
「エネミー・アクション2」
原題:QUEEN'S MESSENGER
製作:2000年
●英国特殊部隊SASに所属するゲイリー・ダニエルズは、外務大臣によって女王陛下のメッセージを伝達する「QUEEN'S MESSENGER」に任命された。今回の任務は、内戦が勃発しているカザフスタンの英国大使館に、とある重要な書類を届けるというものであった。
さっそくカザフスタンに飛んだゲイリーだが、いきなり空港で謎の刺客に襲われてしまう。刺客の正体は現政権を打倒しようとする反乱軍であり、書類を届けたあとも攻撃が終わることはなかった。
その後、反乱軍は会談に向かおうとしていた大使のヘリをジャックし、ゲイリーともども捕縛。2人はアジトに連行されるが、そこには現地で知り合った美人レポーターのテレサ・シーラーも(取材という名目で)拉致されていた。
このままでは殺されるのも時間の問題だ。そこでゲイリーは装甲車を奪って脱出し、会談が行われる要塞に逃げ込むと、返す刀でアジトを壊滅させた。かくして反乱軍のボスは死亡し、事件は無事に解決…かと思いきや、今度は反乱軍の残党が攻めてきたからさぁ大変!どうするゲイリー!?
以前から評判は聞いていましたが、本作はちょっと…というか非常にイマイチな代物で、作品の舞台と同じくらい寒々しさを感じさせる出来になっていました(爆
ストーリーは凡庸で抑揚がなく、石油の利権問題というテーマも取ってつけた感じがします。アクション描写はそれ以上に重症で、90年代の作品群とは比べ物にならない惨状が繰り広げられています。
まず、本作のアクションは基本的にスピード感というものを意識していません。そのため、バイクが車を飛び越えても、本物の装甲車同士が撃ちあっても迫力は皆無。銃撃戦もダメダメで、冒頭の訓練シーンは何をしようとしているのか全く解らない状態でした。
格闘シーンも技を受けるザコのリアクションが弱く、最後にタイマンで闘えそうな相手(火傷を負った敵の幹部)はあっさり爆死してしまいます。まさかここまでアクションのツボを外しまくるとは…う~ん。
このように、2000年以降のゲイリーは良い作品に恵まれず、長い停滞期に突入することとなります。『レトログレイド2204』でドルフ・ラングレンと、『沈黙の追撃』でスティーブン・セガールと競演するものの、その扱いは散々。もはや後は消え行くのみ…と思われました。
しかしゲイリーは燃え尽きていなかったのです。2009年の『TEKKEN』で息を吹き返した彼は、翌年に『エクスペンダブルズ』に参戦して健在ぶりをアピール。こちらでも扱いにやや難はあるものの、李連杰(ジェット・リー)やジェイソン・スティサムと拳を交えています。
続いて彼はウェズリー・スナイプスと『ゲーム・オブ・デス』で戦い、スティーヴ・オースティンと『ザ・ハンティング』で対決。『Forced to Fight』では久々に格闘映画の主演を飾り、今なお猛進を続けています。
ゲイリーが90年代に主演した作品は、どれも派手なアクションシーンに彩られていました。作品の持つ迫力や規模などの点を考慮すると、彼の黄金期はまさしく90年代であったと言えるでしょう。
しかし、現在のゲイリーは様々な猛者たちと渡り合い、格闘スターとしてはより円熟味を増しているように思えます。確かに彼にとっての黄金期は過ぎ去りましたが、まだまだ大きな可能性を秘めているはずなのです。
90年代に全盛を極め、00年代を耐え忍んだゲイリー・ダニエルズ。そんな彼が2010年代にどんな活躍を見せてくれるのか――もしかすると新たなGOLDEN AGEは、すぐそこまで迫っているのかもしれません…。(特集、完)