のお話はこのくらいにして、日本の大学に見事(?)受かったフランスからの帰国子女タロウの大学生活を少しお話します。
ご参考までに、前回までのお話のリンクです。
ふらんす物語 その1
https://ameblo.jp/flexlearning/entry-12427541275.html
ふらんす物語 その2
https://ameblo.jp/flexlearning/entry-12427991188.html
ふらんす物語 その3
https://ameblo.jp/flexlearning/entry-12428457058.html
(筆者の息子の寮の部屋)
まず、タロウが晴れて『本当』の大学生になった時に、びっくりしたのは、目白のマンションをそのままにして、大学の寮に入ちゃったことです。目白のマンションと言うのは、例の麻布に住んでいたアーティスト夫婦が目白の一軒家に引っ越したのと前後して、と言うか、上智に入学した時点で、タロウのお父さんである画伯がタロウに買い与えたマンションです。普通の日本人の大学生なら、狭い二人部屋の寮生活なんかより、悠々自適に生活出来るマンション生活を絶対選ぶと思うんですけどね。
アメリカでもそうですけど、大学生は寮に入るものというコンセプトがあります。特にリベラルアーツカレッジなんかは、4年間寮生活を保証してくれます。州立大学は、予算が最近厳しくて、1、2年には寮を保証してくれますけど、後は、勝手にしろ、と言うのが増えて来ました。筆者の知り合いのUCLAの学生は、4年生になってから友達なんと8人で古い3ベッドルームのコンドミニアムを借りました。UCLAは、不動産が高いロサンジェルスの中でもダントツに高いウェストウッド地区(ビバリーヒルズの隣)にあります。だから、それでも一人頭月額$500(5−6万円)。しかもこの知り合いの男子学生は、居間のソファーで寝泊まりです。お陰で、毎日良く寝られなくて、お酒を飲んでばかりいると言っていました。困ったもんです。
それで、タロウですけど、大学の寮に入りました。寮に入ったお陰で、同学年の子よりも先輩とも仲良くしてましたねえ。と言っても、タロウの入学した年、筆者は院を卒業したので、大学で会うことは無かったんですけど、アメリカに来るまでに、1年ほど働いた会社で、タロウをバイトで使ってやった時に、先輩を連れて来ました。
筆者が働いたこの会社は、日本に進出して来たばかりのアメリカの会社だったんですけど、立ち上げのせいか、20人くらいアメリカ人がいて、日本人はたった4人。だから、公用語は英語のみ。ここで、ボスから、タイピストのテンプを雇え、と言われて、タロウに声をかけました。これがちょっと、好評でした。特に、オフィスのいわゆるキャリアウーマンのお姉さん方に大受け。みんな若い男の子は、大好きですからねえ。一度も言いませんでしたけど、タロウは、背も高いし、結構イケメンです。ちょっと、ここで英語のワンポイントレッスンです。"Eye Candy" つまり、目の保養。
普通、タイピストなんて言ったら、女の子が来るとみんな思ってましたしね。(当時は、アメリカのキャリアウーマンですら、そう思っていた!)そこに現れたのが、男の子二人。それで、”Good Job!”とお姉様方から何度言われたか。ははは。ちゃんとジャケット着用(あの頃は、カジュアルじゃなくてみんなスーツでしたからねえ。)で来るように、司令を出していたら、タロウは、無地のTシャツ、Gパンにアルマーニのジャケットをカジュアルに羽織って登場。目ざといお姉さん方は、一目で見極めて、いやあ、やっぱりフランスの子は違うなあ、と感動。しかもフランス語入りの、フランス訛りの英語で話すし。アメリカ人は、こう言うのに弱い。筆者のボスは、アメリカでも有名なワートンスクール(ペンシルベニア大学のビジネススクール。アメリカではトップ3に入る超名門)出身の白人のおじさんでしたけど、彼も筆者のチョイスを気に入ってくれました。オフィスが明るくなったと。ちょっと、意味深ですけど。
タロウは、オフィスのお姉さん方にちゃっかり、とんでもない相談までして可愛がられてました。
当時、タロウは家庭教師をしていた白百合女子大の子の紹介で、白百合の子と付き合い始めていました。タロウは、寮の先輩からバイト料が入ったら女の子を温泉旅行に誘うのが定番だと聞きかじって、それを実行に移そうと計画していました。それについては、自分はきちんと正しいやり方で誘いたいと。誘う手順として、まずは彼女のご両親に面会して、キッチリ自分が面倒を見るから心配には及ばないことを了承して貰おうと思っているけれど、その他に注意することは無いだろうか、と言う質問でした。お姉さん方は、苦笑しながら、ティーンエイジャーの男の子が二人きりで旅行に行くから心配するな、と言うのは無理があると諭していましたっけ。アメリカ人でも、このタロウのフランス風を面白がってました。
タロウのデートは日本人の男の子があまり考えないようなヘンテコなものだったのも確かです。だって、白百合のお嬢さんを誘って、公園でブランケットを広げてピクニックと言うのが、定番ですから。持って行くのもお弁当じゃなくて、チーズの塊、バゲット、ワイン。ピックニックの次がいきなり温泉お泊まりデート。まあ、女の子も新鮮だったかもしれませんけどね。
筆者がアメリカに行っても、タロウは律儀にこの会社でタイピストを卒業までしてくれました。と言うか、お姉様ファンが手放さなかったと言うのが、本当ですけどね。で、卒業後、タロウは、何と、フランスには戻らず、日本の誰でも知っている一流企業に入りました。差し障りがあるので、言いませんけどね。
もう、随分、タロウには会っていません。あのアーティストのお姉さんにも会っていません。お元気ですか?みんな、もう少し、日本人化しているんですかねえ。変な人たちのままでいて欲しいような気もするんですけど。
と言うわけで、ひと昔前の変な帰国子女のお話でした。
Happy Holidays!
知ってるとお得な『アメリカ大学進学情報』と『面白い生活』について、NY地区から発信しています!
是非、下のボタンをクリックして応援して下さいね!