皆さま、こんばんは。
少し重い話をします。
そういえば……、以前Over filled syndromeについての記事が途中で終わってました。
(また追〃続き書くつもり・・・)
今日はちょっと違う視点から、Over filled syndromeについて。
以前の記事にも書きましたが、文字通りOver filled syndromeってヒアルロン酸の『入れすぎ症候群』で、不思議と最終的にみんな同じ顔になってくんですよね。ほんとにこのイラストに近づいていきます。
当院にも程度の差はありますが、Over filled syndrome…あるいはなりつつある方が少なからずご来院されます。問診票を見ると、これまでに複数のクリニックで何度も注入治療を受けておられ、当院でも注入治療を希望されるケースが多いです。
Over filled syndromeになっている患者様の特徴として、普通の感覚で見たら、明らかにオーバーボリュームなお顔なのですが、不思議とご本人はそれに気がついていらっしゃらない、あるいは気にしておられない。
それよりも、ほうれい線に少し影が出てきた、ここが少し凹んでる気がする、このシワを消してほしい……などなど、部分的な細かい悩みを訴えられ、それを直すためにそこに注入して欲しい、とおっしゃいます。
私的にいつも悩ましいのは、そういう患者様に対して、はっきりとあなたはOver filled syndrome(あるいはそこに近づいている)ですよ、と申し上げて良いのかどうか……なんですよね。
これまで、Over filled syndromeという単語をモロに出したことはほとんどなくて、「ボリュームはもう十分なので、これ以上は入れない方がよいですよ」と、少しオブラートに包んでアドバイスさせていただくのですが・・・、うちでお断りしても、また他のクリニックへ行って注入しちゃう、みたいな方がほんとに多いのです。
Over filled syndromeというのは、実に様々な問題をはらんでいます。
ひとつは、クリニックサイドの問題。
たとえば、注入希望の患者様が初診でご来院されたとします。当日に施術予定でご予約を取る場合、クリニックにもよると思いますが、だいたい1時間ぐらいはその方のために時間を押さえます。
で、実際に患者様がご来院され、お顔を拝見してみると、「これ以上の注入は入れすぎになるんじゃないかな?」となったとき、そこで何もせずに患者様を帰してしまうと、クリニックサイドとしてはその患者様のために空けていた1時間が単にゼロになるだけでなく、スタッフの人件費、光熱費やらの経費、そして、医師を雇っている場合は、何よりデカいのは医師の人件費・・・
それらがすべてマイナスになってしまうのです。さらには本来、その空いた時間に診療出来たはずの患者様のロス分まで考慮すると、結構なマイナスになってきます。
うちのような小さな個人経営のクリニックだと、医師は自分だけだしそこまで大きなマイナスにはなりませんが、医師を雇っている場合、その空いた1時間も給料は払わないといけないのですよね。
逆に雇われてる医師からすると、美容クリニックによっては売り上げのノルマというものがあるみたいなので、その1時間をみすみす無駄にはしたくない、売り上げを上げないといかん患者がやってくれと言ってるんだから、入れてやればいいじゃん!……てなっちゃう・・・。
これ以上の注入治療はNGと認識していながら、断らずに施術してしまうクリニックは結構多いです。
もう一つのパターンのしては、施術する医師がOver filled syndrome(リスクも含め)を認識できていないケース。
単なる知識不足(美的センスの欠落?)もそうですが、実は美容系の女医さんでOver filled syndromeになっている、なりつつある方が少なくないのです。
学会に行くと、「おぉ」「わぉ」と思わず声が出てしまいそうな感じのお顔になっていらっしゃる女医さんがね・・・、結構いらっしゃるのですょ。(大きな声で言えんけど)
一般の方ではなく、知識を持っている医師ですら知らず知らずになってしまう、そしてご自身では多分気がついていらっしゃらない、というところに、このOver filled syndromeの底知れぬ恐ろしさと闇を感じます。
そして、
Over filled syndromeは、あくまでも私の私見ですが、元々きれいな人(そしてナルシスト要素の強い方)ほど陥りやすい傾向にあると思います。
若いころから、「美人ね。」「きれいね~。」「可愛いね~。」と周囲から言われ続けてきた方は、老けてゆく自分が許せない、年齢による劣化が許容できない、受け入れられない傾向が強い。
そして、毎日鏡を何度も見る方。それも至近距離で、細かいところまで観察しちゃう方。
こんなところに、シワはなかった、なんとかしなくちゃ。→クリニックに駆け込む→ヒアルロン酸で消しましょう→シワが消えた~、良かった。→また、こんなところにシワが、たるみが…→クリニックに駆け込む→ヒアルロン酸で消しましょう…
このループをエンドレスに繰り返しているうちに、いつの間にかOver filled syndromeになっている、でもご本人はシワが消えたことに安心して、いつの間にかOver filled syndromeになっていることに気が付かない。
ひとつ例を挙げると、海外の女優さんのメグ・ライアンが典型的なOver filled syndrome、ですね。
冒頭のイラストに似てきてしまっています。
美容医療に従事する医師でさえなってしまうこのOver filled syndromeは、ある種、心の病ではないかと私は最近思うわけです。どれだけ説明しても、ご理解いただけないこともあり・・・。
以前も、とある初診の患者様に、これ以上は注入しない方が良いから施術はできない、とご説明させていただくと、「こちらが希望して、治療費も払うと言ってるのに、こんなに悩んでるのに、どうして入れてくれないんですか」と非常にお怒りになられ、それでも注入はできないと申し上げたら怒って帰られて、後日その患者様から「〇〇クリニックに行ったら、ちゃんと希望通りに注入してくれた。岩城先生はヒアルロン酸注入で有名だと聞いたからせっかく遠くまで行ったのに、本当に無駄足だった。先生にはがっかりです。」みたいなメールが届きました(かなり遠方から来てくださった方でした)。なんだかすごく悲しくなったけど、改めて私の考えや治療信念についてお返事を書き、参考のためにどこにどれぐらいそのクリニックで注入されたのか尋ねると、なんとヒアルロン酸6本入れたと・・・。それで結果は、「気にしていたシワが消え、大満足でした。」というお返事が返ってきました。あぁ~・・・説得したのにだめやったか、と。そして、沸々と注入した医師に怒りというか、なんつーか、情けないというか・・・。
この一件にしても一番の問題点は、「過剰な注入施術に対し、患者様自身は満足されている」というところなんですよね。
患者様の心の不安と、それに付け込む美容クリニックの売り上げ至上主義がマッチしてしまい、今後もどんどんOver filled syndromeの患者様が増えてくることを大変懸念しています。
だからといって、ヒアルロン酸注入が怖い治療というわけではありませんし、むしろ素晴らしい治療で、前記事にも書いたようにある程度萎縮が生じてしまっている場合は、ヒアルロン酸10本以上を必要とするケースだって多々あります。だからこそ見極めとさじ加減がとても大事。
Over filled syndromeにならないためには、ご自身で気を付けることとして、顔の細部にこだわるのではなく全体を客観的に見てください。
加齢によって、顔の皮膚は弾力性がなくなり、劣化したゴムの様に伸びます。(昔、赤白帽のゴムがびよ~んと延びてきた経験があるかと思いますが、皮膚もあんな感じで、コラーゲンやエラスチンなどの線維組織の劣化によって延びます)
皮膚が延びた分だけシワやたるみとなって現れますが、またそこをヒアルロン酸で埋めると、どんどん顔がデカくなってゆき、冒頭のイラストの顔貌に近づいていきます。
また別記事で書きますが、この皮膚の延びを予防し引き締めてゆくのがタイトニング治療で、当院ではサーマクール、ハイフ(ウルトラセルQプラス)です。(そして、もうすぐ新しいマシーンが届く予定です。)
足りないところは注入治療で補い、延びるものはタイトニング治療機器で引き締める。これをバランスよくやってくことがとても重要なんです。
最後に、クリニック選びは慎重に・・・
医師が診察せずに無資格のカウンセラーが施術内容を決め、施術の時になってやっと医師が登場する、というクリニックもあるようですがこんなのは論外。カモにされるだけなので、絶対やめた方が良いです。
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