ふらんす物語 その2 | 双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子の子供を2人ともアイビーリーグに入学させた母親であるフレックスラーニングのシニアカウンセラーがニューヨーク近郊から発信しています。フレックスラーニングはアメリカ大学進学相談、オンライン家庭教師のプロです。

まさか、大学生の娘に車の中で車酔いで吐かれるとは、思いませんでしたねえ。しかもホラームービみたいに、凄い角度で豪快に。参った、参った。このブログの読者の方々も、小さい子供にいきなり所構わず吐かれて、その後始末をする羽目になったことがある経験をお持ちの方はいらっしゃるんじゃないかと思いますけど、19の娘にこんなことをされるとは!

 

(高速道路I95沿いのサービスエリア。この近くで悲劇が!)

 

昨日の今日で、車は、まだ臭います。やれやれ。いくつになっても親は子供の後始末をしないといけない。

 

子供の居なかった大学院時代にも、良く分からない帰国子女の世話をしたと言うお話の続きです。フランス帰りのカッコいいアーティストカップルに、押し付けられたタロウ少年を大学に入れるプロジェクトを任されて、奮闘したお話。

 

前衛芸術家だった先輩のお姉さんと内縁の夫である写真家が、フランス在住の頃、お世話になった大御所の画家の息子がタロウです。この画伯と筆者とは、何ら接点も無かったんですけど、お姉さんの子分としては、親分の義理を果たすお手伝いはしないと仁義に外れる。そういう流れだとご理解頂ければ良いかと。

 

ある日、いつものようにディナーをご馳走になったんですが、その時、自分の恩人の息子が目出度く、高校を卒業するにあったって、日本の大学進学をすることになったから、お世話をしろ、と言う物凄く漠然とした命令を受けました。このお姉さん、麻布界隈のゴミ漁りは、プロですけど、日本の大学のことなんて全く分からない。それで、筆者は、帰国子女が沢山いるような大学に在籍して、英語が話せると言う単純な理由から、栄誉ある仕事に任命されました。

 

初めてタロウに会ったのは、銀座のホテルのロビーです。画伯がちょうど、日本で個展をするとかで、来日した時にタロウも連れて来られました。ほとんど、話しませんでしたねえ。どれほど日本語が分かっていたのかも全く不明でした。後で聞いたら、ほとんど分からなかった、と。ははは。

 

画伯もずっと、フランス暮らしで、日本のことには疎い上に、普通の大学のことなんて全く知らない。日本の企業から派遣されて来た親とは、全く違う。情報なんてないんですから。で、力説されたのは、タロウは野放しで育って、友達は、近所の漁師の息子だの、パン屋の息子だので、フランスでも大学に行くような連中は周りにいなかった。それでも、成績は良くて、バカロレアが取れた。(ここは、画伯ちょっと嬉しそうだった)

 

この時、初めて知ったんですけど、フランスではこのバカロレアが取れると、どの大学にでも入れるらしい。で、タロウもそのままパリ大学かなにかに入学しようと思っていたのに、画伯、急に、思い立ってしまった。自分の息子が全く日本のことを知らないのは、マズイんじゃないかと。そんなこと思うんだったら、もう少し、違うように育てていれば良かったんですけどね。さすが、前述のアーティストカップルの大先輩だけあって、やっぱり変です。

 

タロウは、ぼんやり座っているだけでしたけど、まあ、日本のことを知るのも悪くないと思っているようで、良く分からないままに筆者にバカロレアの証書を見せてくれました。うーん、そんな証書を見せられてもねえ。『お姉さん!一体、なんて面倒なことを押し付けたんだ!』やっぱり、タダより高いものはない、と言うのは本当です。

 

その上、画伯は、当時の総理大臣(差し障りがあるので、名前は言いませんけどね。どうもこの総理大臣は、画伯の弟子だった画家に絵を習っていた!)と知り合いで、連絡をしたら文部大臣を紹介してくれた、とのたまうではないですか!まあ、総理もこんな変なことを押し付けられたくなかったんだと思うんですけどね。文部大臣も困っただろうなあ。まあ、画伯、凄く大した人なんでしょうけど、メチャクチャ変。

 

ちょっと、タロウが可哀想になったのと、フランス帰りの例のお姉さんの怒りに触れたくなくて、筆者は、『じゃあ、大学の学部長との面談をセットアップします。そこで、何でも聞いて下さい』と急場を凌いじゃいました。たかが一人の大学院生のコネで裏口入学なんて出来る訳ないんですけどね。学部長は、学部の時からのアドバイザーだったこともあって、カラオケに一緒に行ったり、バーに連れて行ってもらったり、結構、可愛がってもらっていたので、まあ、面談くらい受けてくれるだろう思った次第です。手続き上のことなんて、大学の事務局に問い合わせれば、簡単なんですけど、こっちも大物を出さないと収まらない気がしたので。問題をたらい回しと言うか、先送りしたと言うか。ははは。

 

無理やり押し付けた面談でしたけど、学部長、真顔で当たり前のことを言い切りました。総理大臣や文部大臣の推薦があっても、それだけで入学を許可出来ない。(まあ、当たり前ですけど。就職だったら、いいんだろうけど。)それから、いくらバカロレアを持っていてもそれだけで入学は許可出来ない。フランスとは違うと。まずは、ダメ出しから。海外の高校から入学する学生と同じ手続きを踏んでもらいたい事。それには、フランス語じゃあなくて、英語がちゃんと出来る必要があることを説明した。

 

良く考えると、分かることばっかり。でも、小娘の筆者が言うよりは、効果がある。この学部長、最後に、『大学に入るための準備は、この人に聞くのが一番です。でも、何かあったら、いつでもご連絡下さい。』と言って、筆者を指差した。結局、問題は戻って来ました。やれやれ。

 

すみませんねえ。この話、なかなか、進展しなくて。でも、日本の大学には、フランスのバカロレアを持っているだけでは、入学出来ない、という事実だけでも、参考になりましたか?そんなこと、今さら言われなくても知ってる?まあ、そうですよね。でも、タロウと父親の画伯もアーティストのお姉さんも知らなかった!

 

と言うことで、To be continued...

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