SKIPJACK 漂流日記 -68ページ目

国際VHF開局記(2)

本題に入る前に…


無線が初めての人のために、

まず基本的な知識をまとめておいた方が良いかもしれない。


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国際VHFに限らず、無線を使おうと思ったら、

原則として、人の免許と設備の免許の、2種類の免許が必要とされる。


面倒なようだけれど、

車の場合も、人は運転免許、乗る車には車検が必要なのと、同じ理屈になっている。


人の免許は、無線従事者免許と呼ばれる。

使おうとする無線設備の種類によって23種類も有るが、

国際VHFの場合には、海上特殊無線技士の資格を取らなければならない。

1級から3級まであるのだが、

出力が5Wまでなら三級、25Wまでなら二級以上の資格が求めらる。


資格を取った者には、無線従事者免許証が交付される。

人に対する免許なので、運転免許と同様に、顔写真が添付される。


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・ ・ ・


一方、無線設備に対する免許は、無線局免許と呼ばれる。

使用する無線機やアンテナをそろえて、総務省綜合通信局に開局申請を行うと、

審査が行われて、無線局免許状が交付される。


無線局免許状はには、無線局を特定するための呼出し符号(コールサイン)が記載される。

車検証に、車を特定する車両番号が記載されるのと同じだ。


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何かと面倒そうに見えるが、

国際VHFの規制緩和が行われる前は、今よりもずーっと大変だった。


どう大変だったかは、おいおい記して行こうと思うのだが、

私が国際VHFを開局した当時、

関東綜合通信局の管内で正式に開局していた船舶局がわずか66局しか居なかった事実が

それを物語っていると思う。


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しかし実際には、

「電波を発射しない限り、無線設備を設置しても免許は不要」と考えて、

一切の免許を持たずに無線機を設置していた人は結構居たらしい。


しかしKAZI誌の2008年8月号では、

この言い訳はお上には通じず、それで摘発を受けたヨットが出ている旨警告されていた。


ちょうどそのころ相模湾でも、

アンテナを建てたボートを目印に、大々的に摘発が行なわれていたとも聞くから、

摘発されてから慌てないように、怪しい理屈は鵜呑にしない方がよい。


・ ・ ・


ちなみに電波法には、

無線従事者免許が無いのに無線設備を操作した場合は、30万円以下の罰金と定められている。


また無線局免許を受けずに無線局を開設した場合は、最高1年の懲役または最高100万円の罰金

と定められており、

無車検の車を運転した場合の罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)より

ずっと厳しい罰則が規定されている。


無線従事者免許を持っていながら無線局免許を取らずに無線設備を操作した場合は、

「法律を知っていながら敢えて無視した」と見なされて、

より重い罰則を適用されるという話もあるようだ。


・ ・ ・


なお、ロングクルージングに出かけるために、

自分の船の航行区域を「限定沿海」から「沿岸」に広げたい人は、


国際VHFを設置すると、

追加しなければならない備品のうち、「火せん」の設置が免除されることも知っておいた方がよい。


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(次回は、海上特殊無線技士の免許の取得の思い出を記載する予定です。)


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国際VHF開局記(1)

幼い頃に見た古い映画の記憶が、今でも鮮明に残っている。

沈没間際の客船で、

通信士が必死にSOSを打電していたシーンに、何故かシビれてしまった。


自分もフネに乗って、SOSを打ちたい!」が、当時の夢になった。


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とにかくモールス通信にあこがれて、

小学6年の時に、アマチュア無線の世界に飛び込んだ。


取ったのは、「電信級アマチュア無線技士」という資格。(今は無いけど)


電話級アマチュア無線技士」(現4級相当)の資格が無ければ

マイクで会話をすることは出来なかったのだが、

そんなことは全く眼中に無く、

ひたすらモールス通信だけで、世界中のアマチュア無線家と交信を楽しんだ。


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そんな自分だから、

フネの免許を取ったら、フネの無線の資格も取る事は、

当然の「お約束」だった。


2月に船舶免許を取ると、

フネを買う予定など全く無かったのに、

6月の海上特殊無線技士の国家試験を受けた。


・ ・ ・


・・・あれから5年。


その間に国際VHFの規制緩和が行われ、

船の無線を取り巻く状況は、大きく変わりつつある。



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利用者の増加が期待されているが、

自分のような無線オタクは少数派だろうから、

興味は有っても、

どうすれば良いのかよく分からないという人は多いのかもしれない。


そんな方々のお役に立つかどうか分からないが、

自分が国際VHFを開局するまでの経緯などを振り返ってみようかと思う。


制度も少し変わったようだし、

私がとった手順が近道なわけでも無いのだけれど・・・


制度の理解のために、

多少なりとも役立てば良いなぁ、と思っている。


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海の駅紀行 その24 「しんもじ海の駅」

2008年5月22日


計算上は、一か月有れば九州到達も有り得たとは言え、

「まさか…」という思いの方が強かった。


その「まさか」現実になる瞬間が、あと一歩のところまで来ていた。


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お世話になったお礼を記したメモを事務所のドアに挟み、

まだ人の気配の無い「しゅうなん海の駅(マリーナ・シーホース )」を後にした。


モヤのせいで若干視程が悪いものの、

海はベタ凪で、航行には支障は無かった。


国際VHFからは、早くも「関門マーチス」のアナウンスが流れはじめていた。


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西へ進むほど本船の数が増えた。

関門海峡に通じる航路を慎重に横切ると、

やがて前方に、陸地がぼんやりと見えはじめた。


九州だ! 遂に九州までたどりついた!


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「しんもじ海の駅(新門司マリーナ )」の指示で給油桟橋に接岸し、

念願の九州上陸を果たした。


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自身二度目となる九州訪問は、海路からとなった。


給油を終え、指定されたバースに移って片付けをしていると、

地元のメンバーの方に、


あれ?前にも来なかったっけ?またやってるの?


と声を掛けられた。


どうやら以前、同じボストンホエラーの17モントークで九州一周をされた坂田さん と、

勘違いされたらしい。


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その方に、関門海峡を通過するコツを尋ねると、


そりゃあ、エンジンのパワーだねぇ


という答えが返ってきた。


・ ・ ・


嫁さんと福岡で再合流する予定だったので、

関門海峡だけは、どうしても越えなければならなかった。


新門司マリーナからは少々距離はあったが、

関門海峡まで自転車で下見に行く事にした。


思いのほかアップダウンの有る道に苦労しながら門司市内に入り、

海岸沿いに走って関門大橋の下まで行った。


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強い潮流が瀬戸内側へ向かって流れ、

本船が次々と目の前を通過していった。


明日はここを通り抜けなければならない。

最後に事故を起こさないようにしなければと、身が引き締まった。


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新門司マリーナに戻ったときは、すっかり日が暮れていた。


マリーナを取り囲む堤防は遊歩道になっており、

その基部のスペースにテントを張った。


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脇のベンチでコンビニ弁当をつつきながら、ふと


「これがこの旅の、最後の野営になるかも知れないなぁ」と、しみじみ思った。


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幻に消えたアオリイカ

立春も過ぎたというのに、なかなか春めいてこない。

冷たい雨の日が続き、金曜の夜になってもまだぱらついていた。


湘南地方の強風注意報もかかったままだったが、

日曜よりはましなコンディションになるはずと読んで、

土曜の未明に自宅を出た。


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まずは相模川の河口で恒例の海況チェック。


強風注意報は、明け方に解除されたが、

北寄りの風は結構残っていて、空気は冷たかった。


すでに日は昇っているはずの時間だったが、

どんよりした雲に覆われ、その姿は望めなかった。


しかし、このあと移動性高気圧が進んできて、

この雲は取れ、北風も収まってゆくはずだった。


海も穏やかなので、予定どおり出掛けることにした。


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07:00出航。


海へ出ると、北寄りの風が一段と強く、身に沁みた。

遠く三浦半島の先端付近は、浮島状になって空中に消えていた。


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今日も「ひとつテンヤ」を試すつもりだった。


しかし、この風が有るうちは辛いと判断し、

とりあえず浅場で晩のオカズ確保をしながら様子を見ることにした。


いつもの根で、ショットガンでアジを狙うものの、思わぬ苦戦。


まとまった魚群がなかなか見当たらず、

あちこち探ってようやく顔が見られる程度だった。


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9時を回って風が弱まり始めたところで、ショットガンに見切りをつけた。


エボシ岩沖に移動。

パラシュートアンカーを放り込み、一つテンヤ開始。

雲も晴れて、絶好の日和になってきた。


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先週と違って、軽いテンヤでも楽に底が取れた。

水深70mでも6号で十分だったし、

テンヤが吹きあげられて、道糸が斜めになることも無かった。


潮の動きが悪いのでは…?という不安が心をよぎった。

なかなか生命反応が無いまま水深68mダチまで流されたところで、


ズンッ!


と大きなアタリが来た。

やけに重いし、経験の無い手ごたえだった。

大事に巻き上げたつもりだったが、

水面まで一息の所で外れてしまった。


あわてて水面をのぞきこんだところ、

そこにはアオリイカが居た。それもかなりの良型な奴が。


アオリイカはエギングで釣るのが流行っているが、

思えばエギはエビを模した疑似餌だし、

ぱっと見もエビ餌を付けたテンヤと似ているから、

アオリイカが掛かって来ても何も不思議は無かったのだ。


あぁ、分かっていたら、もっと慎重に対応したのに・・・。


アオリイカは、しばらくその場に漂っていたが、

やがて静かに海底へ消えて行った・・・


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その後もさしたる収穫のないまま漂っていると、

どこからかヘリコプターが飛んできて、エボシ岩の上空を旋回し始めた。


最初は何かの取材かと思ったが、どうも様子が違った。


かなり低い位置に来てホバリングを始めたかと思うと、

なにやら作業が始まったのだ。


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何だろうと思って接近してみると、スルスルと人をヘリに釣り上げ、

作業が終わると、「ご協力有りがとうございました」とアナウンスするや、

江の島方向へ飛び去って行ってしまった。


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何だったんだろう? 訓練? それとも事故が有ったのかしら?


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正午を回ると、今度は南寄りの風が吹き始めた。


南風は思ったより急速に高まる気配を感じたので、

予定を切り上げて、早めに戻ることにした。


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13:00 リバーポートマリーナに無事帰港。

のんびり後片付けを済ませ、家路についた。


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結局今回も目ぼしい釣果は無かったが、

テンヤで色々な物が釣れることを改めて実感した。


あぁ、あのアオリイカが獲れて居ればなぁ・・・。



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海の駅紀行 その23 「しゅうなん海の駅」

2008年5月21日


広島に着く頃、

真鶴岩港のロッキーマリン さんから連絡を貰っていた。


山口県周南市に、

SKIPJACKと同じボストン・ホエラーのオーナーの I さんがいらっしゃるとの情報だった。


I さんが船を置くマリーナは、

山口県で最初の海の駅に指定されたばかりだった。


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広島から周南までは、80マイル弱。

自分の旅のペースから見れば、かなり長い距離だった。


日の出とともに広島を発ったのだが、海況はすっかり回復しており、

難なく8時すぎには周南沖に到達した。


仕事で時々クレームをいただく某工場の前をそそくさと通過すると、

その奥から「しゅうなん海の駅(マリーナ・シーホース )」の桟橋が見えてきた。


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・ ・ ・


広島の仕事仲間にも「オススメです」と言われていたとおり、

静かで、風向明媚なところだった。


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マリーナ内には、結婚式にも使われるという瀟洒なレストランもあり、

スタッフの皆さんも暖かく迎えてくれた。


Iさんのご招待ということで、係留費も無用だと言う。


間もなく I さんが、仕事着のまま駆けつけてこられ、

早速フネを前に、話しに花が咲いた。


Iさんの、関西圏では希少なボストンホエラーのフネ(22-Duntless)も拝見させていただいた。


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Iさんは、マリーナのレストランでランチを振舞ってくださったあと、

夕方また戻ってくると言い残して仕事へ戻って行かれた。


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夕方まで時間が有ったので、Iさんに勧められた大津島へ行ってみることにした。

大津島は、徳山湾の入り口に在る細長い島で、

あの「人間魚雷・回天」にゆかりの有る島だった。


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あいにく回天記念館は休みだったが、

展示されていた実物大模型や、訓練施設の遺構などを見る事が出来た。


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今ではすっかり平和な雰囲気に包まれているこの海域で、

60年前には、特攻の訓練が行なわれていたのだ。


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黒光りする不気味な「回天」の姿と、

命を落とした若者たちの名が一つ一つ刻まれた墓碑を見て、


呑気に海の旅に興じる自分が、申し訳ないような気持ちに襲われた。


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夕方、I さんのお知り合いのTさんが来られた。

Tさんは、自分で隅々まで手を入れたユニークなフネに載られており、

以前、「ボート倶楽部」誌でも紹介された方だった。


ボストンホエラーのモントークに興味をお持ちで、

実物が見たいということで、

御自慢のフネで現れたのだった。


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やがてIさんも再合流され、

薄暗くなるまで再び話しに花が咲いたのだった。


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どなたも初めてお会いした人たちばかりだったのだが、

そんなことは、まるで感じられなかった。


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こういう人との触れ合いは、ふだんの生活ではなかなか経験出来ないなぁ・・・


マリーナの隅に張ったテントの中で余韻に浸りながら、

いよいよ翌日に迫った九州上陸に思いをはせた。


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