続・功夫電影専科 -121ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


帰って来た少林寺厨房長/廚房長
英題:Magnificent Natural Fist/Shaolin Fist Fighter
製作:1981年

●以前、鄭真化(エルトン・チョン)主演の韓国産コメディ功夫片『少林寺厨房長』なるものを紹介した事があるが、本作は何とその続編である。本家『酔拳』がその続編製作に至るまで間を置いたのに対し(『南北酔拳』というのがあるが、まぁそれは置いといて…)、こちらの続編はほぼ同年に製作されているところが興味深い。
前作で韓鷹(イーグル・ハン)を倒した鄭真化は、自立して奥さん(前作の金明兒に当たる役か?)と共に茶店を開いていた。ところがそこに、この地一帯を支配してしまおうと企む飛雲ら五人衆が現れる。前作で鍛えた腕もこの五人衆には敵わず、鄭真化は奥さんを殺されてしまった。
誰もがこの後、前作同様に王龍(マイク・ウォン)の修行を受けた鄭真化が、五人衆を次々と倒していく展開を想像するだろう。が、本作は謎の女宗教(教祖の陳樓利は王龍と同門らしい)が絡んできたり、なぜか王龍がいた寺に行って厨房係になったりと寄り道ばかりの物語になってしまっている。恐らくストレートな作りだった前作との差別化を図ったつもりなのだろうが、正直この脱線だらけのストーリーは頂けない。
また、前作に引き続いて師匠として登場する王龍は、本作でも仏頂面のドメスティック師匠のままで通している。温かみやユーモアの欠片もなく、怒るとすぐに鄭真化をしばき倒す等…前作以上にとっつきにくいキャラになっているのは大減点だ。1時間を過ぎたところでやっと笑顔を見せたりするが、そんなことなら最初からくだけた師匠でいてくれた方がもっとマシだっただろう。
後半になって鄭真化はようやく五人衆との戦いへ挑んでいく。この五人衆、1人として知っている顔はいないのだが、アクロバティックなアクションをそつなくこなしている様は圧巻だ。しかし殺陣は蹴り技一辺倒でメリハリが無いため、しばらくするとすぐに飽きてしまった。本作の殺陣は王龍自らが振付けているのだが、早回しを多様したりとあまり芸が無いのである。
結局、五人衆は全員倒したが王龍は死んでしまい、鄭真化がぐずりながら王龍の入った棺桶を運ぶという後味の悪いオチで本作は幕を閉じる。五人衆は個性的な面々が揃ってはいたが、迫力という点では明らかに前作の韓鷹に劣っていた。せめて1人だけでもビッグネームが出演してくれていたら、もっと画面が引き締まったに違いないが…改めて本作を顧みてみると、前作の成功がいかに韓鷹様々だったかということが窺い知れる。
全体としては悪い続編の見本みたいな作品。しかし各々のアクションシーンはそれなりに楽しめるので、そちらだけを楽しんだほうが無難だろう。とりあえず無理して見るほどの作品ではない事は確かです。


「復讐!少林蝴蝶拳」
原題:蝴蝶十八式
英題:Butterfly 18/Secret Shaolin Kung Fu/Secret of Shaolin Kung Fu/Invincible Shaolin Kung Fu
製作:1979年

▼台湾の功夫スター、李藝民(サイモン・リー)の主演作で、日本でソフト化された幾つか作品のうちのひとつである。本作以外に日本で公開された彼の作品は『少林の鉄爪 鷹拳』『ドランクマスター・酒仙拳』『少林寺列伝』ぐらいで、ある種貴重なタイトルであるともいえる。
ところで、李藝民といえばコメディ功夫片だが、本作は一筋縄ではいかないストーリーで成されているところがポイントだ。

■冒頭、手足の無い男(余松照)が神輿に担がれている場面から幕を開ける。
何やら余松照は18年前のある事件に関わっているようで、余松照と再会した陳慧樓や馬場は相次いで自殺し果てていった。一方、こちらは主人公の李藝民。武術家で盲目の祖父・古錚と暮らしており、いつもは茶店で働いている。イジワルな先輩の許不了とてんてこまいの日々を送っていたが、ひょんな事から奇妙な乞食の孫榮志と出会ったことで、彼の運命は大きく変わっていくのだった。
この孫榮志、酒飲みだが滅法強いコメディ功夫片おなじみのキャラ。李藝民にちょっかいをかけるが、ピンチに陥った彼を助けたりもする変な奴だ。ある日、乞食のグループが荊國忠らに殺される所を目撃した李藝民は、死に際の乞食から合言葉のようなメッセージを受け取る。そのことを聞いた孫榮志は顔色を変えて「忘れろ」と一喝。古錚にも話すが同様の反応が返ってきた。
実はこの乞食グループ殺害には黒幕がおり、殺された乞食たちは乞食党ともいうべき集団に属している者たちだった。乞食党は首領が不在で、彼らは事態を打開すべく首領を探す事にした。それを察知した黒幕は、配下に乞食たちの掃討を命令する。
そんな折、李藝民と孫榮志は乞食狩りをしていた荊國忠と遭遇。荊國忠は李藝民と戦闘になるが、李藝民の使っている技を見た孫榮志は何故か眼を丸くした。孫榮志は乞食党に李藝民の家に首領がいると伝える。李藝民の家へ乞食党が詰めかける中、古錚は兄弟子だった孫榮志の説得に応じ、事の全てを告白した。
…18年前、ある武術家が殺された。余松照が犯人であるという情報を掴んだ古錚は、仲間の陳慧樓や馬場と共に余松照を襲った。ところが余松照は無実で、彼は殺された武術家の遺児を伴っていた(この子供が李藝民)。罪の意識から古錚は自らの目を潰し、そして冒頭の展開へと至るのである。
武術家を殺したのは、現在乞食狩りを進めている明月会のボスと、裏で手を引いている黒幕の2人だという。全てを知った李藝民は明月会のボスを倒し、黒幕へと迫る。親の仇を取るべく、李藝民は邪悪な武術家である黒幕と最後の死闘を繰り広げる!

▲コメディ功夫片というものはコメディ要素とシリアス要素の割合を間違えると、途端におかしな作品になってしまうものだ。コメディとシリアスが上手く同居している作品といえば『酔拳』『笑拳』、ちょっとさじ加減が違う作品に『真説・モンキーカンフー』、完全にコメディとシリアスが分離してしまっている作品には『師兄師弟』『天才功夫』などがある。
本作はどちらかというと、コメディとシリアスのバランスがきちんととれている作品だ。ただし『雙馬連環』のようなストレートなものではなく、入り組んだ話にして他の作品と差別化を図っている点は評価に値する。
功夫アクションについても中々凝っており、少しもっさり気味だが及第点以上のファイトを構築。武術指導は孫樹培という人だが、『夢拳蘭花手』も手がけている。演者によるクオリティの違いはあるのだろうが(まぁ『夢拳』は荊國忠、本作は李藝民だし)、どこかもっさりしている所は孫樹培の持ち味なのだろうか?
李藝民主演作では今のところ『雙馬連環』と本作がベスト。これからも李藝民の作品は見ていきたです。


三千大洋/搏命/強盜,妓女,錢
英題:The Damned/Bandits, Prostitutes and Silver
製作:1977年

▼二枚目スターの王道(ドン・ウォン)と茅瑛(アンジェラ・マオ)のGHコンビが主演を務めている本作は、『通天老虎』の女流監督、高寶樹(カオ・パオシュ)の監督作品である。
脚本に倪匡(イ・クオン)、武術指導に鹿村泰祥(!)と柯受良が参戦。これら充実した陣容を見ても解る通り、本作が『通天老虎』『嵐を呼ぶ必殺剣』同様、大いに力の入った作品である事が窺い知れる。

■馬車引きで功夫の達人である王道は、仕事帰りに聞江龍から勝負を挑まれた。
ムチでコインを叩き落とす王道だが、勢いあまって王侠にムチが直撃した。この王侠、街の顔役である羅烈(ロー・リェ)の部下で、当然悪人だ。怒った王侠は王道に襲い掛かるが、ピンチに陥った彼を聞江龍が助けた。
実は王道は娼館に彼女がいる。いずれは身請けして結ばれたいと思っている王道だが、彼女からは「あんまり揉め事起こさないでね」と言われていた。今日も娼館へ彼女に会いに来た王道だが、再び現れた王侠に殺されそうになった。
そこへ助けに入ったのは聞江龍。実は聞江龍は強盗であり、王道の実力に目を付けていたという。聞江龍は王侠の御用金を襲うと告げ、王道に強引に仲間になれと迫る。王侠のことが憎い王道は勢いでOKサインを出してしまうのだが…。
翌日…襲撃は成功したが、非道な聞江龍のやり方に王道が反発。聞江龍を倒した王道だったが、結果的に彼の手元には御用金が転がり込んだ。しかしそんな王道のところへ、同じく御用金を狙っていた高飛(コー・フェイ)&茅瑛ら盗賊団が姿を見せた。御用金を巡って熾烈な争いが繰り広げられたが、結局茅瑛が折れる形で決着が付いた。
だがその頃、羅烈と王侠は王道を潰すために御用金襲撃の犯人に仕立て上げていた。高飛と茅瑛は挑発でもしにきたのか(?)羅烈のところへ推参するが、逆に羅烈の空とぶギロチン簡易版によって殺されてしまった。弟子である林小虎と盗賊団の残党からそれぞれ事情を聞いた王道は、まず彼女を取り戻しに王侠のところへと攻め入った。
だが王侠を倒したと思った刹那、羅烈の空とぶギロチン簡易版によって彼女は死亡!怒りに震える王道と、悪らつな羅烈との決戦が始まる!

▲作品としては因果応報を描いた陰惨な物語ではあるが、本作はまさしく王道の一人舞台ともいえる内容に仕上がっている。
この作品で王道は全編に渡って激しいアクションのつるべ打ちを見せており、彼の素晴らしいファイトを存分に見ることが出来る。なにしろ本作には『南拳北腿』や『鷹爪蟷螂』のように自分の見せ場を奪うようなパートナーもいなければ、『地獄の刑事』や『形手螳螂腿』のように喰われてしまうような敵役もいないのだ。王道としては、かなりのびのびと演じられたのではないだろうか?
また、本作では『銀蕭月剣翠玉獅』では不十分な結果に終わっていた王道VS茅瑛のバトルがしっかり見られるし、高飛・聞江龍・王侠・羅烈といった猛者たちとも濃厚なバトルを展開してくれる。惜しむらくは北京語字幕なしのソフトで見たため、ストーリーが完全に把握できなかった点だが、私としては『勾魂針奪命拳』の次ぐらいに満足した作品。功夫迷は必見だ!


「レイジング・フィスト」
原題:FIST OF HONOR
製作:1993年

●おなじみPMエンターティメント作品である本作は、マーシャルアーツ映画と黒社会アクションをドッキングした作品で、主演は『フラッシュ・ゴードン』のサム・ジョーンズある。
サムはマフィア一家の用心棒で、元ボクサーの腕を生かして借金の取立て屋として生活していた。一方、サムを飼っているマフィア一家のボスは、抗争相手のマフィアと和平を結んでいた…が、腹の底では全てを支配してしまおうと画策していた。そして遂にはそのマフィアの親分を殺害し、あろうことかその罪をサムに擦り付けたのだ。
サムはいわれのない罪で投獄され、将来を誓い合った恋人も殺されてしまう。一方、親分を殺されたマフィアは跡継ぎの息子の手に渡っていた。跡継ぎ息子は父の仇を取るために獄中のサムと手を組み、利害の一致した両者はそれぞれの仇敵を殺すため、行動を開始していく…。
この作品、前半はサムの集金とマフィアの行動が完全に分離しているため、「ちょっとダメかな…」と思いながら見ていたのだが、サムが投獄された辺りから次第に物語はヒートアップ。後半以降はそれなりに盛り上がりを見せている。
本作でサムはボクサーだったということで拳闘アクションが中心となっているのだが、その動きはちょっと鈍い。それどころか普通にザコとの戦いでボコボコにされ(結果的には逆転勝ちするのだが)、敵が2人以上だとすぐ劣勢に追い込まれてしまう。この手の作品だったらザコぐらい簡単に蹴散らしてしまうものだが、サムの場合はかなり苦戦気味だった。
作り手はそうすることによって作品にリアリズムを持たせようとしたのかもしれないが、はっきり言って逆効果。サムの技量も関係していたかもしれないが、敵に結構いい動きをする連中が揃っていただけにこうなってしまったのは、非常に勿体無いと言える。マーシャルアーツにするか黒社会にするかハッキリさせていればもっと面白くなりそうだったんだけどなぁ…。


聖劍風雲
英題:Imperial Sword/The Brave in Kung Fu Shadow/Kung Fu Shadow/Glory Sword
製作:1977年

▼なんとも勇ましいタイトルの本作は、羅維プロ時代のジャッキー作品でお馴染みの陳誌華(チェン・シーホワ)が監督した武侠片である(ちなみに本作は羅維プロ作品ではない)。テイストとしては『蛇鶴八拳』を連想させる作りになっているが、いかんせん本作は武侠片。あまりストーリーの細部までは窺い知ることは出来なかった。
しかし本作は、それでも一応は楽しむことが出来る作品である。B級台湾武侠片おなじみの顔が大挙して出演しているので、それなりに親しみやすい作品となっているのが功を奏したのかもしれない。

■物語は一握りの聖剣を巡って江湖で争いが繰り広げられるという、サスペンス仕立てのストーリーだ。
闇夜を切り裂く美女の悲鳴。追われている女性を助けたのは、嘉凌(ジュディ・リー)と紀光隆(『猴[馬付]馬』の黄家達の息子役)の姉弟だった。この2人は茶屋で祖父と共にひっそりと暮らしていたが、聖剣を持っていたことで謎の組織に狙われ、祖父が殺されてしまう。
祖父の仇討ちを誓った嘉凌は聖剣を片手に組織へ反旗を翻したが、彼女の前にはちょくちょくと謎の剣客・田鵬(ティン・パン)も姿を現す。彼は嘉凌の前に現れては助力したり助言したりする(役回り的には『大酔侠』の岳華に近い)。いったい彼の目的は…?
一方、組織には幹部が控えていた。アクロバティックな動作の金龍(『龍の忍者』で李元覇に倒された神打の男)、槍使いの龍世家(郭南宏作品の常連)、ヒゲモジャ男と丸ノコ男、そして祖父の仇である龍飛などだ。組織と戦っていく中でオープニングに助けた女性が再び敵の手に落ちてしまった。嘉凌は町の名士である岳陽に紀光隆を預けるが、田鵬に「他人を信用するな」と告げられる。果たして彼の言うとおり、岳陽もまた組織の一員として悪事に加担していたのだった。
岳陽の攻撃で傷付いた嘉凌…そんな彼女を助けて龍飛を倒したのは、またしても田鵬だ。嘉凌は、どうして聖剣を持っていたのか、その因縁を田鵬に明かした。かつて嘉凌の祖父は、組織の首領である張翼(チャン・イー)と龍飛によって陥れられ、祖父は片目を失ったというのだ。
嘉凌と田鵬は捕らえられていた紀光隆を救出。続いて張翼の元へ攻め入るも、張翼の鉄の手に圧倒されて退散を余儀なくされる。この闘いで人質になっていた女性は死んでしまい、行き詰る嘉凌たち。だが張翼の弱点が光だと気付いた嘉凌は対抗策を練り、満を持して決戦へ向かうのだった。

▲個人的に、今まで未公開の武侠片で「当たり」といえるような作品に出会った事はほとんどなかった(ショウブラ系の作品は別格として)。
『神傘奇侠』『旋風十八騎』『銀蕭月剣翠玉獅』『新月傳奇』『碧血[ン先]銀槍』…これらはみんな私としてはイマイチだった作品だ(もっとも、細部を理解できていたら評価は変わるのかもしれないが)。逆に面白いといえるような作品は『一代天嬌』『侠大兒乞』ぐらいしか無かったが、本作に関しては素直に面白かったといえる。
ストーリーも良かったのだが(脚本は傑作『七歩迷踪』の王重光と、『カンニングモンキー・天中拳』の湯明智…お見事!)、注目すべきは功夫アクションの方だ。謝興が指導した本作のアクションはかなり見応えがあり、剣劇と武打シーンが同居するファイトを構築。特に、一族の命を奪った剣を手にして闘う嘉凌の悲壮感溢れる迫力は素晴らしく、改めて嘉凌のアクションスターとしての力量に感嘆した次第である。
各々のアクションシーンはどこも良かったが、ラストの水車倉庫での死闘は、『ドラゴンカンフー・龍虎八拳』を髣髴とさせる…というか、ほとんどパクリと言っていいぐらい似ている(罠を仕掛けたり粉を降らせたり立体的なアクションにしたり等々…)。しかし、これに張翼の弱点である光を絡ませた複雑なファイトシーンに仕上げた点は、中々評価できるだろう。
ところで本作、どこかに陳誌華監督がカメオ出演しています。序盤の茶屋で客の1人を演じていますので、興味のある方は探してみてはいかが?(笑