
「ザ・フォース」
原題:COLD HARVEST
製作:1998年
▼これまで色々なゲイリー・ダニエルズの主演作を紹介してきましたが、どの作品も格闘映画というよりアクション映画としての側面が強く、まともなラストバトルが存在しない作品も珍しくありません。
しかし本作にはとても心強い味方がいます。そう、当時『パワーレンジャー』シリーズで経験を積んでいた実力派、アイザック・フロレンティーン監督です。この頃の彼は『ハイボルテージ』や『ブラック・ソルジャー』などを撮っていましたが、どちらもアクション以外は精彩に欠け、今一歩の出来に留まっていました。
そこで今回はゲイリーを迎え撃つ敵役に、同じく格闘俳優のブライアン・ジェネスを投入。激しい格闘戦を展開させ、これまでの作品にあったイマイチさの払拭を試みています。
■隕石の落下によって暗雲に包まれ、疫病が蔓延する近未来の地球。流れの賞金稼ぎであるゲイリーは、久々に生まれ故郷へと戻ってきたが、双子の弟(ゲイリーの2役…以下、弟ゲイリーと呼称)は姿を消していた。
実は弟ゲイリーは、国際的な医師団のもとで疫病の抗体を作り出す研究に携わっていた。彼は数少ない抗体の持ち主で、恋人のバーバラ・クランプトンとともに故郷の近くを移動中であった。
だが、医師団を乗せた車列が悪党のブライアン一味に襲撃されてしまう。連中は技師ひとりを残して医師団を皆殺しにし、弟ゲイリーも死亡。バーバラだけが生き延びたが、実は彼女のお腹には抗体を持つ唯一の存在…弟ゲイリーの子が宿っていたのだ。
それを知ったブライアンはバーバラを生け捕りにしようと動き出した。彼女と出会ったゲイリーは一味との戦いに身を投じていくが、バーバラを保護するために派遣された医師団のヘリが撃墜され、彼女が敵の手に落ちてしまった。
さすがに1人で敵のアジトに突っ込むわけにはいかないので、ゲイリーはブライアン一味と敵対する勢力と手を組み、最後の決戦へと臨む!
▲本作は世紀末を舞台にしたSFアクションですが、これがまたケレン味あふれる快作に仕上がっていました。ゲイリー主演の世紀末SFというと『北斗の拳』が思い浮かびますが、この作品では濃厚な西部劇テイストで勝負に出ています。
アイザック監督の西部劇に対するこだわりは並々ならぬものがあり、アクションの大半を占めるガンファイトがそれを如実に表しています。ストーリーはやや直球すぎるきらいがあるものの、アクションシーンの連続であまり気になりません。
もちろん格闘アクションも絶好調で、ゲイリーの持つポテンシャルを最大限に発揮!やられた敵の吹っ飛びっぷりも半端ではなく、これによりアクションに更なる激しさをプラスしています(このへんの演出は『ブラック・ソルジャー』も同じ)。
最後のゲイリーVSブライアンの一騎打ちでは、豊富な手数で戦うゲイリーと、回転技(?)で迫り来るブライアンの動きが素晴らしく、流れるような技の応酬が堪能できました。
ちなみに本作のアクション指導は、『ブラック・ソルジャー』に引き続いて野口彰宏が担当。彼はその後もアイザック監督と組み、『人質奪還 アラブテロVSアメリカ特殊部隊』でスコット・アドキンスの名勝負を演出することになりますが、それはまた別の話です。
キャラクターは個性的だし、きちんと最後にボスとの一騎打ちを用意しているなど、格闘映画としてはとても真っ当な逸品。日本でリリースされたゲイリー主演作の中でも、有数の良作だったのではないかと私は思います。
次回は、ゲイリーが野口彰宏と同じアルファスタントの坂本浩一とタッグを組み、90年代の最後を飾る日米合作に挑戦します。が……!