ドラフトまで野球を書くことはないと思っていたが、岩瀬が佐々木に並ぶ最多セーブのタイ記録達成とあっては触れずにいられない。それは球界の最も地味な至宝。立浪や川上が不甲斐なければ、彼らが中日の功労者であっても叩く。しかし岩瀬は別格だ。打たれて文句を言う中日ファンはモグリである。つまり今の中日は、8回でゲームは終わっている。リードで最終回を迎えれば、勝とうが負けようが関係ない。もし逆転されてもその一瞬は悔しいが、スパッと諦めがつく。岩瀬の年俸は彼の言い値で構わないのではないだろうか。
これで川上以外が先発の試合は8連勝。福留が3番に入ってから打線が繋がっているように思える。先発マスクは前田章宏で、谷繁の後釜も一本化した。来期こそは奪還、そして黄金時代を、岩瀬の衰えが訪れる前に。
映画館 44本(うちリバイバル6)
テレビ 41本(レンタル26 ケーブル15)
せめて劇場で50に達したかった。今後は文芸坐にも足しげく運んで、名画をむさぼりたい。CATVの録画を忘れなければ テレビ鑑賞も増える。
邦画 40本
洋画 45本
最近はドメスティック傾向にあると思っていたが、予想と逆の数値が出た。キム・ギドクの存在が大きい。このブログを始めてから彼を知って4作品を堪能した。続いてアッバス・キアロスタミ、マイケル・ウィンターボトム、ミシェル ・ゴンドリー。邦画だと黒沢清、阪本順治、犬童一心、山下敦弘の監督作を複数鑑賞した。総じて浅く、広くもなくといったところだろうか。やはり洋邦で年間50ずつは見たい。
以前、バスでハーフの女の子姉妹と遭遇した。小学生の高学年と低学年くらいだと思われる。二人とも栗毛に青い目がかわいらしかった。やたら鼻の高い父親が横に立っている。彼の外国語の問いかけに対して、子どもたちは日本語で答えていた。「ウィ、パパ?」「分かってる」「ウィ、パパ?」「分かってるってば」妹のほうが促されて面倒くさそうに応じている。
その父娘は、同じマンションに住んでいることが分かった。何度か顔を合わせて、想像力を膨らませて、姉妹の性格が少しずつ明らかになる。快活な妹と理知的な姉。「ミツバチのささやき」になぞり、僕は妹をアナ、姉をトレントと名づけた。
姉妹とも人見知りが激しく、もしくは僕がいかがわしいのか、挨拶に応えてくれない。今日はトレントと決定的な場面に出くわす。マンションの玄関の郵便受けで二人向き合った。できる限りの柔和な笑顔で「こんにちは」と声をかける。トレントは口尻を少しだけ上げて僕に一瞥をくれ、すぐに視線を外してあごをしゃくった。それで大満足。
結核を患う剣客・平手造酒、彼を剣客として雇った笹川繁蔵、その宿敵である飯岡助五郎が登場する浪曲「天保水滸伝」に、盲目の按摩で居合いの達人・市を着色した時代劇シリーズの第1作。
座頭の市が飯岡の門をくぐり下駄を脱いだ。その地で幅を利かせている飯岡は、新興勢力である笹川を討つ機会を伺っており、その助っ人として市を囲う。笹川もまた江戸の浪人である平手の造酒を招いて飯岡を潰そうとしている。そうとは知らずに市と平手はため池で釣りを興じている時に出会い、互いに引かれて親交を深めていった。そんな中、飯岡からの果たし状が笹川の元へ届いた。
飯岡と笹川の出入りは喧騒の殺陣を見せる。カメラは屋内外を行き来して臨場感があった。平手と市が面をつき合わすと一転して静寂、画面に緊張が走る。
彼らが発する、流れるようなべらんめえ口調が爽快だった。その口跡はスペイン語やイタリア語に負けないリズムがある。一宿一飯、渡世の仁義。任侠に生きる男の美学を堪能し、日本人は浪花節を脈々と受け継いでいるのだと実感した。
2日ぶりに
携帯が戻ってすかさずメールチェックをする。友人から「明後日に飲もう」という誘いのメールが入っており、その日は予定があったので「その日は都合が悪いから来週はどうか。木曜日以外ならおそらく問題ない」と返信した。程なく来たレスポンスには「来週なら木曜日はどうか」と記してあった。彼の目は節穴である。
かくいう僕も彼に「監督が恋人であるAV女優と共に実家へ帰省する様子を撮ったドキュメント映画のタイトルって何だっけ、そもそもその監督って誰だっけ」「アヒトイナザワの跡を継いだZazen Boyzのドラマーって誰だっけ、そもそも彼が元いたバンドって何だっけ」というような類の質問を繰り返しぶつけているのであった。同じ問いを3度は尋ねている。既にその答えは忘れているのだが。僕の耳はざるである。
- ZAZEN BOYS
- ZAZEN BOYSII
「戦艦ポチョムキン」から「アンタッチャブル」、乳母車に乗った女性は昇華してヒロインとなる。「メゾン・ド・ヒミコ」の監督・犬童一心、脚本・渡辺あやの初コンビ作で、その乳母車は衝撃が大きく、方々で高評判を聞いていたにもかかわらず、なかなか見れないでいた。そこへグッドタイミングでCATVが放映してくれた。そのタイミングはもちろん計算されつくされたものなのだが。
いかにも今時の大学生然とした恒夫が、足の不自由なジョゼと出会う。彼は同級生の香苗と良い雰囲気を作りながらもジョゼに惹かれる。努めてごく一般的な男子として描かれる恒夫の視点を揺らさない。そして努めて魅力的に描かれる障害者ジョゼのセリフは、いちいちエモーショナルだがそれは淡々と語られる。
ジョゼは虎を、動物園で恒夫と見た。「一番怖いものを好きな人と見たかった。感謝しいや」と言われて、こんなに感謝したくなることはない。彼女にとって恒夫との日々は新鮮だったが、この時点で覚悟はできていたのだろう。
ジョゼは魚のオブジェがあるラブホテルで達観した心情を吐露する。悲しい結末は起こるべくして起こること。いくつもの伏線があってそれは分かりきっていたことだが、やはり悲しい。願わくばラブホテルのシーンまで、その後を描くのは蛇足ではなかったとも感じた。ジョゼが車椅子で歩道を行き、その後姿を流されるとこらえきれなくなったということは、僕は蛇足といいながらも望んでいたのかも知らん。
原作の田辺聖子は、僕にとって「枕草子」の訳者として受験を思い出す。音楽のくるりは普段聞かない。好き嫌いではなく忌まわしき過去が甦る。辛い恋愛話には耳を傾けたくないこともあり、おそらく2度と見ることはない作品だろう。青臭さはいつまでも抜けない。


