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広島の原爆資料館に見る「被爆の歴史をいかに伝えるか」 議論続く長崎原爆資料館の展示更新は令和8年度以降に 

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FNNプライムオンライン

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被爆の実相を伝える資料の更新について議論が続く長崎原爆資料館。「伝えたいナガサキ」は、5年前にリニューアルしたもう1つの被爆地・広島の原爆資料館の狙いや思いなどから、長崎の原爆資料館に必要なものとは何かを考える。

【画像で見る】被爆した3歳の男の子が乗っていた三輪車

入館待ちの行列ができる時も

3歳の男の子が乗っていた三輪車や母親が13歳の息子のために作ったお弁当など、79年前の広島原爆の被害を物語る遺品の数々。 広島市の原爆資料館には寄贈された遺品や絵など約800点が展示されている。

 愛知からの来館者:被爆の怖さが伝わってきた

 岡山からの来館者:教科書でしか見たことがなかった。戦争中の方々の服や資料が実際に置いてあったのでそれを見たら悲しくなった

 東京からの来館者(20代):ウクライナの情勢とかで今一度社会人になる前にちゃんと見ておきたいねと

 広島市にある広島平和記念資料館は、2023年5月の「G7広島サミット」以降、時間帯によっては入館待ちの行列ができるほど多くの人が訪れている。

 リニューアルが完了した2019年度には過去最多となる年間176万人近くの人が訪れた。 新型コロナウイルスの影響で一時は大幅に落ち込んだが、2月下旬にはこれまで過去最多だった2019年度の175万8,746人を上回り、過去最多を更新した。

 大規模な展示見直しの検討は建物の老朽化や被爆者の高齢化を背景に約20年前に始まった。

 広島平和記念資料館 落葉裕信 学芸係長:被爆者が高齢化、戦争経験者が少なくなる中でいかに次の世代に被爆の実相を被爆の体験を継承していくかが大きな課題となっていた

 主任学芸員の落葉裕信さんは、当初から見直しに関わってきた。

 広島平和記念資料館 落葉裕信 学芸係長:基本計画の会議の中できのこ雲の下にいた人達の視点、原爆の被害を受けた人達の視点を展示していこう、と

「実物資料」を軸にした展示

広島の原爆資料館は東館と本館、2つの建物で構成される。 東館には被爆前の広島の姿のほか、原爆投下に至るまでの歴史的背景や核兵器をめぐる世界の情勢など情報を集約している。

 来館者は 東館で被爆の前の広島のまち、そして原爆投下直後の廃墟と化したまちを見た後、本館に進む。被爆の実相を示す展示は遺品などの「実物資料」を軸に4つのコーナーで構成されている。 「魂の叫び」のコーナーには、一人ひとりの被害が浮かび上がるよう遺影と共に被爆者本人や家族などから聞き取った当時の状況や、エピソードを元にした言葉が添えられている。

 広島平和記念資料館 落葉裕信 学芸係長:(遺品は)その方が生きた証し。実物資料から当時の惨状を感じ取ってもらえると思うし、より日常、人々の暮らしも想像しながらそれが原爆で一瞬にして奪われてしまった、ということも伝えることができるかなと

 

生きた証を伝えるための視覚的な工夫

8月6日当日の惨状を伝えるコーナーには、大型のガラスケースに学徒動員中に犠牲になった約20人の子供が身に着けていた衣服やかばんなどを集めた。

 リニューアルに向けて同じような広さの場所に実際に遺品を配置してどう見えるか、検証を重ねてきた。 見せる工夫はほかにもある。

 広島平和記念資料館 落葉裕信 学芸係長:亡くなった人の姿が感じられるように生きてた時に着ていたようにしわをつけたり、少し動きをつけたりふくらみを持たせたり工夫もしながら人の姿を伝えている 被爆者や遺族の苦しみに向き合ってもらいたいと、説明などは最小限に留めている。

 東京からの来館者:一人ひとりの人生の重みがすごく結構心苦しかった。視覚資料が多かったので文字よりもちゃんと伝わってくるものが多かった 岡山からの来館者:自分よりも小さい子とかの写真が飾られていてこんな小さい子が苦しい思いをしたんだなというのが分かり、心がつらくなった 原爆投下から79年、被爆の実相を今に伝える実物資料の重要性はますます高まっている。

 広島平和記念資料館 落葉裕信 学芸係長:寄贈者の方、関係者の方はもう二度と同じ苦しみを味わわせたくない、もう二度と起こらないように、との思いがある。遠くかけ離れたことじゃなくて現にまだ身近な問題として考えてもらえるように、展示を通して今につなげていけるような役割を果たしていきたい 

入館者の混雑を緩和するため、広島市は2月16日からウェブでチケットの販売を始めた。

 3月1日から資料館の開館時間を延長した上で、朝夕の各1時間は事前に予約した人に限定するなど入館者の分散を図っている。

長崎原爆資料館の展示更新は令和8年度以降の完成を

長崎市の長崎原爆資料館でも被爆資料をそのまま展示するのではなく、若い世代、次の世代に伝わる展示の方法や活用の模索が続いている。展示内容の更新については、検討する時間を確保するため長崎市はスケジュールを見直した。

 長崎市 鈴木史朗 市長:(2月21日の長崎市議会)原爆資料館の展示更新については、様々な意見を踏まえながら慎重かつ丁寧に検討を進めるため更新スケジュールを見直し、令和8年度以降の完成を目指す

 広島市は、大規模なリニューアルに向けて2003年度から30回以上有識者や被爆者など関係者が話し合いを重ねてきた。様々な意見が出ると、「人の視点で被爆の実相を伝える」というコンセプトに立ち返って検討を進めてきたという。 検討の過程で原爆投下に至る歴史の展示のあり方などについて、長崎市には様々な意見が寄せられている。こうした幅広い市民の声を聞くため長崎市は4月以降、市民向けのワークショップを開く予定だ。

 (テレビ長崎)

テレビ長崎

 

以上、転載。

 

広島の平和記念資料館(通称:原爆資料館)を訪れた方はお分かりとおもいますが、東館からあがっていくと、CGがあります。

あれを見るたびに思うこと。

まるで自分がエノラ・ゲイに乗った操縦士、爆撃手になったかのような映像になっている。

原爆が投下され、広島の街が破壊される。

せめて、椅子に座って原爆投下を見上げるCGにならないのか?

あるいは、ねそべって、上空(天井)をみて、落ちてくる原爆をみるようなCGにならないのか?

周囲の壁面に、惨状を写す仕掛けはできないのか?