ハウリングの音が聴こえる/松村雄策 2回目の3月12日 | アナログオーディオと音楽★NetThePopブログ

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 ロッキング・オンの4月号の表紙はテイラー・スウィフトだった。今や時の人、彼女は経済効果さえ分析される大スターである。いや大スターという言い方は昭和か。ライターとか言われる人達はポップアイコンとか表現する。苦笑。あの、酒飲み過ぎてゲロ吐くビデオクリップの曲は面白かったが、積極的に彼女の歌を聞いたことはなかったりする。

 先月号はアダム・ランバートとブライアン・メイだった。つまりクイーンである。昔、ロッキング・オンの渋松対談で、松村雄策さんがクイーンが苦手である理由は「10円拾ったのに1万円拾ったように喜ぶオペラ的なのが…」とか冗談めかしに言っていたような気がする。ちゃんと検証していないので10円と1万円が違うかも知れない。私はクイーンの最盛期にロック少年だったけれど、彼らのレコードは一枚も持っていない。松村さんの見解と同じだった。但し「炎のロックン・ロール」「レディオ・ガ・ガ」「輝ける七つの海」など感心してしまう曲は幾多ある。

 松村さんの11冊目の単行本が出版された。文芸誌「小説すばる」の連載が一冊に収録された。連載時にあの分厚い雑誌を毎月買うことなく、毎回一ケ月遅れで図書館で借りて読んでいた。図書館では最新刊の雑誌は貸出不可、館内での閲覧のみだったので、そうしていた訳である。

 この本が出ることを知ったのは世の中雛祭りの3月3日である。3月8日発売のロッキング・オン4月号でも出版告知が掲載されているが、何故その前に出版元の河出書房新社のホームページにアクセスしたのか自分でもわからないが、とにかく出版されることを知ってe-honで予約して今手元にある。命日である3月12日を前に、もしかしたらという思いがはたらいたのだと思う。3月12日はエリック・カルメンの訃報も届いてしまって複雑な気持ちではあるが。

 編集担当は一昨年出版された「僕の樹には誰もいない」と同じく米田郷之さんである。この本が出来る過程を知りたくて、まずは後書きから読んでしまった。前著作でも後書きから読んだ。

 「小説すばる」の連載時に読み逃していたものもあると思う。またも読みながら文面に出て来る「音」を聞きたくなるからして読了するのに時間がかかる。ビートルズ、ドアーズ、ザ・フー、キンクスetc。そして落語でいうところ「枕」で文頭全く違う話をふっておいて、ロックの話に突入する。そして松村流のオチやフェードアウトがある。思わず拍手したくなる。シングル盤で大好きな曲を聞き終わったような気になる。

 

ハウリングの音が聴こえる/松村雄策著

河出書房新社 税込み2,200円 2023年3月発売

 

追記解説

前述したe-honとは本の取次(問屋)であるトーハンのサイトである。普通のネット書店と同じく宅配で受け取ることも出来るが、最寄りの書店を受取り場所に登録しておくと送料が無料になる。地方の書店にとっては、手数料も入るし、お客にとっては書店に行って注文する必要もなく迅速に届くので大変便利である。地方の書店の生き残り援助の一手法として取次が考えた注文の仕組みである。