続・功夫電影専科 -41ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「新書ワル4 決着篇」
「新書ワル Vol.4 決着篇」
製作:1994年

●ワルと呼ばれる侠客・氷室洋二(白竜)と大日本新宿同盟の死闘は、ここに最終局面を迎えつつあった。今もなお大暴れを演じる白竜に対し、同盟の大ボスである総帥・高松英郎が一騎打ちの決闘を挑んだのである。
高松は恐るべきサイの使い手であり、命と引き換えに白竜へ致命的な一撃を与えた。重傷を負った彼は、これまで何度も世話になってきた元医師の浮浪者、ミッキー・カーチスに助力を依頼する。
 診療所を立ち上げて自らの隠れ蓑とした白竜だが、これは恩義のあるミッキーを再び医師として立ち直らせるための行動でもあった。一方、トップを失った同盟の残党は白竜の抹殺を目論み、情報屋を使って彼の居場所を突き止めていた。
いまだ傷の癒えない白竜を庇うため、飯島直子はたった一人で同盟の本部へと向かう。続いて白竜も到着し、大勢の構成員たちとの凄まじい決戦が始まった。その最中、飯島は放たれた凶弾に倒れてしまい…。

 順調に回を重ねてきた『新書ワル』の第4作は、長きに渡った新宿抗争や飯島と白竜の関係が決着を迎える、かなり重要なエピソードとなっています。監督は引き続き宮坂武志が務めていますが、さすがに前作ほど無茶なことはしていません(笑
しかし、今回は白竜が凶悪な策略を発揮するシーンが少なく、これまでの作品と比べて物足りない印象を受けました(内容もシリーズ最短の73分)。終盤の展開も駆け足気味な感じだし、ストーリー的にはちょっと不発だったかと思います。
 格闘描写については、前作のアバンギャルドなものから従来の武闘派アクションに戻っていますが、こちらは今まで通りのクオリティを保っています(アクション指導は今回も真樹センセイ&東郷秀信)。
前半の白竜VS高松では、やや高松の吹替えスタントが目立ったものの、木剣とサイによる一進一退の攻防は迫力がありました。後半の本部決戦では、前作でろくに出番の無かった飯島が大奮闘を見せ、決着篇にふさわしい派手なアクションに仕上がっています。
作品としては重要な出来事が起こっているのですが、いまいち盛り上がりに欠けるかなぁ…(前作が前作だけに余計そう思ってしまいます)。とりあえず新宿がらみの一件はひとまず決着。ついに次回でシリーズは完結となりますが、果たしてその結末は如何に!?


「エネミー・アクション2」
原題:QUEEN'S MESSENGER
製作:2000年

●英国特殊部隊SASに所属するゲイリー・ダニエルズは、外務大臣によって女王陛下のメッセージを伝達する「QUEEN'S MESSENGER」に任命された。今回の任務は、内戦が勃発しているカザフスタンの英国大使館に、とある重要な書類を届けるというものであった。
さっそくカザフスタンに飛んだゲイリーだが、いきなり空港で謎の刺客に襲われてしまう。刺客の正体は現政権を打倒しようとする反乱軍であり、書類を届けたあとも攻撃が終わることはなかった。
 その後、反乱軍は会談に向かおうとしていた大使のヘリをジャックし、ゲイリーともども捕縛。2人はアジトに連行されるが、そこには現地で知り合った美人レポーターのテレサ・シーラーも(取材という名目で)拉致されていた。
このままでは殺されるのも時間の問題だ。そこでゲイリーは装甲車を奪って脱出し、会談が行われる要塞に逃げ込むと、返す刀でアジトを壊滅させた。かくして反乱軍のボスは死亡し、事件は無事に解決…かと思いきや、今度は反乱軍の残党が攻めてきたからさぁ大変!どうするゲイリー!?

 以前から評判は聞いていましたが、本作はちょっと…というか非常にイマイチな代物で、作品の舞台と同じくらい寒々しさを感じさせる出来になっていました(爆
ストーリーは凡庸で抑揚がなく、石油の利権問題というテーマも取ってつけた感じがします。アクション描写はそれ以上に重症で、90年代の作品群とは比べ物にならない惨状が繰り広げられています。
 まず、本作のアクションは基本的にスピード感というものを意識していません。そのため、バイクが車を飛び越えても、本物の装甲車同士が撃ちあっても迫力は皆無。銃撃戦もダメダメで、冒頭の訓練シーンは何をしようとしているのか全く解らない状態でした。
格闘シーンも技を受けるザコのリアクションが弱く、最後にタイマンで闘えそうな相手(火傷を負った敵の幹部)はあっさり爆死してしまいます。まさかここまでアクションのツボを外しまくるとは…う~ん。

 このように、2000年以降のゲイリーは良い作品に恵まれず、長い停滞期に突入することとなります。『レトログレイド2204』でドルフ・ラングレンと、『沈黙の追撃』でスティーブン・セガールと競演するものの、その扱いは散々。もはや後は消え行くのみ…と思われました。
しかしゲイリーは燃え尽きていなかったのです。2009年の『TEKKEN』で息を吹き返した彼は、翌年に『エクスペンダブルズ』に参戦して健在ぶりをアピール。こちらでも扱いにやや難はあるものの、李連杰(ジェット・リー)やジェイソン・スティサムと拳を交えています。
続いて彼はウェズリー・スナイプス『ゲーム・オブ・デス』で戦い、スティーヴ・オースティン『ザ・ハンティング』で対決。『Forced to Fight』では久々に格闘映画の主演を飾り、今なお猛進を続けています。
 ゲイリーが90年代に主演した作品は、どれも派手なアクションシーンに彩られていました。作品の持つ迫力や規模などの点を考慮すると、彼の黄金期はまさしく90年代であったと言えるでしょう。
しかし、現在のゲイリーは様々な猛者たちと渡り合い、格闘スターとしてはより円熟味を増しているように思えます。確かに彼にとっての黄金期は過ぎ去りましたが、まだまだ大きな可能性を秘めているはずなのです。
90年代に全盛を極め、00年代を耐え忍んだゲイリー・ダニエルズ。そんな彼が2010年代にどんな活躍を見せてくれるのか――もしかすると新たなGOLDEN AGEは、すぐそこまで迫っているのかもしれません…。(特集、完)


「GEDO 外道」
英題:THE FATAL BLADE/GEDO
製作:1999年

清水健太郎率いる暴力団・末松組のロサンゼルス支部は、対立するビクター・リバースの組織に何度となくシノギを邪魔されていた。これを重く見た組長の松方弘樹は、若頭の中条きよしを向かわせて事態の収拾を図った。
さっそく中条はビクターのもとに乗り込むが、ちょうど張り込み中だった刑事のゲイリー・ダニエルズたちに逮捕されてしまう。しかしそこは百戦錬磨の若頭、警官とトラブっていた松田聖子を巻き込みつつ、速攻で警察署を脱出した。
 だが、迎えに来た清水がゲイリーの相棒を射殺してしまい、応戦したゲイリーの撃った弾が中条に命中。彼は傷が完治するまで松田と一緒に身を隠す羽目になる。その際、彼女は自分の妹が何者かに殺され、その仇討ちを敢行しようとしていた事を明かすのだった。
看護を受けた返礼として仇討ちを引き受ける中条だが、一方で彼が相棒を殺したと思い込んでいるゲイリーは、血眼になって2人の行方を探していた。なんとか最終的に隠れ家へと辿り着くが、当の中条からは「俺は命令された殺ししかしない」と告げられる。
 そんな中、松田が妹の仇=ビクターを殺そうと先走り、逆に捕まってしまった。中条はすぐに敵陣へ突入し、彼女を助け出して本懐を遂げさせた。同時に清水の裏切りに気付いた彼は、ロサンゼルス支部の本拠地へと向かう…が、既にそこはもぬけの殻だった。
清水は松田を殺し、なおも己の利益を貪ろうとしている。許されざる外道を討つべく、中条が…そしてゲイリーが立ち上がった!

 まだVシネ業界に活力があった90年代末期において、日本のミュージアム(現・オールインエンタテインメント)が米国の映画会社と手を組んで製作したのが、この『GEDO 外道』です。日本人のキャスト陣とゲイリーの顔合わせはとても新鮮で、中条と肩を並べて闘う姿も格好よく撮れています。
しかしストーリー面はかなり弱く、全体的に雑な印象を受けました。まず清水が裏切った理由が解りにくいし、ビクターが松田の妹の仇だったという展開も唐突すぎます(彼女がどうやってビクターの居場所を知り得たのかも謎)。
メインとなる中条とゲイリーの関係も、もっとじっくり描いていれば最後の会話がより引き立ったはず。いい顔のキャストが揃っていただけに、それらが生かされなかったのは惜しい限りです。
 ただしアクション面は悪くなく、上々のレベルに達しています。格闘シーンはあの坂本浩一が指導しているため、ゲイリーの動きは今回もキレキレ。中条も負けじとポン刀を振るい、清水と死闘を演じていました。
難があるとすれば、清水の部下として登場するジェームズ・リューの扱いが悪い点でしょうか。本作の彼は一応戦えるはずのキャラなのですが、その扱われ方は雑魚同然。ラストでようやくゲイリーと立ち会うものの、勝負の途中で強制的にカットされるという憂き目に遭っています(涙

 90年代はヴァンダムやセガールの台頭から始まり、多種多様な格闘映画が量産された華やかなりし時代でした。ゲイリーもその波に乗って成長しましたが、時代は刻一刻と変化を遂げていきます。
本作が公開された同年には『マトリックス』が登場し、功夫アクションと圧倒的な映像表現で市場を席巻。また、ほぼ同時期に成龍(ジャッキー・チェン)ら香港映画スターがハリウッドに上陸し、格闘映画を取り巻く状況は一変したのです。
00年代以降もゲイリーはアクション映画への出演を続けました。しかし、かつてのように派手な映画作りは難しくなっており、彼にとって最も苦しい時代が訪れます。果たして彼が行き着く先とは…?
「GARY OF GOLDEN AGE」――いよいよ次回、オーラスです。


「ザ・フォース」
原題:COLD HARVEST
製作:1998年

▼これまで色々なゲイリー・ダニエルズの主演作を紹介してきましたが、どの作品も格闘映画というよりアクション映画としての側面が強く、まともなラストバトルが存在しない作品も珍しくありません。
しかし本作にはとても心強い味方がいます。そう、当時『パワーレンジャー』シリーズで経験を積んでいた実力派、アイザック・フロレンティーン監督です。この頃の彼は『ハイボルテージ』『ブラック・ソルジャー』などを撮っていましたが、どちらもアクション以外は精彩に欠け、今一歩の出来に留まっていました。
そこで今回はゲイリーを迎え撃つ敵役に、同じく格闘俳優のブライアン・ジェネスを投入。激しい格闘戦を展開させ、これまでの作品にあったイマイチさの払拭を試みています。

■隕石の落下によって暗雲に包まれ、疫病が蔓延する近未来の地球。流れの賞金稼ぎであるゲイリーは、久々に生まれ故郷へと戻ってきたが、双子の弟(ゲイリーの2役…以下、弟ゲイリーと呼称)は姿を消していた。
実は弟ゲイリーは、国際的な医師団のもとで疫病の抗体を作り出す研究に携わっていた。彼は数少ない抗体の持ち主で、恋人のバーバラ・クランプトンとともに故郷の近くを移動中であった。
 だが、医師団を乗せた車列が悪党のブライアン一味に襲撃されてしまう。連中は技師ひとりを残して医師団を皆殺しにし、弟ゲイリーも死亡。バーバラだけが生き延びたが、実は彼女のお腹には抗体を持つ唯一の存在…弟ゲイリーの子が宿っていたのだ。
それを知ったブライアンはバーバラを生け捕りにしようと動き出した。彼女と出会ったゲイリーは一味との戦いに身を投じていくが、バーバラを保護するために派遣された医師団のヘリが撃墜され、彼女が敵の手に落ちてしまった。
さすがに1人で敵のアジトに突っ込むわけにはいかないので、ゲイリーはブライアン一味と敵対する勢力と手を組み、最後の決戦へと臨む!

▲本作は世紀末を舞台にしたSFアクションですが、これがまたケレン味あふれる快作に仕上がっていました。ゲイリー主演の世紀末SFというと『北斗の拳』が思い浮かびますが、この作品では濃厚な西部劇テイストで勝負に出ています。
アイザック監督の西部劇に対するこだわりは並々ならぬものがあり、アクションの大半を占めるガンファイトがそれを如実に表しています。ストーリーはやや直球すぎるきらいがあるものの、アクションシーンの連続であまり気になりません。
 もちろん格闘アクションも絶好調で、ゲイリーの持つポテンシャルを最大限に発揮!やられた敵の吹っ飛びっぷりも半端ではなく、これによりアクションに更なる激しさをプラスしています(このへんの演出は『ブラック・ソルジャー』も同じ)。
最後のゲイリーVSブライアンの一騎打ちでは、豊富な手数で戦うゲイリーと、回転技(?)で迫り来るブライアンの動きが素晴らしく、流れるような技の応酬が堪能できました。
 ちなみに本作のアクション指導は、『ブラック・ソルジャー』に引き続いて野口彰宏が担当。彼はその後もアイザック監督と組み、『人質奪還 アラブテロVSアメリカ特殊部隊』でスコット・アドキンスの名勝負を演出することになりますが、それはまた別の話です。
キャラクターは個性的だし、きちんと最後にボスとの一騎打ちを用意しているなど、格闘映画としてはとても真っ当な逸品。日本でリリースされたゲイリー主演作の中でも、有数の良作だったのではないかと私は思います。
次回は、ゲイリーが野口彰宏と同じアルファスタントの坂本浩一とタッグを組み、90年代の最後を飾る日米合作に挑戦します。が……!


「ノー・トゥモロー」
原題:NO TOMORROW
製作:1998年

●海運会社に勤めるゲイリー・ダニエルズは、あるとき仕事仲間から書類改竄の裏ビジネスを紹介される。この仕事を指示していたのは武器商人のゲイリー・ビジーで、彼は近々大きな取引を控えていた。
その取引とは、数百万ドル相当の兵器を過激派組織に売り込むというもので、中にはプルトニウム核弾頭も含まれているという。パム・グリア率いるFBIの捜査チームは、この不穏な動きをいち早く察知し、密かに潜入捜査官を派遣していた。
 一方、マフィアのマスターPは対立関係にあるビジーに奇襲を仕掛けたが、ゲイリーの機転によってビジーは脱出に成功する。彼を高く評価したビジーは、さっそく自分たちの仲間に引き入れようとするのだが…。
同じ頃、ゲイリーは今の仕事を辞めたいと考えており、娼婦のジョディ・ビアンカ・ワイズと男女の関係を結んでいた。FBI、武器商人、過激派組織、マフィア、そしてゲイリー…。それぞれの思いが交錯する中、遂に取引の日が訪れ、意外な事実が明かされる!

 PMエンターテイメントに帰ってきたゲイリーが、ベテラン俳優陣に囲まれて出演したコンゲーム風味のアクション映画です。様々な勢力が入り乱れるストーリーで、出演もしているマスターPが監督を兼任しています。
彼は序盤から火炎放射器を振りかざして暴れまわり、「これってマスターPの俺様映画!?」と見る者を不安にさせますが、ちゃんとゲイリーを中心にした群像劇として仕上がっていました。
 ストーリーは思ったほど複雑ではなく、マスターPの俺様演出も彼の登場場面のみ。途中でなんとなく読めてしまいますが、潜入捜査官の正体やラストのどんでん返しなど、出来に関しては悪くないといえます(最後のオチはちょっと蛇足かも)。
ところが、どういう訳か本作にはゲイリーの格闘シーンが一切ありません。彼が見せるアクションは銃撃戦やカーチェイスだけで、格闘シーンはパム・グリアとマスターPが1回ずつ披露するのみ。ゲイリーと同じ格闘俳優であるフランク・ザガリーノは、序盤に速攻で爆死してしまいます(苦笑
 ド派手な見せ場はそれなりにあるし(ヘリコプター爆発・炎上しながら着陸する飛行艇などなど)、普通のアクション映画として見るならボチボチの出来なんですが…やっぱりゲイリーの格闘が無いと物足りないよ!(涙
さて、華やかな90年代も終りに近付き、PMエンターテイメントの時代も終焉を迎えつつありました。そこでゲイリーは次なる出演作に、まるで本作での鬱憤を晴らすかのようなマーシャルアーツ・ムービーを選びます。監督の名は…そう、アイザック・フロレンティーン!