続・功夫電影専科 -42ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「ザ・シューター」
原題:Hawk's Vengeance
製作:1997年

●イギリス海軍大尉のゲイリー・ダニエルズは、刑事の兄が殺害された事を知り、すぐさまアメリカへと飛んだ。兄の相棒であったジェイン・ハイトマイヤーによると、彼は中国系とネオナチ系マフィアの抗争に関与していたというのだ。
中国系マフィアのジョージ・チェン(『ハイボルテージ』のジョージとは同名異人)と知り合ったゲイリーは、彼とともにネオナチ系マフィアに探りを入れていく。そして捜査の結果、兄殺しの真犯人が裏社会の大物として知られるキャス・マクダだと判明する。
 キャスは裏で臓器密売を行っており、中国系マフィアのメンバーを誘拐しては臓器を摘出。上得意の客に法外な値段で売りさばいていたのだ。ゲイリーはジョージと一緒に敵地へ突入しようとするが、先手を打たれて逆に捕まってしまう。
臓器のドナーにされたジョージに危機が迫る中、ゲイリーは先に捕まっていた者たちと協力して逆襲へと転じる。時を同じくしてジェインも駆けつけ、ここに最後の闘いが始まった!

 主にPMエンターテイメント(以下、PM)で活躍していたゲイリーですが、今回は思い切って古巣から飛び出し、他のプロダクションで主演作を撮っています。そのため、本作にはおなじみのカーチェイスや大規模スタントが無く、全体的に小ぢんまりとした印象を受けました。
例によって粗筋は単純極まりなく(ゲイリーが兄の仇を討つだけ)、警察が動くのも最後の最後だけ。ジョージの存在やマヌケな殺し屋コンビのやり取りなど、人物設計はそこそこ拘っているようですが、作品としてはPM作品の縮小コピーでしかありません。
 しかし格闘アクションの演出は、大味になりすぎているPM作品よりも丁寧さを感じさせるものとなっていました。ゲイリーだけではなく、ジョージやジェインにもアクションの見せ場を配置しており、殺陣の一部にはカンフー系の動きが取り入れられています。
また、PM作品ではラスボスとの一騎打ちが軽視されがちな傾向にありますが、本作ではキャス(暇さえあれば部下を相手にひたすら修行するというナイスなキャラ。実際に彼本人もフィリピン武術の使い手)との最終決戦がしっかり用意されているのです。
残念なのはアクションのテンポがやや遅いこと。絡み役がただの的になる場合が多く、ラストバトルもフィリピン武術ではなくそのへんに転がってる物を使っての殴り合いが中心となっています(苦笑
良くも悪くも典型的なB級アクションとしか言いようの無い作品ですが、やはり格闘映画は最後に一騎打ちがあってナンボだと再認識できました。個人的には『メガロ』よりこっちがギリギリ好みかなぁ…。さて、次回はゲイリーが再びPMに帰還を果たし、著名なスターたちと一筋縄ではいかない作品にチャレンジします!


「メガロ 人質奪還指令」
原題:RIOT
製作:1996年

●1999年、クリスマスのロサンゼルスでは暴動が発生し、各地で様々な衝突が起きていた。そんな喧騒の中、英国大使の娘であるペギー・ローランドが誘拐され、ギャングのテックス・エリオット・サンダースが身代金を要求してきた。
テックスは「金を持ってくる奴は丸腰のまま1人で来い」と告げたが、指定された受け渡し場所は暴動の中心部にあり、容易に近付くことができない。そこで白羽の矢が立ったのが、英国特殊部隊SASに所属するゲイリー・ダニエルズであった。
 彼はペギーの元恋人で、諸事情により別れた今も彼女のことを想い続けていた。友人であるシュガー・レイ・レナードや英国大使らのバックアップを受け、ゲイリーは暴徒が暴れ回る危険地帯へと乗り込んでいく。
だが、この誘拐事件の裏には過激派のパトリック・キルパトリックの姿があった。ゲイリーと因縁の仲である彼は、大使令嬢を誘拐して英国本土に収監されている同志の解放を目論んでいたのだ。果たしてゲイリーとペギーは、この地獄絵図から脱出できるのだろうか!?

 ゲイリー・ダニエルズ特集第2弾は、ちょっと『ニューヨーク1997』チックな本作の紹介です。ちなみに舞台は近未来となっていますが、製作年度から数えてほんの3年後の話なので、いくら近未来と言っても近すぎるのでは…という気がしないでもありません(笑
この作品は「危険地帯と化した街」というシチュエーションに全てを賭けています。投入されたエキストラの数、街中で横転・破壊・爆破されまくる車両など、暴動によって混乱した街並みを破格のスケールで描写しているのです(製作はもちろんPMエンターテイメント!)。
 しかし、荒れ果てた街というのはSF映画でよく見る光景だし、登場する敵キャラもヒャッハー!な連中ばかり。そのため、折角の大がかりなシチュエーションも目新しく見えず、あまり効果を発揮していませんでした。
物語もゲイリーがペギーを助けて連れ帰るだけなので、これといって特筆すべきポイントは無し。やはり『怒りの逃亡者』と同じように、ゲイリーが見せるアクションそのものが最大の見せ物ということなのでしょう。

 今回もゲイリーのアクションは鋭敏で、傲慢な野球チームを友人のシュガーと一緒にボッコボコ。その後も危険地帯で次々と湧いてくる悪党どもを叩きのめし、いよいよ真の敵であるパトリック一派と対峙します。
走ってくるバイクに蹴りをかまし、容赦なく首をへし折るゲイリー。パトリックの弟も倒れ、ラストバトルに向けて盛り上がってきたぞ!…と思ったのも束の間、急襲したゲイリーによってパトリックは1分も経たずに倒されてしまいます(爆
 その後、仲間の兵士が駆けつけたおかげでパトリックは九死に一生を得ますが、狭い立体駐車場でのカーチェイスで呆気なく爆死。あまりの呆気なさに「あれ?ラストバトルこれで終り!?」と思ってしまいました。
アイスホッケー軍団やバイク乗りとの対決、そして前後のカーチェイスはなかなか面白かったのに、まさかラスボスが一番弱いなんて…。まさに竜頭蛇尾を地で行く本作。ゲイリー主演作としても今ひとつ、といった感じでした。
次回はゲイリーが兄貴を殺した相手に復讐する、クライム・アクションでいってみましょう。


「ラン・ダウン 怒りの逃亡者」
「怒りの逃亡者」
原題:RAGE
製作:1995年

▼今月は格闘映画ファンなら誰もが知っている実力派、ゲイリー・ダニエルズが最も輝いていた時期の作品を集中して紹介したいと思います。ゲイリーはキックボクシングから俳優に転向し、ブレイクするまで長い下積み時代を送っていました。
香港映画での活動を経て、B級アクション映画を量産していたPMエンターテイメント(以下、PM)に流れ着いた彼は、端役として『カジノファイター』『ドラゴンチェイサー』等に出演。やがて卓越した技量を見込まれ、単独主演作を撮るようになります。
本作はその頃の作品で、ゲイリーを売り出すために大がかりなアクションが豊富に盛り込まれています。製作にはゲイリー本人も直々に参加しており、どれだけ気合を入れて撮影に臨んだのかがよく解ります。

■小学校の教師であるゲイリーは、公私ともに恵まれた生活を送っていた。だが、いきなり彼の運転する車に銃を持った男が乗り込んできたことから、その運命は大きく変わっていく。
ゲイリーは男を追っていた警察に拘束され、謎の施設で人体実験を受けさせられてしまう。なんとか施設から脱出したものの、逃走を続ける彼をマスメディアは異常犯罪者として書きたて、FBIがその行方を執拗に追った。
 やがて彼はレポーターのケン・タイガー&ジリアン・マクホワーターと出会い、自分が受けた仕打ちの一端を吐露。そして警察に監視されていた妻子を助け出し、改めて全ての決着をつけるため立ち上がろうとする。
再びケンたちに接触を試みようとするゲイリーだったが、同時にFBIの追及も迫りつつあった。果たして、彼の運命は…?

▲PMとゲイリーが注力しただけあって、本作は激しいスタントとアクションが次から次へと襲い来る、ハイテンションな作品となっていました。
初っ端から施設で暴れ回り、その次にはハイウェイを舞台に巨大トレーラーでカーチェイス!SM夫婦とのバトル(笑)が終わったと思ったら、高層ビルの壁で宙吊りアクション!…といった具合に、ド派手なシーンが展開されていきます。
 最終決戦はショッピングモールを舞台にした乱戦で、格闘戦から始まって店内ディスプレイを使ったスタント(『コマンドー』のパクリ)、そして大量のガラスを砕きながら銃撃戦が繰り広げられます。
最後にタイマン勝負できる相手が居ないのは不満ですが、全体的にスタントも格闘アクションも充実していたと言えるでしょう。ところで、ラストバトルの雰囲気がなんとなく『ポリス・ストーリー』に似ているような…もしかして意識してたのかな?
 しかし、勢い重視で作ってしまったせいか、ストーリーがかなり稚拙な感じになっていました。それが最も顕著なのが終盤の展開で、なんだかんだあってゲイリーの無実が晴れて万事解決となりますが、そこに至るまでの展開が強引過ぎるのです。
そもそも本作の敵は政府やFBI、果ては警察や報道機関にまで口出しできるほどの力を持っています。そんな相手がゲイリーの主観的なインタビュー映像(物的証拠いっさい無し)や、州知事が上院議員に働きかけただけで止められるものなのでしょうか?
 主人公が警察だけではなく、マスメディアからも追い詰められる展開はユニークだっただけに、ストーリーの練りこみ不足が残念でなりません。ここが上手く演出できていれば、本作は傑作になれたのですが…。
さて、次回はゲイリーが近未来(うそ)のロサンゼルスで活躍する、パニック・アクション映画をお送りしたいと思います。


「新書ワル3 激情篇」
「新書ワル Vol.3 激情篇」
製作:1993年

●巨大組織・大日本新宿同盟に真っ向から勝負を挑んだ氷室洋二(白竜)は、同盟総本部の向かいにあるビルに道場を構えていた。いまだ警察によって身動きの取れない総本部は、白竜を倒すために元極左グループの刺客・SABUを召喚する。
だがこの男がとんでもない曲者であった。SABUは白竜との勝負を邪魔する者は誰であろうと容赦せず、遂には勝手に刺客を送り込んでくる総本部と対立。一時休戦した彼は、白竜とともに傘下組織を次々と潰していく。
 この極悪コンビを止められる者は誰もおらず、青梅組・甲州会・明治一家の三組織はまたたく間に壊滅する。総本部を仕切る新海丈夫は2人に賞金を賭けて仕留めようとしたが、SABUの撃ったバーズカ砲(!)であえなく爆死するのだった。
まるで生き急ぐかのように無茶な行動を繰り返すSABU。そんな彼と白竜は、ついに雌雄を決する時を迎えるのだが…?

 『新書ワル』も今回で第3作となりますが、今回は監督を『カオルちゃん最強伝説』の宮坂武志が担当しています。どうやら本作が宮坂の監督デビュー作のようですが、その内容は…まるで強烈な劇薬のような作品と化していました(爆
とにかく本作で深い印象を残しているのが、白竜の対抗馬を演じるSABUです。常にギラついた眼をしていて、自分の命を紙切れのように扱うさまはクレイジーそのもの。挙句の果てにはケジメをつけるためと言って、自らの小指を食いちぎったりします。
 SABUの行動は先を読ませず、主役のはずの白竜も完全に食われるという凄まじさ。ラストで「彼は白竜に踊らされていたに過ぎなかった」と言われますが、どう見ても白竜が振り回されていたようにしか見えません。
彼以外にも本作はエキセントリックな人物が多く、刺客にいたっては忍者軍団や死人のような患者と看護婦など、尋常ならざる様子のキャラばかり登場します。これって原作にも出てくるキャラなんでしょうか?(当方は原作未読です)

 ちなみにアクション指導を原作者の真樹日佐夫が、武術指導を東郷秀信(斬心塾の主宰者である東郷氏?)が担当。前作でネックだったスローや早回しは抑えられ、上記の狂ったキャラたちによる戦いはテンションの高いものとなっています。
残念なのはSABUの武器がムチだったこと。あくまで個人的な見解ですが、ムチは九節鞭などと違って手首だけで操っている感があり、使い手自身の動きがそれほど派手ではないため、アクション映画においては剣や棍棒を用いる時よりも地味に見えてしまいます。
 そのため、実際に闘ってみると味気なく感じることが多く、本作で繰り広げられる白竜とSABUの戦いも少々盛り上がりに欠けていました。2人の動作自体は悪くないのですが…う~ん。
話としては傘下組織や総本部があらかた片付き、大ボスである高松英郎が登場するなど山場を迎えつつある本シリーズ。次作の『新書ワル4 決着篇』も宮坂監督が受け持っているそうなので、心の準備をしっかりしたうえで視聴したいと思います(笑


「新書ワル2 挑戦篇」
「新書ワル Vol.2 挑戦篇」
製作:1993年

▼本作は当ブログでもすっかりお馴染みとなった、真樹日佐夫原作の劇画作品を実写化したVシネシリーズの第2弾です(前作の感想はこちら、『ワル』シリーズについてはこちらを参照のこと)。
木剣使いでワルの異名を持つ侠客・氷室洋二(白竜)が、古巣の道場をヒロインの飯島直子とともに飛び出し、巨大組織・大日本新宿同盟に戦いを挑む!というのが本シリーズの粗筋。前作で支部を壊滅させた2人が、今回から総本部へ殴り込みをかけていきます。
キャストは刑事の望月太郎を始めとした続投組に加え、ナイフ投げの名手・ジョニー大倉と柔道の達人・菅田俊が参戦し、より激しい戦いが勃発していくのですが…。

■大日本新宿同盟の鷹ノ台進出を阻止した白竜と飯島は、ついに総本部のある新宿歌舞伎町へと上陸した。しかし総本部の元には、靖国興行・青梅組・甲州会・明治一家という四つの傘下組織が存在しており、一筋縄でいく相手ではない。
その一方で、同盟は台湾マフィアとも対立関係にあり、一触即発の状況にあった。そんな中で白竜は、両親を靖国興行によって殺された青年・根岸大介と協力し、何故か同盟ではなく台湾マフィアへの襲撃を繰り返していく。
 彼の目的は、台湾マフィアを焚き付けて同盟への襲撃を計画させ、警察を動かすことだった。警察が襲撃阻止のために総本部へ警備を置けば、同盟は派手に動けなくなる。そこを一気に叩こうとしたのだ。
これに対抗して靖国興行はジョニーを雇い入れるが、自慢のナイフも白竜の敵ではない。ジョニーをあっさり倒した彼は、続いて飯島を敵陣に潜入させようとするが、根岸が先走ったことで問題が発生する。
 やむなく白竜は標的を総本部から靖国興行に変更し、組長の松居千佳から根岸の両親殺しの詳細を吐かせた。そして白竜のバックアップのもと、根岸は靖国興行と対決して本懐を遂げるのであった。
かくして両親殺しの真相は白日のもとに晒され、松居の逮捕によって靖国興行は壊滅同然の状態となる。だが、今度は松居に仕えていた代貸し・菅田が最後の勝負を仕掛けてきた!

▲なんとなく前作はあやふやな印象を受けましたが、本作は様々な思惑が交錯するスリリングな作品となっていました。巨大組織を手玉に取り、ひたすら我が道を行く白竜の姿には、凄さを通り越して畏怖の念すら感じます。
そして白竜の本妻・大場久美子と飯島の関係(大場の笑顔が怖い!)、やや唐突ながらも意外な正体を見せる菅田など、サブストーリーも充実。残る傘下組織も曲者揃いのようで、今後の活躍を期待させます。
 さて格闘シーンの評価ですが、こちらは何故か長ったらしいスロー処理や不自然な早回しが使用されており、アクションから迫力が削がれています。この欠点が最も災いしたのがラストの白竜VS菅田で、余計な演出によって冗長さを感じてしまいました。
剣と柔道の変則マッチというユニークな対決なのに、このような結果となってしまったのは残念至極。台湾マフィアのザコ戦(相手がヌンチャクや青竜刀を使用)とかは良かったので、次回はもっとスッキリとした格闘アクションに仕上がっていることを祈りたいです。
ところで本作のエンドテロップに横山誠という名前がありましたが、これってAAC STUNTSの横山誠氏のことだったりするんでしょうか?どこに出ていたのかも含めて、ヒジョーに気になります。