2026年3月29日を期してNHK-AM-R2が放送終了となった。R2つまり昔風にいうと第2放送。語学ほか教育番組を放送するメディアだった。自分個人で言えば、中、高生の頃に英語の語学番組を聞いたり、それなりの年齢になってからもやっぱり英語やフランス語の語学番組を聞いたりした訳であるが、全部途中で挫折している。まあ、日常的に聞く局ではなかった。しかしながらNHKの電波再編、3局あったメディアを2局に減らすという無理難題のしわ寄せはFMに番組編成に影響している。昨年の後半からNHK-FMは深夜帯に語学番組に配置し始めた。平日の23時以降の音楽番組を終了。午前1時以降のラジオ深夜便FMステレオ放送を終了し、R2の番組を一部配置するようになった。個人的にはラジオ深夜便の午前2時の「ロマンチック・コンサート」というコーナーは時々面白く聞いていた。FMでのオンエアがなくなり、AM-R1のモノラルのみ。魅力半減になることが多い。量的に考えてもR-2で1日放送していた番組をFMで深夜帯から早朝まで圧縮するというのは結構乱暴である。自分の基準で言えばFM放送は音楽を聴くメディアだったが、NHKに限って言えば今やそうではなくなった。放送100年とか浮かれていたのが去年。年が明けて掌返しで暴挙。呆れると言うか残念である。
「ラジオからロックンロールが聞こえる」という書籍が昨年末に出版された。監修が音楽評論家の北中正和氏である。北中さんは、かつてNHKFMで「ワールドミュージックタイム」と言う番組を担当していた。英米のポップス以外の音楽が聞けるユニークな番組だった。私も何度かリクエストに応えてもらった。時に私のリクエストをもとに番組がプログラミングされ、驚いたりしたこともあった。
この本は実は2008年に出版されるはずだったが、諸般の事情で17年の時を経て日の目を見た。ここに記されているのは戦後のポピューラー音楽史であり、ラジオDJの変遷でもある。多くのインタビューがおさめられている。登場する誰もがラジオを通じて洋楽を耳にして、その素晴らしさを伝えるためにDJになったり、番組制作者になったり、レコードプロデューサーになったり、ミュージシャンになったりした事が熱く語られている。
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今や音楽の聞き方は私の世代とは全く変わっている。ラジオ番組で偶然出会った音楽を気に入ってレコードやCDを買うなどという事は、今の若い世代には通じないかも知れない。家にラジオがないというのが普通になりつつある。今、民間のラジオ放送を聞くと「ラジコ」のCMを耳にすることが多い。NHKであれば「らじるらじる」のPRを耳にする。民間のAM局も数年前からワイドFMと同時放送をするようになり、将来的にはAM放送を廃止する様相を見せている。ここで個人的には、うーんと唸りたくなる。
スマホやPCがあるのが常識とされるようであるが、まずそのハードウェアが知らないうちに大袈裟に言えば設備投資にあたり、ソフトウェアがwifi、ギガと維持費用にあたり、要するにお金がかかるのである。ラジオ本体と乾電池があれば済む状況とは事を異にする。蛇足ながら説明するとラジオでワイドFMを聞く場合、電波の特性上、聞こえなく地域が出て来る。だから「ラジコ」や「らじるらじる」を使えとなる訳で堂々巡りになってしまう。
スマホやPCでTikTockやYouTubeで何かの曲を聞き、次はSpotifyやAmazonMusicなどのサブスクでそのアーティストを探して聞く…これが今風の音楽の聞き方かも知れない。乱暴な言い方すると聞き捨てのものが増えて来る。何だか音楽のこだわりとか大事さが希薄になっているような気がするのは私だけだろうか。まあ戯言なのかも知れないがそんな事を考えてしまった。
「ラジオからロックン・ロールが聞こえる」の紹介をするつもりで訳のわからない話になってしまい反省。
「ラジオからロックン・ロールが聞こえる」北中正和監修
CDジャーナル 3300円(税込み)



